著者の所属・活動拠点の国は、ドイツ、オーストリアです。
掲載誌:Translational Exercise Biomedicine
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
肉や魚、卵、乳製品などの動物性食品をとらないヴィーガン食が、運動能力や体組成(体重のうち脂肪や筋肉がどれだけを占めるか)にどのように影響するかは、まだ十分に調べられていません。特に、食事の内容を管理した条件のもとで検証した研究は多くありません。
そこで研究チームは、普段は肉や魚も含む雑食をしている、運動習慣のある成人を対象にランダム化比較試験を行いました。参加者を無作為に複数の群に分けて比べるこの方法で、3週間のヴィーガン食が身体能力、体組成、心身の調子(ウェルビーイング)にどう影響するかを調べました。
どのように調べたか
参加したのは、健康で運動習慣のある成人24人です。参加者はまず、決められたトレーニングを行いながら普段の食事内容を記録する準備期間を過ごしました。そのうえで、2つのグループに無作為に分けられ、どちらも3週間ヴィーガン食をとりました。
一方のグループは、ヴィーガン食を好きなだけ食べてよい条件でした。もう一方のグループは、準備期間に普段とっていた量と同じエネルギー(カロリー)になるよう調整したヴィーガン食をとりました。研究期間を通じて、全員が週2回の筋力トレーニングと週2回の持久力トレーニングを続けました。
主に注目した指標は、筋肉を動かさずに力を出したときの最大筋力と、運動中に体が取り込める酸素の最大量(最大酸素摂取量、持久力の目安)です。あわせて、体組成、食事からの摂取量、安静時に消費するエネルギー、日常の身体活動量、参加者自身が答えた体調の感じ方も調べました。測定は、研究開始時、3週間のヴィーガン食の後、そして雑食に戻った後に行われました。
主な結果
参加者は全員、最後まで研究を終えました。抄録によると、どちらのグループでも体重と体脂肪が有意に減少した一方、筋肉量は変わりませんでした。主要な指標である筋力と最大酸素摂取量は、両グループとも維持されていました。
食事の面では、好きなだけ食べてよいグループでエネルギーとたんぱく質の摂取量が減りました。カロリーを調整したグループでは摂取量が安定していました。食物繊維の摂取量は両グループで増えました。
体調の感じ方については、両グループで睡眠の質が良くなったと報告されました。さらに、カロリーを調整したグループでは、全般的な身体面の調子も良くなったと報告されています。
研究が示すこと
著者らは、好きなだけ食べる場合でもカロリーをそろえた場合でも、3週間のヴィーガン食によって体組成や主観的な体調の一部に変化がみられ、筋力、持久力、筋肉量は保たれていたと結論づけています。運動習慣のある24人を3週間追った研究の範囲で、短期間ヴィーガン食に切り替えても、これらの体力指標は維持されていたことが示されました。
原著論文の著者・所属:Alexander Pohl(Department of Biosciences of Sport Science, Institute of Sport Science , University of Hildesheim , Germany)、Frederik Schünemann(Olympic Base Center Westphalia , Dortmund , Germany)、Markus Böker(Department of Athletics and Medicine, RB Salzburg , Salzburg , Austria)、Andreas Reeb(Independent Researcher , Frankfurt , Germany)、Sebastian Gehlert(Department of Biosciences of Sport Science, Institute of Sport Science , University of Hildesheim , Germany; Department of Molecular and Cellular Sports Medicine , German Sports University Cologne , Cologne , Germany)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Alexander Pohl, Frederik Schünemann, Markus Böker, et al. A three-week vegan diet does not impact physical performance but induces alterations in body composition and well-being in physically active adults. Translational Exercise Biomedicine 2026-10-22. DOI: 10.1515/teb-2026-0029. 原著ライセンス:CC BY.