著者の所属・活動拠点の国は、南アフリカです。
掲載誌:Critical Public Health
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
レビューの目的
南アフリカでは肥満の増加が深刻な公衆衛生上の課題となっており、その背景として砂糖入り飲料の多量摂取との関連が指摘されています。著者らは、この問題への対策として2018年に導入された「健康促進税(Health Promotion Levy)」を取り上げ、その設計、影響、限界を検討しました。
健康促進税はアフリカで初めての砂糖税で、砂糖入り飲料の価格を引き上げることで消費を減らすことを狙った制度です。このレビューは、新たな実験や調査を行うものではなく、この税をめぐるこれまでの知見を整理し、公衆衛生の観点から評価する位置づけの論文です。
報告された主な効果
抄録によると、著者らは、健康促進税によって消費者による砂糖入り飲料の購入が減ったことを示す証拠があると報告しています。
また、税の導入が飲料メーカーに製品の「リフォーミュレーション」、つまり砂糖の量などを見直して製品の配合を変えることを促したことも、証拠として示されています。
残された課題
一方で著者らは、課題も残っていると指摘しています。一つは、消費者が課税対象外の砂糖を含む製品へ乗り換える「代替」の問題です。ほかにも、健康促進税そのものが十分に知られていないことや、業界からの反発が挙げられています。
このレビューが示すこと
著者らは、健康促進税が購入の減少や製品の見直しにつながったとする一方で、税だけでは課題が残るとして、ほかの施策を組み合わせることと、税の効果を継続的に監視することの必要性を強調しています。砂糖税を公衆衛生の長期的な成果につなげるには、制度の導入後も影響を見続け、補完的な対策を整えることが重要だというのが、このレビューの示す視点です。
原著論文の著者・所属:Nikita Baijnath(Dietetics and Human Nutrition, School of Health Sciences, College of Health Sciences, University of KwaZulu-Natal)、Kirthee Pillay(Dietetics and Human Nutrition, School of Health Sciences, College of Health Sciences, University of KwaZulu-Natal)、Nicola Wiles(Dietetics and Human Nutrition, School of Health Sciences, College of Health Sciences, University of KwaZulu-Natal)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Nikita Baijnath, Kirthee Pillay, Nicola Wiles. The Health Promotion Levy in South Africa: a public health review. Critical Public Health 2026-08-07. DOI: 10.1080/09581596.2026.2687198. 原著ライセンス:CC BY.