著者の所属・活動拠点の国は、台湾です。
掲載誌:Sustainability
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究のねらい
この研究は、畑の土に直接植えるのではなく、袋に詰めた培地でショウガを露地栽培する方法を検討したものです。こうした栽培は「ソイルレス栽培」と呼ばれます。今回の方式では、培養液で養分を与えるのではなく、家禽の羽毛から作った堆肥を培地として使います。研究チームは、この羽毛堆肥の底に木材チップまたは軽石を敷くと、ショウガの生育や収量、植物体内にすむ細菌の構成にどのような違いが出るかを調べました。
抄録によると、著者らは化学肥料を使わずに済み、台風や大雨といった厳しい気象条件のもとでも露地でショウガを生産できる栽培方式を目指しています。
どのように調べたか
研究チームは、根の広がりを制限する栽培袋(ルートコントロールバッグ)を用意しました。袋の底に木材チップか軽石を10リットル入れ、その上に羽毛堆肥を20リットル重ね、ショウガの根茎を3つずつ植え付けました。木材チップを敷いた区は「F-Wood chip」、軽石を敷いた区は「F-Pumice」と呼ばれています。
栽培中は点滴かん水(チューブから少しずつ水を与える方法)で水を与え、化学合成肥料は使わず、堆肥を3回補充しました。そのうえで、水のしみ込みやすさ、収量、根茎や葉の養分、収穫後の培地の養分、そしてショウガの内生細菌を比べました。内生細菌とは、植物の組織の中にすみついている細菌のことです。
主な結果
著者らは、底に木材チップや軽石を敷くことで、培地への水のしみ込み(浸透)が改善したと報告しています。
収量は木材チップ区のほうが軽石区より有意に高く、生重量はそれぞれ3.4キログラムと2.5キログラム、乾燥重量は451.8グラムと332.7グラムでした。また、木材チップ区では根茎に含まれるカルシウムの量が有意に増えていました。
一方で、葉の養分や収穫後の培地の養分については、二つの区の間に有意な差は見られませんでした。
細菌については、木材チップ区のほうが微生物の量が多く、内生細菌の多様性も高かったと報告されています。木材チップ区の内生細菌は7属11種にわたり、植物の生育を促したり、ストレスへの耐性に関わったりする可能性のある機能を持つものが含まれていたとされています。
この研究が示すこと
この研究は、羽毛堆肥の下に何を敷くかによって、ショウガの収量や根茎のカルシウム量、植物体内の細菌の多様さに違いが生じうることを示しました。今回の比較では、木材チップを敷いた方式が軽石を敷いた方式よりも高い収量となっています。
著者らは、この方式を化学肥料に頼らない持続可能な露地でのソイルレス栽培の選択肢として位置づけ、台風や大雨のような厳しい気象条件のもとでのショウガ生産に応用できる可能性があると結論づけています。
原著論文の著者・所属:You-Hong Zeng(Soil and Fertilization Laboratory, Crop Environment Division, Taichung District Agricultural Research and Extension Station, Ministry of Agriculture (Taiwan), 370 Songhuai Road, Dacun Township, Changhua County 515008, Taiwan)、Yu-Zhen Chen(Soil and Fertilization Laboratory, Crop Environment Division, Taichung District Agricultural Research and Extension Station, Ministry of Agriculture (Taiwan), 370 Songhuai Road, Dacun Township, Changhua County 515008, Taiwan)、Ming-Chich Hsu(Soil and Fertilization Laboratory, Crop Environment Division, Taichung District Agricultural Research and Extension Station, Ministry of Agriculture (Taiwan), 370 Songhuai Road, Dacun Township, Changhua County 515008, Taiwan)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):You-Hong Zeng, Yu-Zhen Chen, Ming-Chich Hsu. An Integrated Crop Management Strategy Using Wood Chips and Pumice Under Feather Compost for Sustainable Ginger Soilless Production and Endophytic Bacteria Composition in Open Field. Sustainability 2026-08-06. DOI: 10.3390/su18157992. 原著ライセンス:CC BY.