著者の所属・活動拠点の国は、イタリアです。

掲載誌:Nutrients

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

エナジードリンクと栄養補助食品(サプリメント)は、ここ20年ほどで若い世代、特に大学生の間で広く使われるようになりました。エナジードリンクはカフェインやタウリン、ハーブ抽出物、ビタミンB群などを含む飲料で、心身のパフォーマンスを高めるとうたって販売されています。サプリメントは、通常の食事を補う目的で、栄養素などを錠剤やカプセルの形に濃縮した製品です。著者らは、こうした製品が医学的な必要や専門家の助言がないまま使われることや、過剰摂取、複数製品の組み合わせについて、公衆衛生上の懸念があると述べています。

両者は別の製品ですが、効能のうたい文句や成分が重なるため、若い消費者には区別がつきにくい面もあります。研究チームによると、エナジードリンクとサプリメントはこれまで別々に調べられることが多く、同じ集団で両方を調べた研究は見当たらなかったといいます。そこで本研究は、大学生がそれぞれの製品をどのくらい使っているのか、また性別や運動習慣などの生活の特徴とどう関連しているのかを、別々に、さらに両方を併用する場合についても明らかにすることを目指しました。著者らは、両者の働きには重なりがあっても、利用は異なる動機や特徴に結びついた別々の行動であるという仮説を立てていました。

調査の方法

研究チームは、イタリア南部にあるキエーティ=ペスカーラ大学の学生を対象に、2023年2月から9月にかけてインターネット上のアンケートを実施しました。この研究は、大学生のカフェイン摂取の変化を調べた先行調査のデータを、新たな観点から分析し直した「二次解析」です。新しいデータは集めていません。

アンケートでは、年齢や性別などの基本情報に加え、過去30日間のサプリメントの使用の有無と種類・目的、エナジードリンクを飲む頻度、喫煙、コーヒーの摂取量、運動の有無と種類などを尋ねました。分析では、複数の要因を同時に考慮して、どの特徴が製品の利用と結びついているかを調べる統計手法(多変量ロジスティック回帰分析)が使われました。結果は「オッズ比」で示されており、これは、ある特徴を持つ人がその製品を使っている見込みが、基準となる人と比べて何倍かを表す指標です。

主な結果

参加した学生は404人で、約75%が女性、平均年齢は約22歳でした。多くは医療系の学部に在籍していました。生活習慣を見ると、45.3%が喫煙者で、68.3%は定期的な運動をしていませんでした。

エナジードリンクを飲むと答えた学生は27.9%でした。ただし、飲む人の約3分の2(64.6%)は週1回未満で、頻度は低めでした。一方、サプリメントを使っていた学生は36.7%で、種類としてはたんぱく質・アミノ酸系が最も多く(使用者の33.8%)、使用理由では「パフォーマンスの向上」が最多でした。エナジードリンクとサプリメントの両方を使っていた学生は4.2%にとどまりました。

両者は、関連する特徴がはっきり異なっていました。エナジードリンクの利用は、男性であること(オッズ比3.63)、コーヒーをよく飲むこと、チームスポーツへの参加(オッズ比6.59)と関連していました。運動をしているかどうか自体は、エナジードリンクの利用とは関連が見られませんでした。これに対しサプリメントの利用は、運動している学生で明らかに多く、特に筋力トレーニング(オッズ比32.2)や有酸素運動(オッズ比3.03)をしている学生と強く関連していました。また、男性は女性に比べてサプリメントを使う見込みが低い(オッズ比0.5)という結果でした。年齢、喫煙、BMI(体格指数)は、どちらの製品の利用とも有意な関連を示しませんでした。両方を併用する学生については人数が少なく、より単純な分析のみが行われ、年齢が若いほど併用しやすい傾向が示されました。

研究が示すこと

研究チームは、医療系を学ぶ大学生の間でエナジードリンクやサプリメントの利用が少なくないこと、そしてその利用が喫煙などの一般的な生活習慣よりも、特定のスポーツや運動の種類と結びついていることを報告しています。併用が少なく、関連する特徴も共通しなかったことから、著者らは、両者は異なる動機に基づく別々の行動である可能性を指摘しています。

ただし、この調査はある時点の状況を調べたもので、生活習慣が製品利用の原因であるとは言えません。また、1つの大学の学生を対象とし、女性や医療系の学生が多かったことから、結果をほかの大学生全体にそのまま当てはめることには限界があります。著者らは、こうした製品を情報に基づいて適切に使えるよう、大学で対象を絞った教育を行うことが役立つ可能性があると述べています。

原著論文の著者・所属:Federica Vaccaro(Department of Medicine and Ageing Sciences, “G. d’Annunzio” University of Chieti-Pescara, 66100 Chieti, Italy)、Giuseppe Di Martino(Department of Medicine and Ageing Sciences, “G. d’Annunzio” University of Chieti-Pescara, 66100 Chieti, Italy; Unit of Epidemiology and Health Statistic, Local Health Authority of Pescara, 65100 Pescara, Italy)、Pamela Di Giovanni(Department of Medicine and Ageing Sciences, “G. d’Annunzio” University of Chieti-Pescara, 66100 Chieti, Italy)、Tommaso Staniscia(Department of Medicine and Ageing Sciences, “G. d’Annunzio” University of Chieti-Pescara, 66100 Chieti, Italy; Unit of Epidemiology and Health Statistic, Local Health Authority of Pescara, 65100 Pescara, Italy)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Federica Vaccaro, Giuseppe Di Martino, Pamela Di Giovanni, et al. Consumption of Energy Drinks and Use of Dietary Supplements Among Italian University Students: A Cross-Sectional Study. Nutrients 2026-10-15. DOI: 10.3390/nu18203386. 原著ライセンス:CC BY.