著者の所属・活動拠点の国は、ヨルダンです。

掲載誌:Frontiers in Agronomy

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

しおれたキュウリから、どのような菌が見つかるか

研究チームは、ヨルダンのキュウリ栽培で問題となるフザリウム萎凋病について、関係する菌の種類や病気を起こす力、ほかのウリ科作物への影響を調べました。萎凋病は、土壌中の菌によって植物がしおれる病気です。研究では、農場で使われる複数の防除方法も比較しました。

2024年に主要産地の50農場から、しおれや黄化などの症状がある施設栽培のキュウリ165株を採取しました。組織から菌を培養し、形態の観察やDNA配列の解析によって種類を調べました。

解析可能なDNA配列が得られた50菌株のうち、46菌株がフザリウム・オキシスポラムでした。ほかに3種のフザリウム属菌も見つかりました。この結果から、著者らは、症状のあるキュウリから得られ、配列を確認できた菌株では、オキシスポラムが優勢だったと報告しています。

キュウリへの病原性は菌のグループで異なる

研究チームは、特定のDNAを検出するPCR検査で、オキシスポラムの病原性に関わるグループ1、3、4を確認しました。さらに、選んだ菌株を植物に接種し、病気や枯死が起こるかを調べました。

キュウリへの接種試験では、グループ1が一貫して最も多くの枯死を引き起こし、グループ3、4が続きました。最初の試験では、各処理16株のうち、グループ1で11株、グループ3と4でそれぞれ6株が枯死しました。菌を接種しなかった対照でも2株が枯死しましたが、培養した代表的な対照株からフザリウムは回収されませんでした。

ほかのウリ科作物への試験では、グループ1を接種したカボチャとメロンに枯死は見られませんでした。一方、スイカでは菌を接種しない対照でも枯死が起きたため、著者らは培地中の別の微生物の影響を考えました。滅菌した培地を使うとスイカの枯死は少なくなり、著者らは一連の結果を、試験した菌株がキュウリに強く病気を起こすことを支持するものと位置づけています。

農場試験では土壌くん蒸と接ぎ木で枯死率が低かった

防除方法の比較では、5つの温室を用い、通常の耕起、深く耕す深耕、接ぎ木、土壌くん蒸、農家の慣行を模した複数薬剤の処理、無処理の6条件を12週間観察しました。接ぎ木は、キュウリを別の台木につないで育てる方法です。

12週時点の平均累積枯死率は、無処理で43.04%、通常の耕起で34.24%だったのに対し、深耕では16.80%、複数薬剤の処理では9.92%でした。最も低かったのはメタムカリウムによる土壌くん蒸の1.12%と、接ぎ木の3.68%でした。なお、複数薬剤の処理は作用対象の異なる製品を組み合わせたもので、著者らはフザリウムだけに対する薬効試験とは区別しています。

この研究は、ヨルダンの症状のあるキュウリに関わる菌の構成と、菌株による病原性の違いを示しました。また、今回の農場試験では、防除方法によって枯死率が異なり、土壌くん蒸と接ぎ木で低かったことを報告しています。

原著論文の著者・所属:Muath I. Annuka(Department of Plant Protection, School of Agriculture, The University of Jordan)、Kholoud M. Alananbeh(Department of Plant Protection, School of Agriculture, The University of Jordan)、Farah M. Al-Amir(Department of Plant Protection, School of Agriculture, The University of Jordan)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Muath I. Annuka, Kholoud M. Alananbeh, Farah M. Al-Amir. Survey, characterization, host specificity and evaluation of some control methods of Fusarium species associated with wilt disease on cucumber in Jordan. Frontiers in Agronomy 2026-11-04. DOI: 10.3389/fagro.2026.1961835. 原著ライセンス:CC BY.