著者の所属・活動拠点の国は、南アフリカです。
掲載誌:Theoretical and Applied Climatology
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
気候と収量の関係を地域ごとに捉える
研究チームは、南アフリカの主要なトウモロコシ産地で、極端な暑さや降雨の変化が収量の年ごとの変動とどのように関係するかを調べました。国や州全体の傾向だけでなく、地区ごとの違いを明らかにすることが目的です。
対象は、夏に雨が降る地域にある主要産地の5州で、国内のトウモロコシ生産量の85%超を占めます。西部には乾燥した産地、東部には比較的湿潤な産地が広がり、気候条件が異なります。
30年以上の記録から暑さ・雨・収量を分析
著者らは、各州から少なくとも2か所の気象観測地点を選び、30年を超える気象記録と対応する地区の収量記録を分析しました。栽培期に当たる10月から翌年4月について、気温や非常に暑い日の割合、雨の量や降り方、乾燥の程度などを調べました。
収量については、種子や肥料、栽培管理の改善などによる長期的な増加傾向を取り除いてから、気候との関連を分析しました。さらに、複数の気候指標を組み合わせた統計モデルを使い、収量の年ごとの変動をどの程度説明できるかを調べました。
広く進む高温化と、地区によって異なる収量との関連
研究チームは、栽培期の高温化が広く進んでいると報告しました。栽培期中の最高気温は全観測地点で統計的に有意に上昇し、その上昇率は年当たり0.05~0.11℃でした。非常に暑い日の割合も全地点で増加しました。一方、栽培期の総降水量には、どの地点でも統計的に有意な長期変化は認められませんでした。
収量と気候の関係には、明確な地域差がありました。半乾燥地域のクラークスドルプやフライバーグでは、水分の利用可能性と収量の結び付きが強く、総降水量や雨の日数、水分状態を表す指標が高い年ほど、収量も高い傾向が報告されました。比較的湿潤なエストコートやニューカッスルでは、雨の量・頻度・強さと極端な気温の組み合わせが収量の変動に関係していました。
著者らによると、水分が制約となる地域では、気候指標を用いたモデルが収量の年々の変動の最大69%を説明しました。これは収量が69%減ったという意味ではなく、年ごとの収量の上下が気候の変動とどの程度対応していたかを示す結果です。
総雨量だけでは見えない産地の違い
論文が示しているのは、トウモロコシの収量を理解するには、栽培期全体の雨量だけでなく、雨がいつ、どのくらいの頻度や強さで降るか、極端な暑さがどう重なるかを見る必要があるということです。著者らは、気候と収量の関係が地区によって異なるため、農業上の対応も地域の気候条件に合わせて考える重要性を強調しています。
原著論文の著者・所属:Lindumusa Myeni(Department of Geography and Environmental Studies, School of Geo- and Spatial Sciences, North-West University, Mahikeng, South Africa; Unit for Environmental Sciences and Management, Centre for Global Change, North-West University, Potchefstroom, South Africa)、Nisa Ayob(Department of Geography and Environmental Studies, School of Geo- and Spatial Sciences, North-West University, Mahikeng, South Africa; Unit for Environmental Sciences and Management, Centre for Global Change, North-West University, Potchefstroom, South Africa)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Lindumusa Myeni, Nisa Ayob. Long-term changes in the climate extremes and their impacts on maize yields in the summer rainfall region of South Africa. Theoretical and Applied Climatology 2026-09-11. DOI: 10.1007/s00704-026-06550-y. 原著ライセンス:CC BY.