著者の所属・活動拠点の国は、イギリスです。
掲載誌:British Journal Of Nutrition
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
食生活の変化に対応した質問票を開発
研究チームは、英国の成人でヨウ素の摂取不足のリスクを短時間で把握するため、デジタル質問票「IoRISC」を開発し、食事記録と比べてその性能を調べました。ヨウ素は、成長や代謝を調節する甲状腺ホルモンの材料となる栄養素です。英国では牛乳や乳製品が主な摂取源ですが、植物性の代替飲料の利用が広がっており、こうした食生活の変化を反映した評価方法が求められていました。
質問票では、牛乳、乳製品、卵、魚介類、肉類などを普段どのくらい食べるかを尋ねます。植物性代替飲料については、製品によるヨウ素添加の違いも考慮し、サプリメントやヨウ素添加塩の使用も確認しました。
108人の食事記録と比較
研究には、18歳以上の健康な英国成人108人が参加しました。参加者は質問票に回答した後、飲食物やサプリメントを6日間記録しました。研究チームは、この食事記録を比較の基準として、それぞれの方法から1日当たりのヨウ素摂取量を推定しました。摂取量の分類には、英国成人の基準値である1日140マイクログラムを用い、これを下回る場合を摂取不足としました。
推定摂取量の中央値は、質問票で1日145マイクログラム、食事記録で140マイクログラムとなり、統計的に有意な差はありませんでした。食事記録では参加者の50%、質問票では47%が摂取不足に分類されました。著者らは、食事記録で摂取不足とされた人を質問票でも不足と捉える割合を82%、十分とされた人を十分と捉える割合を87%と報告しています。質問票への回答時間は中央値で4分でした。
摂取不足のリスクを把握する手段として
著者らは、IoRISCについて、植物性代替飲料を含む現在の英国の食生活に対応し、少ない負担でヨウ素摂取不足のリスクを把握できる方法だと結論づけています。
今回確かめたのは食事記録との一致であり、尿などの検査によって体内のヨウ素の状態を直接確認したわけではありません。また、この質問票は摂取量を精密に測ることより、不足かどうかを分類することを主な目的としています。研究は、日常の食べ方を短時間で尋ねることが、ヨウ素摂取不足の可能性を見つける手がかりになると示しています。
原著論文の著者・所属:Katie Nicol(University of Surrey)、Anne P. Nugent(Queen’s University Belfast; University College Dublin)、Jayne Woodside(Queen’s University Belfast)、Kathryn H. Hart(University of Surrey)、Saruma Gurung(University of Surrey)、Kai Wing Wong(University of Surrey)、Sandeep Gill(University of Surrey)、Gabriela Miyashiro(University of Surrey)、Emma Hancock(University of Surrey)、April Evans(University of Surrey)、Sarah Caroline Bath(University of Surrey)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Katie Nicol, Anne P. Nugent, Jayne Woodside, et al. Assessing the risk of iodine deficiency – a study to validate a digital screening tool in UK adults. British Journal Of Nutrition 2026-11-04. DOI: 10.1017/s0007114526108721. 原著ライセンス:CC BY.