著者の所属・活動拠点の国は、ブルキナファソです。
掲載誌:The Journal of Applied Poultry Research
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
採卵鶏が持つ耐性菌の実態を調べる
研究チームは、ブルキナファソの採卵鶏農場で、抗菌薬を効きにくくする遺伝子を持つ大腸菌の実態を調べました。対象は、セファロスポリン系などの抗菌薬を分解する酵素「基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)」を作る大腸菌です。どの耐性遺伝子が見つかり、複数の抗菌薬への耐性とどう関連するかを明らかにし、畜産分野で遺伝子検査を取り入れた耐性菌監視の基礎資料を得ることが目的でした。
約千検体から126株を検出
研究チームは2024年5~11月、ワガドゥグ、ボボ・ディウラッソ、クドゥグの農場で、採卵鶏の総排泄腔からぬぐい液を採取しました。総排泄腔は、ふんや卵などが体外へ出る共通の出口です。採取した1,032検体のうち、126検体、12.21%からESBL産生大腸菌が検出されました。
得られた126株について、15種類の抗菌薬への反応と、ESBLに関わる3種類の遺伝子を調べました。最も多かったのはblaCTX-Mで、91株、72.22%から検出されました。ほかにblaTEM、blaSHVも見つかり、同じ菌株が複数の対象遺伝子を持つ例もありました。
著者らの分類では、126株の99.2%が、3系統以上の抗菌薬に効きにくい多剤耐性に該当しました。また、30.2%は、さらに広い範囲の抗菌薬に効きにくい広範薬剤耐性(XDR)と報告されました。複数の対象遺伝子を持つ菌株は、より幅広い耐性を示す菌株群と重なる傾向がありました。
地域をまたいだ監視の基礎資料に
抗菌薬への耐性と対象遺伝子の有無をもとに菌株を分類すると、異なる都市で採取された菌株が同じグループに入り、地域をまたいで似た耐性の特徴が見られました。ただし、これは耐性の特徴が似ていることを示す結果であり、菌の全遺伝情報を比較して同じ系統や伝播経路を確定したものではありません。
研究チームは、採卵鶏がESBL産生大腸菌を保有し、その多くが複数系統の抗菌薬に耐性を示すことを報告しました。この研究は、農場の耐性菌を遺伝子と薬剤への反応の両面から捉え、人・動物・環境をつなぐ視点で監視するための基礎資料を示しています。
原著論文の著者・所属:Djifahamaï Soma(Université Joseph KI ZERBO, Ouagadougou, Burkina Faso)、Souleymane Soré(Ministère de la Santé, Ouagadougou, Burkina Faso)、Fatimata B.J. Diarra(Université Joseph KI ZERBO, Ouagadougou, Burkina Faso)、Djibril Diallo(Université Joseph KI ZERBO, Ouagadougou, Burkina Faso)、Lalidia Bruno Ouoba(Ministère de l’Agriculture, de l’Eau des Ressources Animales et Halieutiques, Ouagadougou, Burkina Faso)、Ouandaogo Hamidou Sandaogo(Unisersité Nazi Boni, Bobo-Dioulasso, Burkina Faso)、Souleymane Belem(Université Joseph KI ZERBO, Ouagadougou, Burkina Faso)、Abdoulaye Sana(Université Joseph KI ZERBO, Ouagadougou, Burkina Faso)、Nicolas Barro(Université Joseph KI ZERBO, Ouagadougou, Burkina Faso)、Isidore J.O. Bonkoungou(Institut National de Santé Publique, Ouagadougou, Burkina Faso; Université Joseph KI ZERBO, Ouagadougou, Burkina Faso)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Djifahamaï Soma, Souleymane Soré, Fatimata B.J. Diarra, et al. Laying hens as a reservoir of ESBL-producing Escherichia coli in Burkina Faso: A pilot study for the implementation of molecular antimicrobial resistance surveillance in animal farms. The Journal of Applied Poultry Research 2026-08-29. DOI: 10.1016/j.japr.2026.100775. 原著ライセンス:CC BY.