著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。

掲載誌:Cardiology Open Access

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

食材だけでなく、調理の仕方を調べる

同じ肉や魚でも、焼く、揚げる、ゆでるといった調理法によって、含まれる栄養成分はどの程度変わるのでしょうか。著者は、心血管の健康と関わる飽和脂肪酸、ナトリウム、オメガ3脂肪酸に着目し、動物性食品の調理法による違いを調べました。飽和脂肪酸とオメガ3脂肪酸は、いずれも脂肪を構成する成分の仲間です。

論文では、牛サーロイン、鶏肉類、エビ、サケやイワシなど10種の魚の分析結果を報告しています。実験室で調理条件をそろえ、焼く、フライパンで油を使って焼く、揚げる、煮る、ゆでるなどの方法を比較しました。肉の目に見える脂肪や皮の有無、調理に使う油脂の種類も変え、食品100グラム当たりの成分量を測定しました。

牛肉の脂肪や鶏肉の皮で生じた違い

牛肉では、目に見える脂肪を残して焼いた場合の飽和脂肪酸が100グラム当たり2596.95ミリグラムだったのに対し、脂肪を取り除いて焼くと2026.13ミリグラムでした。一方、油脂を加えてフライパンで調理したものは2596.62ミリグラムで、脂肪を残して焼いた場合と同程度の値になったと報告しています。

鶏肉類では、皮の有無と調理法の組み合わせで、飽和脂肪酸の量に3倍を超える開きがありました。最も多かったのは皮付きで揚げたものの100グラム当たり2227.18ミリグラム、最も少なかったのは皮なしでゆでたものの659.04ミリグラムでした。比較した調理法では、いずれも皮付きの方が皮なしより高い値でした。

エビのナトリウムと魚のオメガ3

エビのナトリウムは、焼いたものでは100グラム当たり1104ミリグラム、揚げたものでは1340ミリグラムでした。揚げた方が約21%高い値でしたが、この差は統計的に有意ではなく、偶然のばらつきでは説明しにくい差があるとまでは確認されませんでした。

魚では、分析したすべての魚種で、調理法によるオメガ3脂肪酸の濃度の違いが統計的に有意だったと報告しています。例えばイワシでは、100グラム当たり0.01グラム未満から1.48グラムまで幅がありました。ただし著者は、高い測定値が魚にもともと含まれるオメガ3の保持を意味するとは限らないと説明しています。調理油との脂肪のやり取りや、加熱で水分が減って成分が濃縮されることなども、値に影響する可能性があります。

栄養成分を考えるときは調理法も

この研究が測ったのは食品の成分であり、食べた後の吸収や、心血管疾患の発症への影響ではありません。著者は、食事の栄養を考える際には、食材の種類だけでなく、脂肪や皮を取り除くか、どのように加熱し、どの油脂を使うかにも目を向ける必要があるとしています。同じ食材でも、調理後の栄養成分は一様ではないことを示す報告です。

原著論文の著者・所属:Carlos Scherr(Fellow of the American College of Cardiology and European Society of Cardiology, Rua Visconde de Piraja, Rio de Janeiro, Brazil)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Carlos Scherr. Impact of Cooking Methods on Saturated Fat, Sodium, and Omega-3 Content in Animal-Based Foods: Implications for Cardiovascular Risk. Cardiology Open Access 2026-09-03. DOI: 10.33140/coa.11.02.01. 原著ライセンス:CC BY.