著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:JURNAL KREATIVITAS PENGABDIAN KEPADA MASYARAKAT (PKM)

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

取り組みの目的

「スタンティング(発育阻害)」とは、長く続く栄養不足や繰り返す感染症によって、子どもの身長の伸びや発達が妨げられる状態を指します。著者らは、スタンティングが身体や認知の発達の遅れ、将来の生産性の低下、病気へのかかりやすさなど、本人と社会の双方に長期的な悪影響をもたらすと説明しています。また先行研究をもとに、動物性たんぱく質の摂取とスタンティングとの関連を指摘し、地元で手に入る食材を活かした副菜・おかずで栄養を補うことが予防のために勧められるとしています。

この報告は、インドネシアの村で行われた地域貢献活動をまとめたものです。対象は「ポシャンドゥ」と呼ばれる地域の母子保健活動拠点で働く住民ボランティア(カデル)です。研究チームは、カデルのスタンティングに関する知識と、地元食材を使って動物性たんぱく質が豊富な料理を作る技術を高めることを目的としました。背景には、離乳食の質の低さ、保護者の栄養知識の不足、身近な食材を調理する技術の不足から、手頃で栄養のある地元食材が活かされず、インスタント製品が選ばれがちだという問題意識があります。

何を行い、どう調べたか

活動は2026年6月21日、ラブアピ村で、カデル19人を対象に行われました。準備段階では村役場や地域の保健センターでの手続き、地元で手に入る食材の調査、カデルとの打ち合わせを行い、その後、教員や学生などの役割分担と実演用の材料をそろえました。

当日は、スタンティングやバランスのよい食事の考え方、動物性たんぱく質を含む主要な栄養素の大切さについて講義と話し合いを行いました。理解を視覚的に助ける小冊子も使われました。続いて、地元の食材を手軽な高たんぱく料理に仕上げる調理実演と実習を行い、参加者との対話の時間も設けました。

効果を確かめるため、教育の前後に同じ形式の知識テストを実施しました。正答数に応じて、6〜7問正解を「非常に良い」、4〜5問を「良い」、4問未満を「一緒に学びましょう」という3段階に分けて評価しています。

主な結果

教育前の段階でも、多くのカデルはある程度の知識を持っていました。「非常に良い」は10人(52.6%)、「良い」は6人(31.6%)で、「一緒に学びましょう」に当たる人が3人(15.8%)いました。

教育後には「非常に良い」が15人(78.9%)に増え、そのうち13人は最高得点に達したと報告されています。「良い」は4人(21.1%)となり、「一緒に学びましょう」に当たる人はいなくなりました。

平均点は教育前の5.21から教育後の6.47へ上がりました。前後の差を調べる統計検定(ウィルコクソン符号順位検定)では、偶然とは考えにくい差(p=0.001)が示されたとしています。著者らはこの結果から、栄養教育と調理実演の組み合わせが、スタンティング予防に関するカデルの理解と能力を高めるのに有効だったと結論づけています。活動は円滑に進み、カデルからも好意的な反応があったと記されています。

この取り組みが示すこと

著者らは、話を聞き資料を読むだけでなく、調理の過程を見て、香りをかぎ、味や食感を確かめるといった複数の感覚を使う学び方が、理解を深めることにつながったと考察しています。この報告で確かめられたのは、教育の前後でカデルの知識テストの成績が向上したことであり、子どもの身長や栄養状態の変化を測ったものではありません。そのうえで、地域で母子の健康を支えるボランティアに、身近な食材を活かす知識と技術を伝えることが、スタンティング予防に向けた地域の取り組みの一つになりうることを示した報告といえます。

原著論文の著者・所属:Joyeti Darni(Politeknik Kesehatan Kementerian Kesehatan Mataram)、Retno Wahyuningsih(Politeknik Kesehatan Kementerian Kesehatan Mataram)、Reni Sofiyatin(Politeknik Kesehatan Kementerian Kesehatan Mataram)、Mira Utami Ningsih(Politeknik Kesehatan Kementerian Kesehatan Mataram)、Jaya Pandu Ruslan Ningrat(Politeknik Kesehatan Kementerian Kesehatan Mataram)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Joyeti Darni, Retno Wahyuningsih, Reni Sofiyatin, Mira Utami Ningsih, Jaya Pandu Ruslan Ningrat Cegah Stunting dengan Pemberian Edukasi Gizi dan Demonstrasi Makanan Kaya Protein Hewani Berbasis Pangan Lokal. JURNAL KREATIVITAS PENGABDIAN KEPADA MASYARAKAT (PKM) 2026-09-28. DOI: 10.33024/jkpm.v9i10.26872. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。