掲載誌:JMIR Formative Research

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

砂糖入りの炭酸飲料や甘い飲み物などの加糖飲料は、肥満や代謝の病気を予防するうえで重要な対象とされています。論文によると、米国の食事では加えられた砂糖の最大の供給源です。一方で、甘いものへの強い欲求やストレスへの対処の仕方が、飲む量を減らす妨げになることがあります。

研究チームは以前の小規模な試験で、職場での加糖飲料の販売中止に短時間のカウンセリングを組み合わせると、1日の摂取量がより大きく減ったと報告していました。また、欲求が強い人ほどカウンセリングの恩恵が大きかったといいます。今回の論文では、この結果をもとに作った短時間介入の内容を詳しく示しました。そのうえで、加糖飲料を多く飲む医療従事者に実際に続けてもらえるかを調べました。介入とは、行動を変えるための働きかけを指します。あわせて、指導役のヘルスコーチが「動機づけ面接」の原則を守れていたかも評価しました。動機づけ面接は、本人が自ら変わる理由を見つけられるよう対話で支える手法です。

どのような介入を、誰に行ったのか

研究は、米国カリフォルニア州の医療機関グループに属する15の病院拠点で行われています。この大規模なランダム化比較試験(参加者604人)の一部です。参加者は、加糖飲料を週3本以上飲むフルタイムの職員でした。今回の分析対象は、カウンセリングを受ける2つの群に割り当てられた314人です。1つは販売中止と組み合わせた群、もう1つはカウンセリングのみの群です。参加者の平均年齢は約41歳で、約8割が女性でした。加糖飲料は1日平均で約1リットル、標準的な缶入り炭酸飲料およそ3本分を飲んでいました。

介入は、アルコール問題向けの標準的な短時間介入を手本にしています。そこに動機づけ面接の考え方と、以前の試験で分かった欲求の影響を取り入れました。6週間に4回の接触があり、いずれも遠隔で行われました。最初は10〜15分の導入の電話です。次に、約25〜30分のカウンセリングをビデオ通話か電話で行いました。その後に10〜15分の確認の電話が2回続きます。

カウンセリングでは、コーチは一方的に説明しません。参加者自身が、なぜ減らしたいのか、何が障害になるのかを考えられるよう問いかけます。そして、実現可能な目標を一緒に立てます。許可を得たうえで、砂糖の健康への影響や、よくある飲み物に含まれる砂糖の量も伝えました。さらに参加者は、ストレスや欲求に対処するための3〜7分の音声教材を使えました。この教材は、マインドフルネスに基づく既存のプログラムを応用したウェブサイトで提供されました。

主な結果

最初の電話を終えた人は87.9%、カウンセリングを終えた人は78.7%でした。1回目の確認の電話では71.0%、2回目では65.9%が参加を続けました。研究チームは事前に、各段階で60%を超えれば実施可能と見なす目安を設けていました。結果はすべての段階でこれを上回りました。著者らは、この継続率を職場でのカウンセリング介入に関する先行研究の平均(45%)と比べ、良好だと評価しています。

コーチの対話の質は、録音されたカウンセリングのうち無作為に選んだ41件で評価しました。評価には動機づけ面接の専門的な採点法を用いています。その結果、技術面と、相手の発言を深めて返す「複雑な聞き返し」の割合は、基本的な水準に達していました。一方、共感や協力関係といった関係面と、質問に対する聞き返しの比率は目安を下回りました。コーチは1回のセッションで平均7回ほど情報提供をしていました。情報提供が多いほど、関係面の評価が低い傾向も見られました。著者らはこの点について、情報を伝えることと動機づけ面接の関係づくりの間に緊張関係がある可能性を指摘しています。

探索的な分析では、参加者が自分で評価した「変わりたい気持ち」が回を追うごとに高まりました。10段階で、カウンセリング時の7.5から2回目の確認時には8.7になっています。「やり遂げられる自信」も、確認の電話の1回目と2回目の間で高まりました。ただし、カウンセリングを受けない比較群がありません。そのため、著者らはこの変化を介入の効果とは見なさず、慎重に解釈すべきだとしています。

参加の続き方には、人種・民族による差もありました。ヒスパニック系の参加者は、非ヒスパニック系白人の参加者より受けた回数が少なくなっていました。黒人の参加者も同じ傾向でしたが、人数が14人と少ないため、著者らは慎重に解釈しています。また、開始時のBMIが高い人ほど、自信の評価が低い傾向が見られました。

音声教材は、観察期間中に計121回利用されました。一部の教材では、聞いた後に自己評価のストレス、欲求、のどの渇きが聞く前より下がっていました。ただし、利用は匿名でした。同じ人が繰り返し利用したかどうかは区別できていません。

研究から分かること

この研究では、6週間で合計約1時間の遠隔カウンセリングを、忙しい医療従事者の多くが最後まで続けました。訓練を受けたコーチも、動機づけ面接の技術面では基本的な水準に達していました。大きな職場でも実施できる見込みが示されたといえます。

一方で、今回の論文は、この介入で加糖飲料の摂取量が減るかどうかを示したものではありません。気持ちや自信の変化も、比較群のない探索的な結果です。介入の効果そのものは、親試験であるランダム化比較試験の結果で確かめる必要があると著者らは述べています。

原著論文の著者・所属:Isabella Fornell-Villalobos、Laurie M Jacobs、Juliana Van Cleve、Kathleen J Antonio、Amanda Pickett、Melody Pezeshkian、Tarini Mudunuri、Ashley E Mason、Jamey M Schmidt、Elissa S Epel、Laura Schmidt、Rachel M Radin

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Isabella Fornell-Villalobos, Laurie M Jacobs, Juliana Van Cleve, et al. Brief Motivational Workplace Intervention to Reduce Sugar-Sweetened Beverage Consumption Among Health Care Workers: Intervention Description, Feasibility, Fidelity, and Exploratory Outcomes From a Cluster Randomized Controlled Trial. JMIR Formative Research 2026-09-23. DOI: 10.2196/96240. 原著ライセンス:CC BY.