著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Jurnal Kesmas dan Gizi (JKG)

ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

研究の目的

年齢を重ねると骨の密度は少しずつ低下し、骨量減少症(オステオペニア)や骨粗しょう症、さらには骨折の危険が高まります。骨量減少症とは、骨密度が正常より低いものの、骨粗しょう症とされる水準には至っていない状態を指します。

著者らは、骨の材料となるカルシウム、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、そして骨に刺激を与える身体活動が、高齢者の骨の健康を保つうえで重要だと考えました。そこで、インドネシア北スマトラ州ルブック・パカムにあるグランメッド病院で、高齢者のカルシウム摂取量、ビタミンD摂取量、身体活動の程度と骨密度との関連を調べました。

何をどのように調べたか

研究チームは、病院で検査を受けた高齢の患者から無作為に選んだ81人を対象にしました。対象者は60〜66歳で、64〜66歳が約7割を占めます。性別は男性が72.8%で、女性より多い構成でした。

カルシウムとビタミンDの摂取量、身体活動の程度は、質問票などを用いて把握しました。摂取量は「不足」と「十分」に、身体活動は「軽い」「中程度」「激しい」に分けました。骨密度は「正常」「骨量減少症」「骨粗しょう症」の3区分で整理しました。

調査は、ある時点の状態を一度に調べる横断研究です。カイ二乗検定という統計手法を用いて、グループごとに骨密度区分の分布に偶然とは考えにくい差があるかどうかを確かめました。

主な結果

骨密度が正常だった人は81人中19人(23.5%)にとどまりました。骨量減少症は34人(42.0%)、骨粗しょう症は28人(34.6%)で、4分の3を超える人に骨密度の低下がみられました。

食事面では、カルシウム摂取が不足していた人が76.5%、ビタミンD摂取が不足していた人が86.4%にのぼりました。身体活動は中程度の人が64.2%で最も多く、軽い人が24.7%、激しい人が11.1%でした。

論文によると、カルシウム摂取(p=0.001)、ビタミンD摂取(p<0.001)、身体活動(p<0.001)のいずれも、骨密度と統計的に有意な関連を示しました。たとえば、カルシウム摂取が十分な19人のうち17人は骨密度が正常でした。一方、不足していた62人のうち正常だったのは2人だけでした。ビタミンD摂取が十分な11人では9人が正常でした。身体活動が激しい9人では8人が正常だったのに対し、軽い20人で正常だったのは1人でした。

この研究が示すこと

著者らは、カルシウムとビタミンDを十分にとり、体の状態に合った身体活動を行うことに目を向ける大切さを、この結果が示していると述べています。ただし、横断研究であるため、示されたのは要因同士の関連です。摂取や活動の違いが骨密度の差を生んだという因果関係までは確かめられない、と論文自身が明記しています。

この調査からは、一つの病院の高齢者の多くで骨密度の低下と栄養摂取の不足が重なってみられることが読み取れます。また、栄養と身体活動が骨の状態と結びついている様子が、具体的な数字で浮かび上がっています。

原著論文の著者・所属:Salmi Angraini(Institut Kesehatan Medistra Lubuk Pakam)、April Yani(Institut Kesehatan Medistra Lubuk Pakam)、Dian Novita(Institut Kesehatan Medistra Lubuk Pakam)、Edarni Zebua(Institut Kesehatan Medistra Lubuk Pakam)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Salmi Angraini, April Yani, Dian Novita, et al. The Relationship Between Dietary Intake (Calcium and Vitamin D) and Physical Activity with Bone Density in the Elderly at Granmed Hospital, Lubuk Pakam. Jurnal Kesmas dan Gizi (JKG) 2026-10-28. DOI: 10.35451/jkg.v9i1.3953. 原著ライセンス:CC BY.