著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Journal of Saintech Transfer
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
なぜ小学校で教育を行ったのか
インドネシアの北スマトラ大学の研究チームは、メダン市の公立小学校068003校で、発酵食品と「清潔で健康的な生活習慣(CHLB)」を子どもたちに教える地域貢献活動を行い、その内容と成果を報告しました。CHLBは、石けんでの手洗い、栄養のある食事、身の回りや環境を清潔に保つことなどをまとめた生活習慣の考え方です。
著者らが問題にしたのは、学校で売られている間食です。子どもたちは糖分・塩分・脂肪の多い間食を食べることが多く、より健康的な選択肢についての知識も限られていると論文は述べています。実際、この学校の児童50人を対象にした事前調査では、82%が健康的でない間食をよく食べており、76%が食事の前やトイレの後に石けんで手を洗う習慣をもっていませんでした。
そこで研究チームは、間食選びと衛生習慣の両方に同時に働きかけることを目指しました。発酵食品は、有用な微生物の働きで自然に保存性が高まり、安全で栄養のある間食の例として紹介できると著者らは考え、これを清潔な生活習慣の教育と組み合わせました。
どのような活動を行ったのか
発酵食品の教育には5・6年生の児童50人が参加しました。研究チームが小学生向けに制作したアニメーション動画「発酵食品を知ろう」を上映し、テンペ(インドネシアの大豆発酵食品)、パン、ヨーグルト、ナタデココを例に、栄養上の利点や作り方を紹介しました。その後、質疑応答の時間を設け、実際に発酵食品を見て味わう機会も用意しました。
清潔で健康的な生活習慣の教育には43人が参加しました。ここでもアニメーション動画を使い、さらに正しい手洗いと歯みがきの方法を、チームが手本を見せたうえで児童が実践しました。家庭でも続けられるよう、児童一人ひとりに歯ブラシと歯みがき粉が配られました。
どちらの教育でも、活動の前後に同じ形式の知識テストを行い、点数の変化を統計的に比べました。発酵食品のテストは、定義、具体例、利点、作り方を問う7問で構成されていました。
このほか、児童6人を「リトルドクター」に任命し、傷の洗浄、鼻血の手当て、体温や血圧の測り方といった基本的な応急手当を指導しました。リトルドクターは、友だちの手本となって健康的な習慣を広めたり、学校の保健活動を手伝ったりする役割を担います。研究チームは学校の保健室(学校保健ユニット)向けに、ベッド、身長計・体重計、体温計、血圧計、救急箱も寄贈しました。
報告された主な結果
発酵食品に関する知識テストの平均正答率は、教育前の63.57%から教育後には85.14%へと上がり、21.57ポイントの増加でした。著者らは、この上昇が統計的に意味のある差(偶然では説明しにくい差)であったと報告しています。
清潔で健康的な生活習慣に関する知識テストでも、平均正答率は63.95%から89.07%へと25.12ポイント上がり、こちらも統計的に意味のある上昇だったとされています。
寄贈した身長計と体重計を使って児童50人の身長・体重も測定されました。著者らは、世界保健機関(WHO)の学齢期の成長基準に照らして、測定結果は同年代の子どもの正常な成長の範囲内だったと述べています。
この報告が示すこと
著者らは、動画、実演、双方向の質疑応答を組み合わせた教育によって、子どもたちの発酵食品と健康的な生活習慣に関する知識が高まったと結論づけています。今回の評価は、教育前後の知識テストの点数を比べたものです。
身近な発酵食品を教材にして間食選びと衛生習慣をまとめて教える方法は、小学校で健康についての理解を深め、より良い間食選びや健康的な生活習慣を後押しする取り組みになりうる、というのが論文の示す見方です。リトルドクターの育成や保健設備の寄贈は、活動の終了後も学校の中で健康づくりを続けるための工夫として位置づけられています。
原著論文の著者・所属:Karina Nola Sinamo(Universitas Sumatera Utara)、Ecia Meilonna Koka(Nutrition Study Program, Faculty of Public Health, Universitas Sumatera Utara, Medan, 20155, Indonesia.)、Veronica Angelia(Department of Prosthodontics , Faculty of Dentistry , Universitas Sumatera Utara , Medan , 20155 , Indonesia)、Nur Ulina W. Sebayang(Agrotechnology Study Program, Faculty of Agriculture, Universitas Sumatera UtaraMedan, 20155, Indonesia.)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Karina Nola Sinamo, Ecia Meilonna Koka, Veronica Angelia, Nur Ulina W. Sebayang Implementation of Fermented Food and Clean and Healthy Living Behavior (CHLB) Education for Elementary School Students a t Public Elementary School 068003 Medan City. Journal of Saintech Transfer 2026-08-09. DOI: 10.32734/jst.v9i1.25559. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。