日本主導:この研究は、筆頭著者・責任著者、または著者の主要所属が日本の研究機関である研究です。
掲載誌:Nutrients
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、牛乳由来のたんぱく質である牛ラクトフェリンを摂取することが、健康な閉経後女性の膣内細菌叢(膣内に住む細菌の集まり)にどのような影響を与えるかを調べました。
調べた方法
研究は無作為化二重盲検プラセボ対照試験として行われました。参加者をくじ引きのような方法で二つのグループに分け、参加者も研究者もどちらのグループかわからない状態で、一方には牛ラクトフェリン(1日300mg)、もう一方には有効成分を含まないプラセボを12週間摂取してもらいました。対象は健康な日本人の閉経後女性です。
最も重視する評価項目(主要評価項目)は、膣内の細菌の状態を顕微鏡観察で点数化する「Nugentスコア」でした。副次評価項目にはその内訳となるサブスコアを用い、探索的な項目として膣内の免疫グロブリン(抗体)と尿中のデオキシピリジノリンの量も測定しました。
80人が割り付けられ(各群40人)、そのうち8人が除外されました。計画どおりに試験を終えた72人(各群36人)が解析の対象です。
主な結果
Nugentスコア全体はラクトフェリン群のほうが低かったものの、プラセボ群との差は統計的に有意ではありませんでした。つまり、主要評価項目では明確な効果は示されませんでした。
一方、サブスコアのうち、ガードネレラやバクテロイデスといった種類の細菌の形を示す項目は、ラクトフェリン群のほうが有意に低い結果でした。また、膣内の免疫グロブリンG1の量はラクトフェリン群で有意に高く、尿中のデオキシピリジノリンの量はラクトフェリン群で有意に低いと報告されています。
有害事象の発生は両群で同程度で、摂取したものが原因と考えられる副作用は見られなかったとされています。
この研究が示すこと
著者らは、ラクトフェリンの経口摂取が主要評価項目であるNugentスコア全体には有意な影響を与えなかったと結論づけています。サブスコアや免疫グロブリンG1の違いは副次的・探索的な解析から得られたものであり、仮説を生み出す段階の知見として、今後の研究での確認が必要だと位置づけています。
原著論文の著者・所属:Chisane Kujirai(R&D Division, Food Function Research Institute, Morinaga Milk Industry Co., Ltd., 5-1-83 Higashihara, Zama 252-8583, Kanagawa, Japan)、Hirotsugu Oda(R&D Division, Food Function Research Institute, Morinaga Milk Industry Co., Ltd., 5-1-83 Higashihara, Zama 252-8583, Kanagawa, Japan)、Miyuki Tanaka(R&D Division, Food Function Research Institute, Morinaga Milk Industry Co., Ltd., 5-1-83 Higashihara, Zama 252-8583, Kanagawa, Japan)、Yayoi Sugimori(Department of Obstetrics and Gynecology, Bunkyo Garden Women’s Clinic, 2F, 1-1-7 Koishikawa, Tokyo 112-0002, Japan)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Chisane Kujirai, Hirotsugu Oda, Miyuki Tanaka, et al. Effects of Bovine Lactoferrin on Vaginal Microbiota in Healthy Postmenopausal Women: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Trial. Nutrients 2026-09-27. DOI: 10.3390/nu18193193. 原著ライセンス:CC BY.