著者の所属・活動拠点の国は、フランスです。

掲載誌:BMC Veterinary Research

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

乳から固形飼料への移行を支える素材を調べる

研究チームは、エンドウ豆の加工で生じる半液状の副産物「ピークリーム」を、離乳期の子豚の飼料として評価しました。子豚にとって離乳は、母乳から固形飼料へ食事が変わり、腸の機能や成長に負担がかかる時期です。ピークリームはたんぱく質と食物繊維を含み、その性状も食事の移行に役立つ可能性があると著者らは考えました。

研究では、ピークリームがたんぱく質の消化、腸のバリア機能、筋肉の成長にどう影響するかを調べました。腸のバリア機能とは、腸の内側を覆う細胞が、物質の通過を調節する働きです。

消化実験と64頭の子豚で比較

研究チームは、標準飼料、ピークリームを配合した飼料、エンドウ豆粉を配合した飼料、木粉を配合した飼料の4種類を比較しました。動物実験には64頭の子豚を用い、14日齢からそれぞれの飼料に徐々に慣らし、28日齢で離乳させました。離乳後の体重や摂餌量に加え、腸の組織、筋肉や脂肪の重量などを調べました。

また、胃や小腸での消化を模した実験で、飼料からたんぱく質が放出され、分解される様子を測定しました。さらに、その消化物を豚の腸上皮細胞の培養モデルに与え、物質の通りやすさなどを調べました。

消化を模した実験では、木粉配合飼料は胃の段階でたんぱく質の放出と分解がほかの飼料より低かったものの、小腸の段階では4種類とも分解率が約98%に達しました。著者らは、この実験条件では、食物繊維源の違いがたんぱく質の消化を損なわなかったと報告しています。

筋肉量に明確な差はなく、飼料素材としての可能性を示す

培養した腸上皮細胞を使った実験では、指標となる物質の通過量に飼料間の有意な差はありませんでした。一方、細胞同士の接合に関わるたんぱく質ZO-1の蛍光強度は、ピークリームとエンドウ豆粉の飼料で低く、測定項目によって異なる反応も見られました。子豚の実験では、どの群にも下痢は観察されず、摂餌量にも有意な差はありませんでした。

離乳後の28〜42日齢の1日当たりの体重増加量は、ピークリーム群がエンドウ豆粉群と木粉群を上回りましたが、標準飼料群との差は有意ではありませんでした。筋肉重量、腎臓の周囲の脂肪重量、筋肉と脂肪の重量比にも、飼料間で有意な差はありませんでした。

著者らは、ピークリームを、たんぱく質の利用や腸の健全性、成長を損なわずに使える可能性のある飼料素材と位置づけています。この研究は、筋肉量を増やす効果を示したというより、十分に活用されていないエンドウ豆の加工副産物を、離乳期の飼料に生かす可能性を示したものです。

原著論文の著者・所属:Maurane Grondin(INRAE, UMR1348 PEGASE, Institut Agro, Saint Gilles, 35590, France)、Frédérique Mayeur-Nickel(INRAE, UMR1348 PEGASE, Institut Agro, Saint Gilles, 35590, France)、Annie Vincent(INRAE, UMR1348 PEGASE, Institut Agro, Saint Gilles, 35590, France)、Christine Trefeu(INRAE, UMR1348 PEGASE, Institut Agro, Saint Gilles, 35590, France)、Sandra Wiart-Letort(INRAE, UMR1348 PEGASE, Institut Agro, Saint Gilles, 35590, France)、Frédéric Dessauge(INRAE, UMR1348 PEGASE, Institut Agro, Saint Gilles, 35590, France)、Myriam M.L. Grundy(INRAE, UMR1348 PEGASE, Institut Agro, Saint Gilles, 35590, France)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Maurane Grondin, Frédérique Mayeur-Nickel, Annie Vincent, et al. Effects of a pea co-product on intestinal integrity and muscle growth in piglets: an in vitro and in vivo approach for the weaning period. BMC Veterinary Research 2026-11-04. DOI: 10.1186/s12917-026-06062-x. 原著ライセンス:CC BY.