著者の所属・活動拠点の国は、ポーランドです。

掲載誌:Applied Sciences

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

アクリルアミドは、生の食材には含まれず、炭水化物を多く含む食品を120℃を超える高温で加熱したときに生じる物質です。食品に焼き色や香ばしさを与えるメイラード反応の過程で、還元糖(ブドウ糖や果糖など)と遊離アスパラギン(アミノ酸の一種)が反応して作られます。国際がん研究機関はアクリルアミドを「ヒトに対しておそらく発がん性がある」グループに分類しており、EUは2017年の規則で、食品事業者に生成を抑える対策を義務づけました。この規則では、対策が機能しているかを確かめる目安として、食品の種類ごとに「ベンチマークレベル」と呼ばれる指標値が定められています。

研究チームは、ポーランドで手に入る人気のスナック食品、特に子ども向け製品にどの程度のアクリルアミドが含まれているかを調べ、その値をEUの指標値と比べることを目的としました。子どもは体重が軽く体が発達途中であるため、影響を受けやすいと考えられているからです。あわせて、冷凍フライドポテトを家庭で調理する方法の違いによって、含有量がどう変わるかも検討しました。

調べた食品と方法

著者らは、ポーランド北部の都市オルシュティンのスーパーマーケットで2025〜2026年に購入した56製品を分析しました。対象は、フライドポテト、生のじゃがいもを薄切りにしたポテトチップス、じゃがいも生地を成形して作るチップス、プレッツェル、クラッカー、ポップコーン、ライ麦や小麦のクリスプブレッド(薄く焼いたパン)、ライスケーキやコーンケーキ、コーンフレーク、朝食用ビスケット、そして子ども向け売り場のビスケットやコーンパフ、フィンガービスケットなどです。

冷凍フライドポテトは、オーブン、エアフライヤー(いずれも220℃で15分)、油で揚げるフライヤー(175℃で3分)の3通りで調理し、ファストフード店で購入した揚げたてのポテトも比較に加えました。アクリルアミドの量は、液体クロマトグラフィーという成分を分離して測定する分析法で求めています。

主な結果

フライドポテトのアクリルアミド量は1kg当たり約132〜400µgで、調理法やメーカーによって違いがありました。油で揚げたもの(家庭調理とファストフード店の両方)が最も低く、210µg以下でした。一方、オーブンでは最大約400µg、エアフライヤーでは最大約322µgと高めでした。ただし、いずれのサンプルもフライドポテトの指標値である500µgを超えてはいませんでした。

ポテトチップスでは、薄切りタイプが約135〜499µgで指標値750µgを下回った一方、じゃがいも生地から作るチップスは約576〜1191µgと高く、2製品が指標値をそれぞれ約35%、約60%上回りました。

穀物製品では、クラッカーやクリスプブレッドなど焼き菓子類で特に高い値が見られました。同じ小麦のクリスプブレッドでも、メーカーによって約386µgから約2073µgまで大きな差があり、最も高い製品は指標値350µgの約6倍でした。指標値が定められている焼き製品はすべてその値を上回り、コーンフレークも指標値150µgの3〜5倍でした。著者らは原材料表示と照らし合わせ、全粒粉の使用や、麦芽エキス・ブドウ糖・シロップなど還元糖を多く含む材料の添加が高い値と結びついていると考察しています。押し出し成形のスナックやポップコーンは比較的低く、300µg以下(最低は15µg)でしたが、ライスケーキやコーンフレークのように膨化させる工程を経た製品では中程度に高い値も見られました。

子ども向け製品でも含有量には大きな幅があり、フィンガービスケットは約98〜721µg、ビスケットは約235〜622µg、コーンパフは約199〜255µgでした。著者らは要旨で、子ども向け製品で指標値を数倍上回る結果が出たことを、体が発達途中にある子どもへの影響を考えると特に憂慮すべき点として挙げています。

研究が示すこと

この研究は、アクリルアミドの量が原料に含まれる糖やアスパラギンだけでなく、配合や加熱・加工の方法によって大きく変わることを、市販品の実測値で示しています。同じ種類の食品でもメーカー間で数倍の差があったことは、製造工程の工夫によって含有量が左右されうることを物語っています。また著者らは、パン由来のクリスプのように高い値を示しながら指標値が設定されていない製品群があることを、規制上の空白として指摘しています。

原著論文の著者・所属:Maciej Kosakowski(Department of Commodity Science and Food Analysis, The Faculty of Food Sciences, University of Warmia and Mazury in Olsztyn, 10-089 Olsztyn, Poland)、Marta Czarnowska-Kujawska(Department of Commodity Science and Food Analysis, The Faculty of Food Sciences, University of Warmia and Mazury in Olsztyn, 10-089 Olsztyn, Poland)、Joanna Klepacka(Department of Commodity Science and Food Analysis, The Faculty of Food Sciences, University of Warmia and Mazury in Olsztyn, 10-089 Olsztyn, Poland)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Maciej Kosakowski, Marta Czarnowska-Kujawska, Joanna Klepacka. Acrylamide in Snacks on the Polish Market: Current Status and Safety Implications. Applied Sciences 2026-08-29. DOI: 10.3390/app16178615. 原著ライセンス:CC BY.