著者の所属・活動拠点の国は、カザフスタンです。
掲載誌:Veterinary World
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
寄生虫とかび毒の影響を同時に調べる
研究チームは、腸内の寄生虫と飼料中のかび毒に同時にさらされている採卵鶏で、鉱物と植物素材を組み合わせた添加飼料が、寄生虫の卵の排出、血中のかび毒関連指標、健康状態や産卵成績にどう関わるかを調べました。寄生虫対策とかび毒対策は通常、別々に行われますが、この研究では一つの配合飼料による変化をまとめて評価しています。
対象は、鶏回虫に自然感染し、飼料を通じてかび毒にさらされていた26週齢の採卵鶏50羽です。研究チームは無作為に25羽ずつの2群に分け、一方には基本飼料だけを、もう一方には基本飼料1kg当たり170gの鉱物・植物配合物を加えて30日間与えました。試験開始時と10、20、30日目に、各個体から血液とふんを採取しました。
回虫卵の排出と血中のかび毒関連指標が低下
研究チームによると、添加群ではふん中に排出される鶏回虫の卵が徐々に減り、30日目には対照群より64.0%少なくなりました。同日のふん1g当たりの卵数の中央値は、添加群が510個、対照群が1,420個でした。これは卵の排出量についての結果であり、腸内にいる成虫の数を直接測ったものではありません。
かび毒やその代謝物を捉える3種類の血中指標も、添加群で低下しました。30日目の値は対照群と比べ、アフラトキシンB1が37.9%、DON-3Sが38.8%、T-2毒素が41.9%低かったと報告されています。試験中、両群の飼料摂取量に差は認められませんでした。
血液の状態と産卵成績にも変化
添加群では、赤血球数や酸素を運ぶヘモグロビンの値が高くなり、肝臓に関連する血液中の酵素AST、ALTの値は低くなりました。また、酸化による損傷から体を守る酵素の活性が高まり、脂質の酸化を示す指標MDAは低下しました。研究チームは、寄生虫やかび毒の指標の低下と並行して、こうした生理的な変化が見られたと報告しています。
産卵成績も添加群で向上しました。30日目の産卵率は添加群93.8%、対照群85.8%で、卵1個の平均重量はそれぞれ60.8gと58.2gでした。添加群では卵殻が厚く、割れにくくなり、卵黄の色も濃くなりました。30日間の試験中、死亡や飼料の拒否、臨床的な異常は観察されませんでした。
配合飼料全体として示された結果
著者らは、この試験が個々の添加成分の働きではなく、二つの飼料全体を比較したものだと説明しています。両群の飼料はエネルギー量が同じではなく、添加によって基本飼料中のかび毒濃度も約14.5%薄まっていました。そのため、血中指標の低下を、配合物がかび毒を吸着した効果だけで説明することはできません。
この研究が示したのは、寄生虫とかび毒に同時にさらされた採卵鶏で、鉱物・植物配合物を加えた飼料の給与に伴い、回虫卵の排出と血中のかび毒関連指標が低下し、健康関連指標や産卵成績にも改善が見られたという、30日間の結果です。
原著論文の著者・所属:Nurgul Montayeva(West Kazakhstan Agrarian and Technical University named after Zhangir Khan, Uralsk 090009, Republic of Kazakhstan)、Sarsenbek Montayev(West Kazakhstan Agrarian and Technical University named after Zhangir Khan, Uralsk 090009, Republic of Kazakhstan)、Aizere Sagyzgaliyeva(West Kazakhstan Agrarian and Technical University named after Zhangir Khan, Uralsk 090009, Republic of Kazakhstan)、Abzal Kereyev(West Kazakhstan Agrarian and Technical University named after Zhangir Khan, Uralsk 090009, Republic of Kazakhstan)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Nurgul Montayeva, Sarsenbek Montayev, Aizere Sagyzgaliyeva, et al. Multicomponent mineral–phytogenic supplementation reduces Ascaridia galli shedding and systemic mycotoxin biomarkers while improving health and productive performance in laying hens. Veterinary World 2026-09-14. DOI: 10.14202/vetworld.2026.4008-4024. 原著ライセンス:CC BY.