著者の所属・活動拠点の国は、トルコです。
掲載誌:Foods
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
ごまペーストを基にした植物性粉末を調べる
研究チームは、焙煎したごまをすりつぶしたペースト「タヒニ」に、エンドウ豆たんぱく質とココナッツミルク粉末を組み合わせ、植物性の食品粉末を作りました。研究の目的は、できあがった粉末の栄養成分やフェノール類、抗酸化能を調べ、さらに消化を模した実験で、それらの成分がどのように回収されるかを確かめることでした。
原料は重量比でタヒニ50%、エンドウ豆たんぱく質30%、ココナッツミルク粉末20%としました。これは予備試験で、均一に混ざり、安定して噴霧乾燥できる配合として選ばれたものです。研究チームは混合物を高圧で処理して細かく分散させた後、液体を霧状にして乾燥させる噴霧乾燥によって粉末にしました。
たんぱく質や脂質、多様な植物成分を含む粉末に
論文によると、完成した粉末はたんぱく質52.69%、脂質26.42%、粗繊維8.28%、炭水化物6.95%、水分2.28%でした。エンドウ豆たんぱく質は主にたんぱく質やアミノ酸の構成に、タヒニは脂質、ミネラル、フェノール類の構成に寄与したと著者らは説明しています。
粉末では、アミノ酸のうちグルタミン酸、アスパラギン酸、ロイシン、リシンが比較的多く、脂肪酸ではオレイン酸とリノール酸が主要な成分でした。リン、カルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルも検出されました。また、植物に含まれる成分群であるフェノール類についても、複数の成分が測定されました。
消化後に利用されうる割合は成分ごとに異なる
研究チームは、消化管内の条件を実験室で再現する方法で粉末を消化し、腸での吸収に進みうる成分の目安として、透析膜を通過する画分を調べました。各成分について、消化前の濃度に対するこの画分の濃度の割合を「バイオアクセシビリティー指標」として算出しました。これは実験条件下での利用されやすさの推定であり、人の腸で実際に吸収された割合ではありません。
主要なアミノ酸や脂肪酸は消化後にも検出されましたが、回収される程度は成分によって異なりました。フェノール類でも違いがあり、指標が最も高かったのは(+)-カテキンの53.59%で、ケルセチンは49.47%でした。抗酸化能も消化段階や測定法によって変化し、一般に、膜を通過した画分よりも通過しなかった画分で高い反応が示されました。
著者らは、高圧処理や噴霧乾燥を行わない比較条件を設けていないため、それぞれの加工が成分の保持や利用されやすさを高めたとは判断できないとしています。この研究が示すのは、複数の植物性原料を組み合わせた粉末の成分構成と、含有量だけでは分からない、消化時の成分ごとの挙動の違いです。
原著論文の著者・所属:Meryem Aparı(Department of Nutrition and Dietetics, Hamidiye Faculty of Health Sciences, University of Health Sciences, 34668 İstanbul, Türkiye)、Kubra Feyza Erol(Department of Nutrition and Dietetics, Hamidiye Faculty of Health Sciences, University of Health Sciences, 34668 İstanbul, Türkiye)、Gozde Kutlu(Department of Gastronomy and Culinary Arts, Faculty of Fine Arts, Design and Architecture, Ankara Medipol University, 06050 Ankara, Türkiye)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Meryem Aparı, Kubra Feyza Erol, Gozde Kutlu. Development of a Plant Bioactive-Rich Tahini-Based Powder Enriched with Pea Protein and Coconut Milk Powder: Antioxidant Properties, Nutritional Characterization, In Vitro INFOGEST Static Digestion. Foods 2026-09-16. DOI: 10.3390/foods15183268. 原著ライセンス:CC BY.