著者の所属・活動拠点の国は、トルコです。
掲載誌:Foods
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的:添加物を「組み合わせ」で見る
包装食品の多くには食品添加物が使われていて、しかも複数の添加物が一緒に表示されることがよくあります。これまでの研究でも、添加物が特定の組み合わせで繰り返し現れることが、フランス、香港、ブラジルなどで報告されてきました。一方、そうした添加物の組み合わせが、同じ食品の栄養的な質とどう関係しているかについては、直接的な証拠が限られていました。
今回紹介する論文は、トルコの小売店で集めた包装食品の表示データを使い、この点を調べたものです。研究チームが注目したのは、個々の添加物の名前ではなく、添加物の「機能分類」です。機能分類とは、国際的な食品規格であるコーデックス(Codex)が添加物ごとに挙げている技術的な役割のことで、保存料、着色料、増粘剤、膨張剤、酸化防止剤などがあります。著者らの目的は二つでした。第一に、表示された添加物から導いた26種類の機能分類が、製品ごとにどのような組み合わせのパターンをつくっているかを明らかにすること。第二に、そのパターンと、食品の栄養バランスをAからEの5段階で示すNutri-Score(ニュートリスコア)の評価との関連を推定することです。
何をどう調べたか
研究チームは2025年6月から2026年1月にかけて、トルコの9つの小売チェーンについて、クルクラーレリとイスタンブールにある計20店舗で、棚に並ぶ包装食品と酒類以外の飲料のラベルを撮影しました。あわせて3つのオンライン販売サイトも確認しています。原材料表示と栄養成分表示をデータベースに書き起こし、もう一人の研究者が画像と照合して点検しました。分析の対象は6515製品です。ただし、店舗やチェーンの選び方は無作為抽出ではないため、このデータはトルコ全体の食品供給を代表するものではないと論文は明記しています。
表示された添加物のうち、具体的な物質として国際番号(INS)を特定できたものについて、コーデックスが挙げる機能分類に置き換えました。甘味料と糖アルコールは、Nutri-Scoreの計算そのものに関わる要素と重なるため、分析前に除外しています。その結果、少なくとも一つの機能分類が得られた3383製品が、組み合わせのパターンを探す分析に使われました。なお、この分析に入らなかった製品が「添加物を含まない」という意味ではないと、著者らは注意を促しています。
パターンの抽出には「潜在クラス分析」という統計手法が使われました。これは、多くの「ある・なし」の情報から、似た組み合わせをもつ製品のまとまり(プロファイル)を見つけ出す方法です。研究チームはあらかじめ定めた複数の基準を総合的に検討し、5つのプロファイルを採用しました。ただし、ガス関連の機能分類を中心とする5つ目のプロファイルは、機能分類への置き換え方に結果が左右されやすいため、解釈の対象から外されています。
Nutri-Scoreはトルコでは使われておらず、対象製品にこの表示はありませんでした。そのため研究チームが、ラベルの栄養成分情報から2023年改訂版の計算方法で評価を算出しました。評価を算出できた2942製品(56の食品小分類)について、食品の種類の違いを考慮したうえで、プロファイルと評価との関連を調べています。比較の基準には、表示される機能分類が少ないプロファイルが使われました。
主な結果
膨張や食感に関わる機能分類が多いプロファイルは、評価の段階全体を通じて、より悪い評価になりやすいことと関連していました。基準のプロファイルと比べると、より悪い評価の側に入るオッズ(起こりやすさの比)は1.99倍で、95%信頼区間は1.51〜2.63でした。
一方、酸化の防止や色の保持に関わる機能分類が多いプロファイルは、最も低い評価であるEに分類されるオッズが低く、オッズ比は0.49(95%信頼区間0.37〜0.63)でした。また、コーティングや構造に関わるプロファイルは、最も良い評価の側に位置しにくい傾向を示しましたが、推定の精度は低いと報告されています。
研究チームは、ガス関連の機能分類をまとめて分析を簡略化した場合や、除外した甘味料・糖アルコールの甘味料以外の機能分類を戻した場合なども検討しました。プロファイルだけを用いたモデルでは、これらの関連の向きは保たれました。ただし、関連の大きさや、評価のどの境目で関連が現れるかは分析の設定によって変わり、特に膨張・食感のプロファイルでその影響が大きかったとしています。
この研究が示すこと
この研究は、包装食品に表示された添加物を、国際的に共通した「機能」の組み合わせとして整理し、同じ製品の栄養評価と並べて見るという試みです。その結果、機能の組み合わせのパターンによって、栄養評価との関連の向きが異なることが示されました。
ただし著者らは、これらの結果を、食品の小分類を考慮したうえでの記述的な比較であり、全国を代表しない標本にもとづくものだと位置づけています。また、プロファイルはラベル表示をコーデックスの機能分類に置き換えたものを表しているにすぎません。実際に製品の中で果たしている機能や、人が摂取する添加物の量、健康への影響を示すものではないと強調しています。
原著論文の著者・所属:Sena Roberts(Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Health Sciences, Acibadem Mehmet Ali Aydinlar University, Ataşehir, 34752 Istanbul, Turkey; Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Health Sciences, Kirklareli University, 39100 Kirklareli, Turkey)、Muhammet Ali Çakır(Department of Nutrition and Dietetics, Faculty of Health Sciences, Kirklareli University, 39100 Kirklareli, Turkey)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sena Roberts, Muhammet Ali Çakır. Latent Profiles of Codex-Mapped Additive Functional Classes and Their Association with Nutri-Score in a Sampled Turkish Retail Food Inventory. Foods 2026-10-27. DOI: 10.3390/foods15213838. 原著ライセンス:CC BY.