著者の所属・活動拠点の国は、ブラジルです。
掲載誌:RECIMA21 - Revista Científica Multidisciplinar
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
肥満は脂肪組織が異常に、または過剰に蓄積した状態で、糖尿病や心血管疾患、高血圧などの慢性疾患の重要な危険因子とされています。体組成には遺伝や生活習慣などさまざまな要因が関わりますが、なかでも食事は中心的な役割を果たします。研究チームが注目したのは、果物や野菜に多く含まれる植物由来の化合物であるポリフェノールです。
ポリフェノールには抗酸化作用や抗炎症作用などがあり、脂肪細胞の形成や脂質代謝に影響しうる仕組みも報告されています。こうした背景から著者らは、ポリフェノールの総摂取量と、その種類ごとの摂取量が、体脂肪などを示す体組成の指標とどのように関連しているかを、ブラジル北東部の都市に住む成人と高齢者を対象に調べました。
何をどのように調べたか
研究は、2018〜2019年にピアウイ州で家庭訪問によって行われた健康調査のデータを用いた横断研究です。横断研究とは、ある一時点の状態を調べて項目どうしの関係を見る方法で、原因と結果の順序までは特定できません。対象は州都テレジーナに住む20歳以上の490人で、20〜59歳が73.9%、60歳以上が26.1%、女性が66.7%でした。
食事は、前日24時間に食べたものを聞き取る方法で調べ、一部の参加者には約2か月後にもう一度聞き取りを行いました。食品ごとのポリフェノール含有量は、ポリフェノールの食品成分データベース「Phenol-Explorer」などを使って求め、各食品の摂取量に掛け合わせて合計しました。摂取量は摂取エネルギー1000キロカロリーあたりの値にそろえています。
体組成の指標としては、体格指数(BMI)、腰囲、腰囲を身長で割った値(腰囲身長比)、上腕の周囲長に加え、二の腕の裏側(上腕三頭筋部)と肩甲骨の下の皮膚をつまんでその厚みを測る皮下脂肪厚を用いました。肩甲骨下の皮下脂肪厚は成人のみで測定されています。参加者を摂取量に応じて三つのグループ(三分位)に分け、最も少ないグループと比べて他のグループで指標がどう違うかを、年齢、性別、学歴、飲酒、喫煙、身体活動、摂取エネルギーの影響を考慮した統計モデルで分析しました。
主な結果
エネルギー調整後のポリフェノール総摂取量は、平均で1日873.87ミリグラムでした。個人差は大きく、著者らは、この値は日本の報告(約1500ミリグラム)より少なく、欧州や南北アメリカの報告と同程度だと位置づけています。学歴別では、初等教育の人の平均摂取量が最も多く、高等教育の人で少ない傾向がみられました。また、果物からのポリフェノール摂取量は、高齢者のほうが成人より多いと報告されています。
体組成との関係では、ポリフェノール総摂取量は、BMI、腰囲、腰囲身長比のいずれとも統計的に意味のある関連を示しませんでした。一方、種類別に見ると、ポリフェノールの主要なグループであるフラボノイドの摂取量が2番目に多いグループで、腰囲身長比がわずかに低いという関連がみられました。
皮下脂肪厚では、より明確な関連が報告されています。上腕三頭筋部の皮下脂肪厚は、フラボノイド、フラボノイドの一種であるフラボノール、そして「その他のポリフェノール」の摂取量が多いグループで低い値を示しました。肩甲骨下の皮下脂肪厚については、ポリフェノール総摂取量が2番目に多いグループで、最も少ないグループより3.11ミリメートル薄いという関連があり、フラボノイドやその他のポリフェノールの摂取量が多いグループでも薄い傾向がみられました。
研究から伝わること
この研究では、ポリフェノールの総摂取量と、全身の体格や腹部の脂肪を反映するBMIや腰囲との間に明確な関連は見られませんでした。その一方で、フラボノイドなど特定の種類の摂取量が多い人ほど、皮下脂肪の厚みが小さいという関連が示されました。著者らは、ポリフェノールの多い食事が体脂肪の減少に役立ち、成人や高齢者の肥満の予防や治療に寄与する可能性があると考察しています。ただし、これは一時点の調査で見られた関連であり、摂取が体組成を変えたという因果関係を直接示したものではありません。
著者:Jany de Moura Crisóstomo(Federal University of Piauí)、Layanne Cristina de Carvalho Lavôr、Alana Rafaela da Silva Moura、Bruna Grazielle Mendes Rodrigues、Aretha Matos de Araujo、Vanessa do Nascimento Vilarinho、Karoline de Macêdo Gonçalves Frota
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jany de Moura Crisóstomo, Layanne Cristina de Carvalho Lavôr, Alana Rafaela da Silva Moura, et al. ASSOCIATION BETWEEN TOTAL POLYPHENOL INTAKE AND BODY COMPOSITION MARKERS: A POPULATION-BASED STUDY. RECIMA21 - Revista Científica Multidisciplinar 2026-10-15. DOI: 10.47820/recima21.v7i10.9268. 原著ライセンス:CC BY.