著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Journal of Cereal Science

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ご飯のおいしさ(食味)は、米そのものの状態と炊き方の両方に影響されると考えられます。研究チームは、ジャポニカ米について、米の水分含量と、炊くときの米に対する水の量の割合(加水比)という二つの条件に注目しました。それぞれが単独で食味にどう影響するか、また二つが組み合わさったときにどのような相互作用が生じるかを調べ、その背後にある仕組みを明らかにすることを目指しました。

何を調べたか

著者らは、水分含量を8段階、加水比を4段階に設定し、条件を組み合わせて比較しました。評価したのは三つの側面です。一つ目は、米のでんぷんを加熱したときの粘り気の変化を測る「糊化特性」です。これには、粘度が最も高くなったときの値(最高粘度)や、そこから粘度が下がる度合い(ブレークダウン値)が含まれます。二つ目は、硬さや粘りといった炊いたご飯の食感を機器で測る「テクスチャー特性」です。三つ目は、人が実際に食べて評価する官能評価です。

これらの指標同士の関係は、分散分析や回帰分析、部分最小二乗法(PLS)と呼ばれる統計手法で解析されました。PLSは、多数の測定値をまとめて、別の結果をどの程度説明・予測できるかを調べる方法です。

主な結果

論文によると、加水比はご飯の硬さ、粘り、最高粘度、ブレークダウン値に有意な影響を与えました。水分含量は硬さ、最高粘度、ブレークダウン値に有意な影響を与えました。さらに、粘り、最高粘度、ブレークダウン値については、水分含量と加水比の間に有意な相互作用が見られました。つまり、一方の条件の効果がもう一方の条件によって変わるということです。

また、機器で測った糊化特性やテクスチャー特性をもとにしたPLSモデルは、官能評価のばらつきの67.71%を説明しました。著者らは、冷めたでんぷんが再び硬くなる性質(老化しやすさ)を含む機器測定の指標によって、食味を信頼性高く予測できることが確認されたと報告しています。

研究が示すこと

研究チームは、水分含量と加水比が互いに補い合いながら、でんぷんの糊化やご飯の食感を調節することで、炊いたご飯の官能的な品質を決めていると結論づけています。そのうえで、「硬さが低く、粘りが高い」ことを優れた食味の理想像として位置づけました。米の状態と炊き方を組み合わせて考えることが、ご飯の品質を細かく管理し、生産を標準化するための手がかりになることを示した研究といえます。

原著論文の著者・所属:Bing He(College of Agronomy, Jilin Agricultural Science and Technology College, 77 Hanlin Road, Economic and Technological Development Zone, Jilin City, Jilin Province, China)、Yonglin Si(College of Agronomy, Jilin Agricultural University, 2888 Xincheng Street, Changchun City, Jilin Province, China)、Xiaohang Wang(College of Agronomy, Jilin Agricultural Science and Technology College, 77 Hanlin Road, Economic and Technological Development Zone, Jilin City, Jilin Province, China)、Hong Lang(College of Agronomy, Jilin Agricultural Science and Technology College, 77 Hanlin Road, Economic and Technological Development Zone, Jilin City, Jilin Province, China)、Chao Li(College of Agronomy, Jilin Agricultural Science and Technology College, 77 Hanlin Road, Economic and Technological Development Zone, Jilin City, Jilin Province, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Bing He, Yonglin Si, Xiaohang Wang, et al. The complementary effect of moisture content and water-to-rice ratio: Low hardness, high viscosity are key to regulating Japonica rice eating quality. Journal of Cereal Science 2026-09-30. DOI: 10.1016/j.jcs.2026.104563. 原著ライセンス:CC BY.