著者の所属・活動拠点の国は、エチオピアです。

掲載誌:Discover Animals

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

エチオピアの高地で飼育されるシミエン羊は、栄養不足や季節的な飼料不足が生産性の制約になっています。補助飼料に使われる綿実かすは価格や入手しやすさに課題がある一方、栽培が広がる緑豆の収穫残さは、地域で調達できる代替飼料の候補です。

研究チームは、自然草地の干し草を主な飼料とする羊で、綿実かすを緑豆わらに置き換えた場合に、飼料を食べる量、栄養分の消化率、体重の増加、経済的な収益がどう変わるかを調べました。

何を、どのように調べたか

対象は、約1歳の去勢していない雄のシミエン羊20頭で、開始時の平均体重は16.0kgでした。研究チームは初期体重が偏らないように無作為に振り分け、各4頭の5群を設けました。すべての群で干し草を自由に食べられるようにし、補助飼料は水分を含む給与時の重量で1頭当たり1日300gにそろえました。

補助飼料に占める緑豆わらの割合を0%、25%、50%、75%、100%とし、残りを綿実かすにしました。90日間、食べた飼料の量と体重を測定し、その後の7日間はふんを集めて、摂取した栄養分のうち、ふんに出なかった割合を「見かけの消化率」として求めました。体重増加と飼料摂取量から、食べた飼料がどれだけ増体につながったかも比較しました。

経済面では、羊の購入・販売価格や飼料費を用いて収支を比較しました。飼育施設、労働、輸送、獣医サービスなど、各群に共通する費用は分析から除外しています。なお、補助飼料の重量は同じでも、たんぱく質やエネルギーの量を等しくそろえた試験ではありません。

主な報告結果

研究チームは、緑豆わら25%群と75%群では、最終体重、体重増加量、1日当たりの増体量、飼料を増体に結びつける効率が同程度で、ほかの3群より良好だったと報告しました。成長成績が最も低かったのは50%群で、緑豆わらの割合に応じて成長が一方向に変わる結果ではありませんでした。

水分を除いた飼料の総摂取量は75%群で最も多く、綿実かすだけの群で最も少なくなりました。一方、粗たんぱく質の摂取量は綿実かすだけの群と緑豆わら25%群で多く、緑豆わらだけの群で最も少なくなりました。

水分を除いた飼料全体と、その中の有機物の見かけの消化率には、群間で統計的に有意な差が認められませんでした。粗たんぱく質の消化率は綿実かすだけの群で最も高く、緑豆わらだけの群で最も低い結果でした。一部の繊維成分の消化率は、緑豆わらを混ぜた群で高くなりました。

論文の収支分析で純収益が最も高かったのは緑豆わら100%群で、次いで75%群でした。最も低かったのは25%群です。成長成績が同程度だった25%群と75%群でも、75%群は高価な綿実かすの使用量が少なく、補助飼料費を抑えられたため、純収益が高くなりました。

この報告が示すこと

著者らは、同様の飼育条件では、緑豆わらは綿実かすの相当部分を置き換えられる、経済的に有望な飼料だと結論づけています。この報告は、羊の肥育で収益を考える際には、成長の良さだけでなく、その成長を得るための飼料費も重要になることを示しています。

ただし、比較した飼料はたんぱく質やエネルギーの含有量も異なります。また、研究チームは、摂取量や繊維の消化に違いが生じた仕組みや、反すう動物の胃内で起こる発酵は調べていません。著者らの結論は、今回の飼料と飼育条件で得られた成績に基づくものです。

原著論文の著者・所属:Dehinasew Moges(Department of Animal Science, College of Veterinary Medicine and Animal Sciences, University of Gondar, Gondar, Ethiopia)、Abraham Belete Temesgen(Department of Veterinary Pathobiology, College of Veterinary Medicine and Animal Sciences, University of Gondar, P.O. Box 196, Gondar, Ethiopia)、Aschalew Dinku Chekun(Department of Animal Science, College of Veterinary Medicine and Animal Sciences, University of Gondar, Gondar, Ethiopia)、Yalew Demoze Zewudu(Department of Animal Science, College of Veterinary Medicine and Animal Sciences, University of Gondar, Gondar, Ethiopia)、Liku Admass Shiferaw(Department of Animal Science, College of Veterinary Medicine and Animal Sciences, University of Gondar, Gondar, Ethiopia)、Getachew Assefa Woldemariam(Department of Animal Science, College of Veterinary Medicine and Animal Sciences, University of Gondar, Gondar, Ethiopia)、Aschalew Assefa Teshager(Department of Animal Science, College of Veterinary Medicine and Animal Sciences, University of Gondar, Gondar, Ethiopia)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Dehinasew Moges, Abraham Belete Temesgen, Aschalew Dinku Chekun, et al. Effects of replacing cottonseed cake with mung bean straw on feed intake, nutrient digestibility, growth performance, and economic returns of simien sheep fed natural pasture hay. Discover Animals 2026-11-07. DOI: 10.1007/s44338-026-00273-0. 原著ライセンス:CC BY.