この研究は、オーストラリア、フィンランドの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Psychology and Health

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

エナジードリンクは、頭の働きや身体のパフォーマンスを高める飲み物として宣伝されています。しかし研究チームは、過剰な摂取が健康上の好ましくない結果と結びつけられてきた点に着目しました。

この研究が調べようとしたのは、「どのような人がエナジードリンクを多く飲むのか」だけではなく、「その背景にある要因が、どのような心理的な道筋を通って実際の摂取行動につながるのか」という点です。著者らは、健康リテラシー(健康に関する情報を得て理解し、活用する力)、刺激希求性(新しく強い刺激を求める傾向)、年齢、性別という要因と、エナジードリンクの摂取との関係を取り上げました。

そのうえで、これらの要因と摂取行動の間を仲介するものとして「計画的行動理論」の考え方を用いています。これは、人の行動は「やろう」という意図によって導かれ、その意図は、その行動をどう感じるか(態度)、周囲の人がどう考えていると思うか(主観的規範)、自分にその行動がどれだけできそうか(行動統制感)によって形づくられる、とする枠組みです。

調べ方と主な報告結果

調査は大学生を対象に行われました。抄録によれば、回答者は男性74名、女性148名、ノンバイナリー3名です。二週間の間隔をあけて二回にわたり回答を集める、前向きの設計が採られました。分析にあたっては、回答者が自分の経済状況をどう認識しているか(主観的経済状況)によってグループを分け、その違いを比べる手法が使われています。

報告された結果によると、エナジードリンクの摂取は「飲もうとする意図」と関連していました。そしてその意図は、感情的な態度(飲むこと自体をどう感じるか)、道具的な態度(飲むことが役に立つと考えるか)、主観的規範、行動統制感によって説明されました。さらに行動統制感は、意図が実際の摂取につながる度合いを左右する働きをしていたと報告されています。

健康リテラシーと刺激希求性については、摂取への影響が計画的行動理論の各要素を通じて完全に仲介されていたとされます。つまり、これらの要因が摂取に直接結びつくのではなく、態度や規範、行動統制感といった心理的な要素を経由する形で関連していた、という報告です。

また、グループごとの違いも示されました。主観的経済状況がより高い層では、健康リテラシーと態度に関わる要素との関連がより強く見られました。一方、性別による主観的規範への影響は、主観的経済状況が平均かそれ以下の層でのみ確認されたと報告されています。

この研究が示すこと

著者らは、エナジードリンクの摂取と関連する要因は、砂糖入り清涼飲料の摂取について一般に指摘されてきた要因とは異なる可能性があり、また人口統計上のグループによっても変わりうると述べています。同じ「甘い飲み物」としてひとくくりに扱うのではなく、エナジードリンク固有の背景を考える必要があることを示唆する報告です。

同時に著者らは、今回の対象者が全体として主観的経済状況の高い層に偏っていた点を考慮すべきだと断っています。結果を読む際には、この前提を踏まえる必要があります。

この研究が描き出しているのは、個人の属性や特性が摂取行動へ直結するのではなく、その人がその行動をどう捉え、周囲をどう感じ、自分にできると思うかという心理的な道筋を通って現れる、という関係の構図です。

著者:Daniel J. Phipps(Faculty of Society & Design, Bond University)、Maija Puupponen(Faculty of Sport and Health Sciences, University of Jyväskylä)、Nicholas G. Browning(School of Applied Psychology, Griffith University)、Kyra Hamilton(Faculty of Sport and Health Sciences, University of Jyväskylä)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Daniel J. Phipps, Maija Puupponen, Nicholas G. Browning, et al. Social cognition pathways linking socio-demographic and individual-level factors to energy drink consumption in undergraduates. Psychology and Health 2026-09-23. DOI: 10.1080/08870446.2026.2734872. 原著ライセンス:CC BY.