著者の所属・活動拠点の国は、デンマークです。
掲載誌:Clinical Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
入院中に十分な食事をとれない患者は、今も少なくありません。入院中の栄養摂取では、病院で出される通常の食事が中心的な役割を果たします。ただし、その食事がどれだけ栄養の助けになるかは、何が提供されるか、そして患者が実際に食べられるか、食べたいと思うかに左右されます。
研究チームは、病院の朝食ビュッフェに患者の好みを踏まえた品目を限定的に追加することで、患者の1日全体のエネルギー摂取量とたんぱく質摂取量を増やせるかどうかを調べました。
どのように調べたか
研究は、高度な医療を担う大学病院の7つの入院病棟で、医療の質の改善を目的とした取り組みとして行われました。各病棟を連続する4日間観察し、通常の朝食と品目を増やした朝食を1日ごとに交互に提供しました。どちらの朝食から始めるかは、病棟ごとに無作為に決められています。同じ患者が両方の条件を経験するこうした方法は「クロスオーバー」と呼ばれ、同じ人の中で条件の違いを比べられる利点があります。
品目を増やした朝食は、通常の朝食に、なじみのあるエネルギーやたんぱく質の多い食品を加えたものです。追加する食品は、以前に患者が選んだ食品のデータをもとに選ばれました。
摂取量は24時間分を記録しました。日中は料理の構成要素ごとに食事の重さを量って記録し、夜間は看護師が記録しました。主に評価したのは、1日全体のエネルギー摂取量とたんぱく質摂取量です。分析では、観察日やどちらの朝食から始めたかの違い、同じ患者を繰り返し観察していること、病棟ごとの特徴を考慮した統計手法が用いられました。対象は、朝食を食べ、両方の朝食条件で分析可能なデータがそろった患者です。
主な結果
主な分析の対象は71人の患者で、分析可能なデータは延べ188日分でした。通常の朝食と比べて、品目を増やした朝食の日には、1日全体のエネルギー摂取量が1日あたり約198キロカロリー、たんぱく質摂取量が1日あたり約6.8グラム多かったと報告されています。一方で、食べた食事の総重量には統計的に意味のある増加はみられませんでした。
1日に必要とされる量に対してどれだけ摂取できたかを示す充足率も、エネルギーで8.7ポイント、たんぱく質で6.8ポイント上がりました。増加は主に朝食での摂取量によるもので、朝食以外の食事での摂取量が減るという変化は測定上みられませんでした。
この研究が示すこと
著者らは、通常の病院朝食ビュッフェに品目を限定的に追加することで、朝食を食べる入院中の成人患者において、1日全体のエネルギーとたんぱく質の摂取量が増えたと結論づけています。この増加は、食事の総重量に統計的に意味のある増加がみられず、朝食以外の食事での摂取量にも測定上の減少がみられない中で確認されたものです。
著者らは、患者になじみのあるエネルギーやたんぱく質の多い食品を、好みを踏まえて朝食に少し加えることで、患者が食べられる、あるいは食べたいと思う食事から得られる栄養を高められる可能性があるとしています。
原著論文の著者・所属:Jakob Højgaard Hundebøll(Clinical Nutrition Center, Department of Transplantation and Digestive Diseases, Rigshospitalet, Copenhagen University Hospital, Copenhagen, Denmark; Nutrition and Health, University College Copenhagen, Copenhagen, Denmark. Electronic address: [email protected])、Faidon Magkos(Department of Nutrition, Exercise and Sports, University of Copenhagen, Copenhagen, Denmark)、Irene Wessel(Clinical Nutrition Center, Department of Transplantation and Digestive Diseases, Rigshospitalet, Copenhagen University Hospital, Copenhagen, Denmark; Department of Otolaryngology and Audiology, Rigshospitalet, Copenhagen University Hospital, Copenhagen, Denmark; Department of Clinical Medicine, Faculty of Health and Medical Sciences, University of Copenhagen, Copenhagen, Denmark)、Ane Rytter(Clinical Nutrition Center, Department of Transplantation and Digestive Diseases, Rigshospitalet, Copenhagen University Hospital, Copenhagen, Denmark)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Jakob Højgaard Hundebøll, Faidon Magkos, Irene Wessel, et al. An expanded breakfast buffet increases daily energy and protein intakes in hospitalised patients: A prospective crossover quality improvement study. Clinical Nutrition 2026-08-06. DOI: 10.1016/j.clnu.2026.106753. 原著ライセンス:CC BY.