著者の所属・活動拠点の国は、イラン、キプロスです。

掲載誌:Applied Food Research

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

緑茶精油を安定して閉じ込めるために

研究チームは、緑茶精油の安定性や抗酸化活性を保つことを目指し、精油を微細な油滴として分散させ、イヌリンを使ったゲルに組み込む方法を調べました。微細な油滴を分散させたものを「ナノエマルション」、それを水分を含むゲルに取り込んだものを「ナノエマルゲル」と呼びます。

油滴の分散状態とゲルの性質を調べる

著者らは、油と水を混ざりやすくする乳化剤としてTween 80と乳清タンパク質を使い、緑茶精油を含むナノエマルションを作製しました。このうちTween 80を用いた製剤は、作製直後の粒子径と粒径のばらつきを示す指標が最も小さく、粒子径は324.2ナノメートルでした。試験条件下で目に見える分離や浮き上がり、沈殿も認められなかったため、ゲルへの組み込みに選ばれました。

分析では、イヌリンと取り込まれた精油成分との分子間の相互作用が示されました。また、加熱時に精油の蒸発に対応する追加の吸熱ピークが見られず、著者らは、精油がゲルの内部に保持されていることと整合する結果としています。力を加えたときの応答を調べる試験では、流れる性質よりも元の形に戻ろうとする弾性的な性質が優勢なゲル構造が確認されました。

30日後の抗酸化活性に差

30日間の保存後、ゲルに取り込んだ精油の抗酸化活性は57%で、取り込んでいない精油の25.5%に比べて有意に高かったと報告されています。

研究チームは、緑茶精油を微細な油滴にしてイヌリンのゲルへ組み込むことで、物理化学的な安定性を高められると結論づけています。今回の結果は、変化しやすい油に溶ける成分を保持し、その性質を保つための材料設計の可能性を示しています。

原著論文の著者・所属:Mitra Kaviani(Department of Food Science and Technology, Faculty of Agriculture, University of Tabriz, Tabriz, Iran)、Akram Pezeshki(Department of Food Science and Technology, Faculty of Agriculture, University of Tabriz, Tabriz, Iran; Food Biophysic and Nanotechnology Research Laboratory, University of Tabriz, Tabriz, Iran)、Babak Ghanbarzadeh(Department of Food Engineering, Faculty of Engineering, Near East University, Cyprus, Mersin 10, Nicosia, Cyprus; Department of Food Science and Technology, Faculty of Agriculture, University of Tabriz, Tabriz, Iran; Food Biophysic and Nanotechnology Research Laboratory, University of Tabriz, Tabriz, Iran)、Mir Mojtaba Didehvar(Department of Food Science and Technology, Faculty of Agriculture, Urmia University, Urmia, Iran)、Fatemeh kiani(Department of Food Science and Technology, Faculty of Agriculture, University of Tabriz, Tabriz, Iran)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Mitra Kaviani, Akram Pezeshki, Babak Ghanbarzadeh, et al. Development and Characterization of an Inulin-Based Nanoemulgel for Enhanced Stability and Antioxidant Retention of Green Tea Essential Oil. Applied Food Research 2026-11-01. DOI: 10.1016/j.afres.2026.102803. 原著ライセンス:CC BY.