著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:Jurnal Inovasi dan Pemberdayaan Masyarakat Laboratorium Kesehatan (JIPMASLAB)
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
取り組みの目的
インドネシアのプリタ・ハラパン大学の臨床検査技術学科の教員と学生からなるチームが、バンテン州タンゲラン市の公立職業高校(SMK)で地域貢献活動として行った健康教育を報告しました。テーマは、手軽に買える甘い食べ物や飲み物に含まれる「合成甘味料(人工甘味料)」です。
著者らは背景として、首都ジャカルタ周辺で糖尿病の有病率が高いこと、そして地元の保健当局が甘い飲料や包装食品の多い生活習慣による若年層の糖尿病リスクに注意を促していることを挙げています。さらに、校内の売店で生徒が人工甘味料を含む菓子や飲料を日常的に口にしているにもかかわらず、その中身やリスクについての知識が乏しい点を問題視しました。
そこでこの活動では、二つの目標を設定しました。一つは、講義などの教育によって生徒の知識がどれだけ増えたかを、事前と事後のテストで測ることです。もう一つは、2型糖尿病の早期発見を目的とした血糖検査を行い、基準値を超える生徒の割合を把握することです。
どのように行ったか
参加したのは、同校の臨床検査分野を学ぶ学科の10年生と11年生、計41人です。対照群は置かず、同じ生徒の知識を教育の前後で比べる方式をとりました。
生徒はまずオンラインで10問の選択式テストに答えました。続いて大学の教員が45分間、スライドとパンフレットを使い「ファストフード的な甘い食べ物・飲み物に含まれる合成甘味料の危険性」について講義しました。教材では、話題のドーナツ系菓子、パック入りの紅茶、炭酸飲料、色鮮やかな飲み物など、生徒が実際によく手にする商品を例に挙げ、糖分やカロリーを解説しています。質疑応答とゲームのあと、指先から少量の血液を採る簡易測定器で随時血糖(食事の時間に関係なく測る血糖値)を検査し、最後に事後テストを行いました。
テストは、カロリーと身体活動、合成甘味料の種類と危険性、糖尿病と血糖検査の三分野から出題されました。分析は、正答率を前後で比べる記述的なものです。
主な結果
論文によると、ほとんどの設問で教育後に正答率が上がりました。日々の活動量に合わせてカロリー摂取を調整するという設問では、正答率が82.93%から92.68%に上がりました。ドーナツ1個のおおよそのカロリーを推定する設問では、34.15%から90.24%へと大きく伸びています。著者らは、身近な人気商品を例にした実践的な内容ほど理解が進んだと考察しています。
一方で伸び悩んだ項目もありました。HbA1c(過去しばらくの血糖状態を反映する検査値)の定義を問う設問は、前後とも56.10%で変化がありませんでした。合成甘味料の種類や体への作用に関する設問も、教育後の正答率は4割前後にとどまりました。著者らは、専門用語や化学的な内容は1回の講義では定着しにくく、繰り返し学べる工夫が必要だと述べています。
血糖検査では、41人の平均値は98mg/dL、範囲は75〜130mg/dLで、93%の生徒が正常範囲(140mg/dL未満)にあったと報告されています。正常範囲の上限に近い生徒には、甘い飲み物を減らし体を動かすよう個別に助言しました。なお著者らは、血糖検査は個人へのスクリーニングと教育を目的としたもので、統計的な分析の対象にはしていないと説明しています。
この報告が示すこと
著者らは、今回の教育活動によって生徒の知識が向上し、効果があったと結論づけています。ただし、比較のための対照群がないことと、独自に作成したアンケートを使ったことを、自ら限界として挙げています。
この報告から見えてくるのは、身近な食品を例にした教育は理解につながりやすい一方、甘味料の種類や医学的な検査の知識は一度の講義では身につきにくいという点です。著者らは、学校が健康的な売店づくりや定期的な健康チェック、繰り返しの教育に取り組むことで、知識の向上を実際の食べ方の変化につなげることを提言しています。
著者:Fransisca Setyoningrum(Prodi Sarjana Terapan Teknologi Laboratorium Medik, Fakultas Ilmu Kesehatan, Universitas Pelita Harapan, Banten, Indonesia)、Maroloan Aruan(Prodi Sarjana Terapan Teknologi Laboratorium Medik, Fakultas Ilmu Kesehatan, Universitas Pelita Harapan, Banten, Indonesia)、Diana Intan Gabriella Lusiana(Prodi Sarjana Terapan Teknologi Laboratorium Medik, Fakultas Ilmu Kesehatan, Universitas Pelita Harapan, Banten, Indonesia)、Yosefin Frederick Jeconia(Prodi Sarjana Terapan Teknologi Laboratorium Medik, Fakultas Ilmu Kesehatan, Universitas Pelita Harapan, Banten, Indonesia)、Tommy Yogia(Prodi Sarjana Terapan Teknologi Laboratorium Medik, Fakultas Ilmu Kesehatan, Universitas Pelita Harapan, Banten, Indonesia)、Farikha Ridha Maulani(Prodi Sarjana Terapan Teknologi Laboratorium Medik, Fakultas Ilmu Kesehatan, Universitas Pelita Harapan, Banten, Indonesia)、Oktafiana Hul Hanadii(Prodi Sarjana Terapan Teknologi Laboratorium Medik, Fakultas Ilmu Kesehatan, Universitas Pelita Harapan, Banten, Indonesia)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Fransisca Setyoningrum, Maroloan Aruan, Diana Intan Gabriella Lusiana, Yosefin Frederick Jeconia, Tommy Yogia, Farikha Ridha Maulani, Oktafiana Hul Hanadii Edukasi Bahaya Konsumsi Gula Sintesis Pada Makanan dan Minuman Manis Cepat Saji dan Pemeriksaan Glukosa Darah Terhadap Siswa SMK Negeri 9 Kota Tangerang. Jurnal Inovasi dan Pemberdayaan Masyarakat Laboratorium Kesehatan (JIPMASLAB) 2026-10-04. DOI: . 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。