著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:NUSANTARA Jurnal Pengabdian Kepada Masyarakat
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
甘い飲み物と人工甘味料、生徒はどこまで知っているか
甘い味のついた包装飲料は、手に入りやすく価格も手ごろで、味の種類も多いことから、若い世代の日常的な飲み物になっています。著者らは序論で、インドネシアの全国保健調査(2018年)では15〜19歳の56.4%が甘味料入りの飲み物を少なくとも1日1回飲んでいたという報告を紹介し、甘い飲み物の摂取が若者の習慣になっていると指摘しています。
飲み物の甘さは、食品添加物として加えられる甘味料によるものが多く、甘味料は天然のものと人工のものに分けられます。人工甘味料は少量で強い甘さを出せるため、低カロリーやゼロカロリーの製品に広く使われています。論文によると、アスパルテーム、サッカリン、チクロ(シクラメート)、アセスルファムK、スクラロース、ネオテームなどの使用は、インドネシアの食品医薬品監督庁が「1日に摂取しても許容される量(ADI)」に基づいて定めており、基準どおりに使えば安全とされています。一方で著者らは、長期にわたって摂りすぎることの健康への影響を指摘する先行研究も紹介しています。
ティドレ・クプラウアン市の中学校SMP IT Citra Ummatで著者らが事前に観察したところ、生徒たちは学校や自宅周辺で手に入る包装飲料をよく飲んでいる一方、多くが含まれる甘味料の種類や摂りすぎの影響、栄養成分表示や原材料表示を読む大切さを理解していませんでした。そこで大学の研究チームは、人工甘味料についての知識を高めることを目的に、この学校で健康教育を行い、その前後で生徒の知識がどう変わったかを調べました。
授業の内容と効果の測り方
活動は2026年7月14日に行われ、7年生と8年生の全生徒67人(7年生34人、8年生33人)が参加しました。まず学校側と日程や進め方を調整したうえで、生徒は授業の前に知識を測る質問票(事前テスト)に答えました。
続いてチームは、スライド、横断幕、配布用リーフレットを使い、生徒に問いかけながら進める講義形式で授業を行いました。内容は、天然甘味料と人工甘味料の違い、人工甘味料の主な種類、食品業界で使われる理由、摂りすぎた場合に考えられる健康への影響、そして栄養成分表示や原材料表示を読んで包装飲料を賢く選ぶ方法です。講義の後には話し合いと質疑応答の時間が設けられました。
最後に生徒は、事前テストと同じ質問票に再び答えました(事後テスト)。著者らは同じ生徒の授業前後の点数を比べ、その違いが偶然とは考えにくいかどうかを「ウィルコクソンの符号付き順位検定」という統計手法で調べています。これは、同じ人の前後の点数がどちらの方向にどれだけ変わったかの順位をもとに比較する方法です。
半数近くの生徒で点数が上昇
論文によると、67人のうち33人(49.3%)は事後テストの点数が事前テストより上がり、23人(34.3%)は変わらず、11人(16.4%)は下がりました。統計検定の結果、授業前後の点数には統計的に意味のある差があり(Z=−3.500、p=0.000と報告)、著者らはこの教育が人工甘味料に関する生徒の知識を高めるのに効果的だったと結論づけています。
また、生徒たちは話し合いや質疑応答に積極的に参加し、包装飲料を選ぶ前に栄養成分表示や原材料表示を読むことの大切さに気づき始めた様子が見られたと報告されています。
一方で著者らは、点数が変わらなかった生徒や下がった生徒もいたことから、知識の向上が参加者全員に均等に起きたわけではないとも述べています。その理由として、注意力や学習意欲、理解力、授業への関わり方といった個人差の影響が考えられるとしています。
この報告が伝えること
この報告は、身近な包装飲料を題材にした学校での授業によって、人工甘味料についての生徒の知識が授業前より高まったことを示しています。著者らは、こうした健康教育が、若い世代が食品表示を確かめながら飲み物を選ぶための知識の土台になりうると位置づけています。ただし今回測られたのは授業前後の知識の変化であり、実際の飲み物の選び方の変化については、著者らも期待として述べるにとどめています。
原著論文の著者・所属:Muhammad Subhan A. Sibadu(Universitas Khairun)、Muthmainnah Muthmainnah(Universitas Khairun)、Muh Danial Fajri(Universitas Khairun)、Amalia S. J. Kahar(Universitas Khairun)、Nur Naila(Universitas Khairun)、Dilla Putri Hi. Rajab(Universitas Khairun)、Humaira Salsabila(Universitas Khairun)、Muhammad Fauzy Andi Mattara(Universitas Khairun)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Muhammad Subhan A. Sibadu, Muthmainnah Muthmainnah, Muh Danial Fajri, Amalia S. J. Kahar, Nur Naila, Dilla Putri Hi. Rajab, Humaira Salsabila, Muhammad Fauzy Andi Mattara Manis Belum Tentu Aman: Edukasi Pemanis Buatan pada Minuman Kemasan bagi Siswa SMP IT Citra Ummat Kota Tidore Kepulauan. NUSANTARA Jurnal Pengabdian Kepada Masyarakat 2026-08-21. DOI: 10.55606/nusantara.v6i3.10201. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。