掲載誌:BMC Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
アスリートに推奨される食事の内容は、競技の種類によって異なります。そのため、すべての人に同じ基準を当てはめると、競技や体重階級の異なるアスリートの「食事の質」を正確にとらえられない可能性があります。著者らは例として、パワー系の競技と技術系の競技の選手に同一の指針を適用すると、採点が実態と合わなくなる恐れを挙げています。これは、一般人口向けに作られた食事の質の指標に見られる限界と同じ性質の問題だと説明されています。
そこで研究チームは、アスリート向けの食事の質指標「Diet Quality Index for Athletes(DQI-Athletes)」を新たに開発し、インドのアスリート集団を対象としてその内容妥当性を確かめることを目的としました。ここでいう内容妥当性とは、その指標が測ろうとしている対象を、項目の中身として適切にカバーできているかどうかを指します。
どのように開発し、検証したか
DQI-Athletesは、四つの種類の構成要素からなります。十分に摂りたい食品を評価する「充足」、摂りすぎを避けたい食品を評価する「節制」、二つの摂取量の比をみる「比率」、そして食習慣そのものをみる「食行動」です。指標の合計点は0点から100点の範囲に設定されました。
対象となったのは、18歳以上で現在トレーニング期にあり、多様な競技を代表する108名のアスリートで、そのうち52名が女性でした。選定は目的に沿って意図的に行われました。食事摂取量と身体計測は、標準化された手順に沿って評価されました。内容妥当性の検証は10名の専門家パネルによって行われ、記述的な検討に加えて、Lawsheの内容妥当性比(CVR)による数量的な評価が用いられました。
報告された主な内容
充足の要素では、穀類、果物、野菜、乳製品、たんぱく質に富む食品全体、および微量栄養素の摂取が評価されました。節制の要素では、加工肉、加工された果物製品、いも類・根菜類、調理油、固形脂肪、添加糖の摂取が評価されました。
充足と節制の採点には、エネルギー密度に基づく方法が用いられました。これは、競技によってアスリートの総エネルギー摂取量が大きく異なることを考慮するためだと説明されています。充足の要素では、摂取がない場合は0点、推奨される基準値に達するか上回る場合は最高点となり、その間は直線的に点が割り振られます。節制の要素では、基準値以下なら最高点、上限に達するか超えると0点となり、やはり間は直線的に採点されます。節制の要素の基準値は、調査対象集団で観察された摂取量の85パーセンタイルに基づいて定められました。
比率の要素は、穀類全体に占める全粒穀物の摂取の比でした。この比が基準値(0.5以下)にとどまる場合は0点とされます。食行動の要素には、飲酒をしないこと、十分な水分摂取、トレーニング前後の食事をとることが含まれ、リッカート尺度で評価されました。
検証の結果、DQI-AthletesのCVRは0.9でした。著者らは、この高いCVRがこの指標の内容妥当性を裏づけるものだと結論づけています。
この研究が示すこと
この研究は、充足・節制・比率・食行動という性質の異なる要素を一つにまとめることで、競技の異なるアスリートの食事の質を全体として評価する枠組みを示したものです。エネルギー密度に基づく採点によって、エネルギー摂取量の幅が大きい集団にも共通の物差しを当てられるよう設計されている点が特徴です。なお今回報告されているのは、専門家パネルによる内容妥当性の確認までであり、指標の開発と、その中身が対象を適切に捉えているかという段階の検証結果です。
著者:Neelam M. Rathod、Suneeta S. Chandorkar
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Neelam M. Rathod, Suneeta S. Chandorkar. Development and content validity of Diet Quality Index for Athletes (DQI-Athletes). BMC Nutrition 2026-09-21. DOI: 10.1186/s40795-026-01282-8. 原著ライセンス:CC BY.