この研究は、インドネシアの研究機関の研究論文です。

掲載誌:Jurnal Gizi dan Dietetik Indonesia (Indonesian Journal of Nutrition and Dietetics)

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

家庭で何を買い、どう調理し、子どもに何を食べさせるかを決めるうえで、母親は大きな役割を担っていることが多いとされます。この研究は、母親の「食リテラシー」が、世帯の食料安全保障や子どもの食事の質とどう関連しているかを調べたものです。食リテラシーとは、栄養に関する情報を手に入れ、理解し、日々の食事の選択に生かす力のことで、栄養の知識に加え、調理や家計のやりくり、食品表示を読み取るといった実践的な技能も含みます。また食料安全保障とは、世帯が十分な食料を安定して入手できる状態を指します。

著者らは子どもの食事の質の指標として、食物繊維の摂取量に注目しました。子どもの頃に身についた食習慣は思春期や成人期まで続きやすいこと、そして子どもの食物繊維摂取量は推奨量を下回りがちであることが、これまでに報告されているためです。

調査の方法

調査は2025年4月から5月にかけて、インドネシア・バニュマス県クドゥンバンテン地区の小学校2校で行われました。この地区では子どもの栄養不良の割合が高いことから、この2校が選ばれています。対象は4年生と5年生(9〜12歳)の子どもとその母親86組です。ある一時点のデータを集めて関連を調べる「横断研究」という形式をとっています。

母親の食リテラシーは12項目の短い質問票で、世帯の食料安全保障は過去30日間に食料不足に関わる状況があったかを尋ねる9項目の尺度で評価しました。子どもの食事内容は、前日に食べたものを聞き取る方法を、連続しない2日分実施して記録しています。分析では、収入、母親の年齢、家族の人数などの影響を考慮に入れたうえで、それぞれの要因がどの程度関連しているかを統計的に検討しました。

主な結果

まず、子どもの食物繊維摂取量は平均約5.7グラムで、インドネシアの推奨量の約21%にとどまっていました。一方、たんぱく質は推奨量を上回っていました。

二つの要因を一つずつ組み合わせて見る分析では、母親の食リテラシーが高いほど、また世帯収入が多いほど、食料安全保障が良好であるという関連が見られました。しかし、収入や家族の人数などを同時に考慮した分析では、食料安全保障と有意な関連を保ったのは世帯収入だけでした。収入が100万ルピア増えるごとに、食料が確保されている状態にある見込み(オッズ)は約1.43倍になると報告されています。

子どもの食物繊維摂取量については逆の傾向が見られました。収入や母親の年齢などを考慮した分析で、有意な関連を示したのは母親の食リテラシーだけでした。食リテラシーの得点が1点高いと、食物繊維摂取量がわずかに多いという関連です。ただし著者らは、この関連は比較的小さく、分析モデルが説明できたのは摂取量のばらつきの7.5%程度だったとしています。なお、エネルギーやたんぱく質の摂取量は母親の食リテラシーと関連していませんでした。

著者らは研究の限界も挙げています。横断研究であるため、ここで示された関係は関連にとどまり、因果関係は確かめられていません。また対象者が86組と少なく、結果をより広い集団に当てはめるには慎重さが必要だとしています。

研究が示すこと

この研究からは、食料を十分に手に入れられるかどうかには主に収入が関わり、食事の質、とくに食物繊維の摂り方には母親の食リテラシーが関わっている可能性がうかがえます。著者らは、収入が限られた家庭では栄養の知識があっても、それを食品の購入に生かすことが難しいと考察しています。そのうえで、経済的な支援と、地域の文化に合った母親向けの栄養教育を組み合わせた取り組みが、子どもの栄養の改善に役立ちうると論じています。

著者:Dyah Umiyarni Purnamasari(Department of Nutrition, Faculty of Medicine and Health Sciences, Jenderal Soedirman University, Jalan Profesor Dr. HR Boenyamin No. 708, Purwokerto, 53123, Indonesia)、Atikah Proverawati(Department of Nutrition, Faculty of Medicine and Health Sciences, Jenderal Soedirman University, Jalan Profesor Dr. HR Boenyamin No. 708, Purwokerto, 53123, Indonesia)、Wahyu Vera Wardani(Department of Nutrition, Faculty of Medicine and Health Sciences, Jenderal Soedirman University, Jalan Profesor Dr. HR Boenyamin No. 708, Purwokerto, 53123, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Dyah Umiyarni Purnamasari, Atikah Proverawati, Wahyu Vera Wardani Maternal food literacy and its association with household food security and dietary fiber intake among primary school children in Indonesia. Jurnal Gizi dan Dietetik Indonesia (Indonesian Journal of Nutrition and Dietetics) 2026-09-30. DOI: 10.21927/ijnd.2026.14(5).334-342. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。