著者の所属・活動拠点の国は、サウジアラビアです。

掲載誌:Frontiers in Nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

果実の成分を、3種類の溶媒で比較

研究チームは、乾燥地域で伝統的に食べられているGrewia tenax(グレビア・テナックス)の果実を対象に、成分を取り出す溶媒によって、フェノール類の量や抗酸化活性がどう変わるかを調べました。フェノール類は植物に含まれる成分群で、その一部には酸化に関わる反応を抑える働きがあります。

スーダンの市場で購入した果実を乾燥させ、丸ごと粉末にした後、メタノール、エタノール、水でそれぞれ72時間抽出しました。得られた抽出物について、フェノール類の総量を測り、成分を分離して調べる高速液体クロマトグラフィーで個々のフェノール酸を分析しました。また、異なる仕組みの試験を用いて、試験管内での抗酸化活性を比較しました。

メタノール抽出物で多かったフェノール類

著者らが報告した総フェノール量は、乾燥抽出物100グラム当たり、没食子酸に換算してメタノールで1994.1ミリグラム、エタノールで1505.4ミリグラム、水で1029.3ミリグラムでした。これは、フェノール類の総量を共通の基準物質である没食子酸に置き換えて表した値です。メタノール抽出物が最も高く、溶媒間には統計的に有意な差が報告されました。

個々の成分の分析では、メタノールとエタノールの抽出物からそれぞれ6種類、水の抽出物からは2種類のフェノール酸が検出されました。例えば没食子酸の量は、乾燥重量1グラム当たり、メタノールで917.5マイクログラム、エタノールで136.5マイクログラム、水で188.2マイクログラムでした。溶媒によって、取り出せる成分の量だけでなく、その組み合わせも異なっていました。

抗酸化活性にも溶媒による違い

抗酸化活性の比較でも、研究チームはおおむねメタノール、エタノール、水の順に高い結果を報告しました。反応性の高い物質を捕らえる能力を測るDPPH試験と、電子を与える能力を測る還元力の試験では、メタノール抽出物が他の2種類を上回りました。ただし、比較に用いたアスコルビン酸よりは低い値でした。脂質の酸化に伴うβカロテンの退色を抑える試験でも同じ順序となり、いずれも比較用の抗酸化剤TBHQより低い活性でした。

この研究が示したのは、同じ果実でも抽出に使う溶媒によって、得られるフェノール類と試験管内での抗酸化活性が変わるということです。著者らはGrewia tenax果実をフェノール性抗酸化成分の供給源として位置づけていますが、今回の結果は、果実を食べたときの人の健康効果を確認したものではありません。

原著論文の著者・所属:Elmuez Aboagarib(Clinical Nutrition Department, College of Applied Medical Sciences, King Faisal University)、Mashael Huwaikem(Clinical Nutrition Department, College of Applied Medical Sciences, King Faisal University)、Ijaz Ul Haq(Clinical Nutrition Department, College of Applied Medical Sciences, King Faisal University)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Elmuez Aboagarib, Mashael Huwaikem, Ijaz Ul Haq. Influence of solvent extraction on phenolic profile using (HPLC–PDA), antioxidant activity, and nutritional values of Grewia tenax (Forssk.) Fiori fruits. Frontiers in Nutrition 2026-11-04. DOI: 10.3389/fnut.2026.1907265. 原著ライセンス:CC BY.