掲載誌:Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research)
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
ナイジェリアのエボニ州アバカリキでは、牛肉や鶏肉より手頃な食肉としてロバ肉の消費が広がっています。一方で著者らによると、ロバ肉は国内の食肉研究でほとんど調べられていません。市場では肉が数日から1週間以上冷凍されたまま売られることがあり、保冷の管理も十分でない場合があります。
この研究で注目したのはマロンジアルデヒド(MDA)という物質です。MDAは、脂質に含まれる不飽和脂肪酸が酸化して壊れるときに生じます。そのため、脂質の酸化がどの程度進んだかを示す指標として広く測られています。ショウガには抗酸化作用があるとされ、ほかの食品では研究されてきました。しかし、ロバ肉の脂質の酸化やタンパク質への影響はまだ調べられていませんでした。研究チームは、冷凍期間の長さと、ショウガを加えて煮ることが、ロバ肉のMDA量とタンパク質量をどう変えるのかを調べました。
何をどのように調べたか
研究チームは、アバカリキの食肉市場で処理された直後のロバ3頭から肉を500グラムずつ入手しました。肉はそれぞれ100グラムずつ5つに分けました。最初の1つはすぐに分析し、残りは冷凍庫で保存して、1日後、2日後、5日後、7日後に分析しました。
煮沸の影響を見る実験では、肉1グラムを2つのフラスコに入れました。片方には砕いた生のショウガ100ミリグラムを加え(肉とショウガの重さの比は10対1)、両方を1時間煮ました。MDAは、試薬と反応させて生じる色の濃さから量を求める方法で測りました。タンパク質も、試薬と結びついて生じる色の濃さを測る方法で調べました。各試料は3回ずつ分析しています。
主な結果
冷凍期間の実験では、冷凍日数が長くなるにつれてMDAが増えました。0日目の1キログラムあたり約1.03ミリグラムから、7日目には約1.30ミリグラムになりました。タンパク質量は0日目の1グラムあたり約4.122ミリグラムから7日目の約4.129ミリグラムへとわずかに上昇しました。著者らはこの変化を「わずかで無視できる程度」と述べています。
煮沸の実験では、煮ていない肉、ショウガなしで煮た肉、ショウガを加えて煮た肉の3つを、冷凍日数ごとに比べました。いずれの条件でも日数とともにMDAは増え、7日目にはどれも1キログラムあたり約3ミリグラムに達しました。ショウガなしで煮た肉は、煮ていない肉よりMDAがやや高くなりました。ショウガを加えて煮た肉のMDAは、ショウガなしで煮た肉よりわずかに低く、煮ていない肉に近い値でした。著者らはこの結果から、ショウガが煮沸中の脂質の酸化を抑えるのに役立つ可能性があると結論づけています。
タンパク質量は、煮沸により減りました。ショウガを加えた場合は、さらに大きく減りました。7日目の値は、1グラムあたりで、煮ていない肉が約1.90ミリグラム、ショウガなしで煮た肉が約1.39ミリグラム、ショウガを加えて煮た肉が約0.93ミリグラムでした。著者らはこの理由について、ショウガに含まれるタンパク質分解酵素が肉のタンパク質を分解したためではないかと考察しています。この酵素は肉を柔らかくすることで知られています。
研究が示すこと
この研究は、これまで調査が乏しかったロバ肉で、冷凍期間と煮沸がMDA量とタンパク質量にどう関係するかを示しました。ショウガについては、MDAの上昇をわずかに抑えた一方で、タンパク質の減少を大きくしたという、相反する結果が報告されています。著者らは、MDAの蓄積とタンパク質量の両方を考慮すると、肉を長期間冷凍したり煮た状態で保存したりすることは避けるべきだと提言しています。
原著論文の著者・所属:Nebeolisa, O. C.
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Nebeolisa, O. C.. Effect of Ginger and Freezing Time on Malondialdehyde (MDA) and Protein Levels in Donkey (Equus Asinus) Meat. Zenodo (CERN European Organization for Nuclear Research) 2026-09-07. DOI: 10.5281/zenodo.22644948. 原著ライセンス:CC BY.