著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:MENGABDI Jurnal Hasil Kegiatan Bersama Masyarakat

ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

カカオは豆のまま取引されるだけでなく、加工すればより価値の高い製品になります。原料を中間製品や最終製品に加工して付加価値を高める取り組みは、インドネシアで「下流化」と呼ばれ、カカオ産業の発展に重要とされています。

著者らが注目したのは、インドネシア・バリ島タバナン県にあるチョコレート製造施設「Cocoa Land Bali」(PT Cau Cokelat Internasional)です。この施設ではチョコレートを製造しながら、カカオの木や実が製品になるまでの流れを来訪者に紹介する「教育観光」も行っています。研究の目的は、現地で紹介されたカカオの種類を把握し、カカオ豆がチョコレート製品になるまでの工程を整理・分析することでした。

何を調べたか

研究チームは、大学の現地研修の一環として、2026年7月24日から28日に同施設を訪れました。カカオ加工の様子を直接観察して記録を取り、研修中に得た説明も資料にしました。数値を測定して比較する実験ではありません。観察した内容を分類し、工程の順序、各工程の役割、加工品づくりとの関わりを記述的にまとめた研究です。

現地では、カカオの主な3つのグループが紹介されていました。クリオロは風味と香りに優れる一方、収量が比較的少なく、病気にかかりやすいとされます。フォラステロは生育が強く、収量が多く、特定の環境条件にも比較的強いとされます。トリニタリオは両者の交配から生まれたグループで、両方の特徴をあわせ持ちます。ただし著者らは、チョコレートの最終的な品質はカカオの種類だけで決まるのではなく、発酵、乾燥、焙煎などの加工工程にも左右されると述べています。

観察された13の工程

論文によると、同施設での加工は13の工程で構成されていました。最初の工程は発酵です。カカオ豆をかごに入れてバナナの葉で覆う伝統的な方法で、約6日間置きます。この間に起こる生化学的な変化が、香りと風味のもとになる物質を形づくります。次に豆を洗い、天日で乾燥させます。観察では、水分が約6〜7%になるまで乾燥させていました。続く焙煎では、機械を使って約110℃で約45分加熱します。論文によれば、この工程は豆の水分を約7%から約3%に下げることを目的としています。あわせて、カカオ特有の香りと風味を引き出す役割も持つとされています。

焙煎した豆は機械で砕かれ、風を当てて殻と中身(カカオニブ)に分けられます。カカオニブをすりつぶすと脂肪がしみ出し、「カカオリカー」と呼ばれる濃いペーストになります。これを圧搾すると、脂肪分のカカオバターと固形分に分かれます。論文では、固形分はカカオケーキを経てココアパウダーに加工できると説明されています。その後、粒の大きさをそろえる工程を経て、精製の工程に進みます。精製では、カカオペースト、砂糖、カカオバター、製品によっては乳などを混ぜます。観察では約48時間かけて処理し、粒子を細かくして、なめらかで均一な生地にしていました。

次は「テンパリング」です。温度を段階的に調整する工程で、観察では約31℃から28℃の範囲で行われていました。この工程の目的は、カカオバターの結晶を安定した形に整えることです。結晶の状態は、表面のつや、食感、割れ方、保存中の安定性に影響するとされています。その後、生地を型に流し込み、15分から1時間ほど冷やして固めます。さらに構造を安定させるために寝かせてから包装します。包装には3層の素材が使われ、空気、湿気、光、外部からの汚染から製品を守ります。著者らは、各工程の役割が互いにつながり合って、品質の良いチョコレートが生まれると整理しています。

研究から見えること

著者らは、観察した一連の工程を、カカオを豆の形で売るだけにとどめず、加工によって付加価値を高める「下流化」の一例と位置づけています。論文は一般論として、カカオ豆の加工からはチョコレートのほか、カカオリカー、カカオバター、ココアパウダーといった中間製品も生み出せると述べています。また、カカオバターは食品だけでなく化粧品などにも使われうるとして、製品の多様化の可能性を示しています。

さらに論文は、製造と教育観光を組み合わせることで、来訪者は製品を買うだけでなく、カカオが原料から製品になるまでの流れを学ぶ体験も得られると述べています。この報告は、一つの施設の観察を通じて、農産物を加工して価値を高めながら、学びの場としても活用する取り組みの姿を具体的に描いています。

原著論文の著者・所属:Michaela Cintarinafa(Institut Teknologi dan Bisnis (ITB) Semarang)、Tia Lestari(Institut Teknologi dan Bisnis (ITB) Semarang)、Dihyan Ransis Mahardika(Institut Teknologi dan Bisnis (ITB) Semarang)、Alea Citra Ramadhani(Institut Teknologi dan Bisnis (ITB) Semarang)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Michaela Cintarinafa, Tia Lestari, Dihyan Ransis Mahardika, Alea Citra Ramadhani Proses Pengolahan Biji Kakao Menjadi Produk Cokelat pada Cocoa Land Bali. MENGABDI Jurnal Hasil Kegiatan Bersama Masyarakat 2026-08-31. DOI: 10.61132/mengabdi.v4i4.2664. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。