著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:Jurnal Gizi Klinik Indonesia

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

肥満は、糖尿病や心血管疾患、高血圧などのリスクを高める要因です。治療の基本は、食事の見直しと身体活動の増加による生活習慣の改善です。インドネシアでは米が主食ですが、白米はエネルギー量が比較的多く、血糖値を上げやすい食品とされています。そのため、栄養価が高く、エネルギー密度が低く、満腹感が続きやすい主食の代わりを探す動きがあります。

その候補の一つが「アナログライス(人工米)」です。米以外の地元の食材から、米粒に似た形に作った主食です。研究チームが取り上げたのは、こんにゃくと同じ仲間の芋であるポラン(Amorphophallus muelleri)を原料にした人工米です。ポランにはグルコマンナンという水溶性の食物繊維が豊富に含まれています。グルコマンナンは多量の水を吸い、消化管の中でとろみのあるゲル状になります。著者らによると、この性質によって胃からの排出が遅くなり、満腹感にかかわるホルモンが増えるなどして、空腹感が抑えられると考えられています。

ただし、ポラン人工米を肥満の成人に食べてもらい、体組成の変化を調べた研究は限られていました。そこで研究チームは、大学の学生と職員を対象に、ポラン人工米を食べることで体重、BMI、体脂肪量、除脂肪量(体重から脂肪を除いた分で、筋肉・骨・水分などを含む)がどう変わるかを調べました。

どのように調べたか

参加したのは、ジャカルタの大学に所属する20〜60歳の学生と職員で、アジア太平洋地域の基準でBMIが25以上の人たちです。74人が参加条件の確認を受け、26人が研究に加わりました。このうち4人は決められた手順を守れずに外れ、最後まで参加した22人が分析の対象になりました。最初の時点の体重は平均88.5kgで、BMIが30以上の肥満2度に当たる人が6割余りを占めていました。

参加者はまず栄養指導を受け、1日およそ1,200〜1,500kcalのエネルギーを抑えた食事をとるよう求められました。そのうえで4週間、朝・昼・夕の3食で、ふだんの米の代わりにポラン人工米を食べました。1食分は乾燥状態で40g(1袋)、炊くと約100gになります。エネルギーは約140kcal、炭水化物は約32g、たんぱく質は約3g、食物繊維は約6gです。著者らは、白米100gを約175kcal、炭水化物約40gとして、それよりやや低いと述べています。

この研究には、ポラン人工米を食べない比較グループがありません。同じ参加者について、介入の前と後の値を比べる方法です。体組成は、体に微弱な電流を流して測る市販の体組成計を使い、開始時、2週間後、4週間後に、朝の空腹時に測定しました。

主な結果

2週間後には、平均体重が88.5kgから87.5kgに減り、統計的に意味のある差が見られました。BMIと体脂肪量も有意に減少しました。一方、この時点では、除脂肪量、筋肉量、体内の水分量に有意な変化はありませんでした。

4週間後には、平均体重は86.9kgまでさらに減りました。BMIの中央値は31.3から30.7に、体脂肪量の中央値は25.1kgから24.5kgに下がりました。ただし、除脂肪量(平均59.3kgから58.9kg)と筋肉量(平均56.4kgから56.0kg)も、開始時に比べて有意に減少しました。体内の水分量はわずかに減りましたが、統計的に意味のある差ではありませんでした。

著者らは、筋肉量が減った理由の一つとして、参加者がたんぱく質の摂取量を増やしたり、運動を増やしたりするよう指示されていなかったことを挙げています。また、体組成計による測定値は、体内の水分の状態の影響を受ける可能性があるとも述べています。

この研究が示すこと

著者らは、ポラン人工米を食べることが、肥満の成人における体重、BMI、体脂肪量、除脂肪量の減少と関連していたと結論づけています。そのうえで、体重管理のための食事で、炭水化物源の選択肢になりうると述べています。一方で、減量中に筋肉量を保つには、十分なたんぱく質をあわせてとる必要があるとしています。

この研究にはいくつかの限界があり、著者ら自身もそれを認めています。参加者は22人と少なく、期間は4週間と短く、比較グループもありません。さらに、参加者は同時にエネルギーを抑えた食事もとっていたため、観察された変化がポラン人工米そのものによるものかどうかは、区別できていません。食事記録の記入も十分ではありませんでした。今回の結果は、主食を置き換える食事の中で体重や体脂肪が減ったという観察であり、ポラン人工米の効果を確かめたものではありません。一方で、減量の際に脂肪だけでなく筋肉も減りうることにも目を向ける必要があることを示しています。

原著論文の著者・所属:Sri Wuryanti(Department of Nutrition YARSI University, Jakarta, Indonesia)、Nur Asiah(Department of Nutrition YARSI University, Jakarta, Indonesia)、Fatimah Eliana(Department of Internal Medicine YARSI University, Jakarta, Indonesia)、Himmi Marsiati(Department of Biochemistry YARSI University, Jakarta, Indonesia)、Ghefira Nadya Farista(Medical Student of YARSI University, Jakarta, Indonesia)、Fildza Putri Fauziyyah(Medical Student of YARSI University, Jakarta, Indonesia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sri Wuryanti, Nur Asiah, Fatimah Eliana, Himmi Marsiati, Ghefira Nadya Farista, Fildza Putri Fauziyyah Effects of porang-based analog rice consumption on body composition in adults with obesity. Jurnal Gizi Klinik Indonesia 2026-07-30. DOI: 10.22146/ijcn.114195. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。