著者の所属・活動拠点の国は、チェコ、ポーランドです。

掲載誌:Foods

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

植物の抽出液を粉末にする方法として、熱風の中に液体を噴霧して瞬時に乾かす「噴霧乾燥」と、凍らせてから低圧下で水分を除く「凍結乾燥」がよく使われます。また、粉末化を助けるために、デンプン由来のマルトデキストリンなどの「担体(キャリア)」と呼ばれる素材を加えることもあります。乾燥方法や担体の効果は植物の種類によって異なる可能性がありますが、これらを同じ条件で直接比べた研究は限られていると著者らは指摘しています。

そこで研究チームは、複数のハーブ抽出物を対象に、二つの乾燥方法と担体の有無・種類を組み合わせ、得られた粉末の性質を比較しました。

何を調べたのか

対象としたのは、ハゴロモグサ(Alchemilla vulgaris)、ペパーミント(Mentha × piperita)、セイヨウイラクサ(Urtica dioica)の抽出物と、ハゴロモグサを1対1の割合でほかのハーブと組み合わせた2種類の混合物です。それぞれを噴霧乾燥と凍結乾燥で粉末にしました。

担体については、何も加えない場合と、重量比5%のマルトデキストリン、食物繊維の一種であるイヌリン、イヌリンとエンドウ豆タンパク質を95対5で混ぜたものを加えた場合を比べました。

評価項目は、原料からどれだけ粉末が得られたかを示す工程効率、水分含量、微生物の増えやすさや保存性に関わる「水分活性」、ポリフェノール類の量の目安となる総フェノール含量、抗酸化能です。さらに、タンパク質と糖が結びついてできる「終末糖化産物(AGE)」のうち蛍光を示すものの生成を、粉末がどの程度抑えるように見えるかを、試験管内の4種類の糖化モデルで調べました。

主な結果

論文によると、噴霧乾燥の粉末は凍結乾燥の粉末より水分含量が低く(1.13〜4.18%に対し4.32〜10.49%)、一方で工程効率は凍結乾燥の方が高い結果でした(74.8〜98.1%に対し47.2〜82.0%)。

担体を加えない粉末は、一般に水分活性が高い一方、総フェノール含量と抗酸化能も高い傾向にありました。総フェノール含量は、担体なしの粉末で乾燥重量100グラムあたり没食子酸換算3.31〜36.99グラムであったのに対し、担体を含む粉末では0.63〜3.66グラムでした。AGE生成の見かけの抑制率の平均も、担体なしの粉末が担体を含む配合を16.9〜37.9ポイント上回ったと報告されています。

ハーブ間の順位は評価モデルによって変わりました。ウシ血清アルブミンとブドウ糖を用いたモデルではペパーミントが最も強く、ウシ血清アルブミンと反応性の高い糖由来物質メチルグリオキサールを用いたモデルではハゴロモグサが最も強い結果でした。

研究から分かること

著者らは、担体の選択にあたっては、工程効率や水分活性の面での利点と、総フェノール含量や試験管内での見かけのAGE生成抑制の面での不利をてんびんにかける必要があると結論づけています。ハーブ抽出物を粉末にする際、乾燥方法や添加素材の選び方によって、扱いやすさと成分・活性のどちらを重視するかが変わることを示した研究といえます。

原著論文の著者・所属:Anna Plaskova(Department of Food Analysis and Chemistry, Faculty of Technology, Tomas Bata University in Zlin, Vavreckova 5669, 760 01 Zlin, Czech Republic)、Jiri Mlcek(Department of Food Analysis and Chemistry, Faculty of Technology, Tomas Bata University in Zlin, Vavreckova 5669, 760 01 Zlin, Czech Republic)、Anna Michalska-Ciechanowska(Department of Fruit, Vegetable and Plant Nutraceutical Technology, Faculty of Biotechnology and Food Science, Wrocław University of Environmental and Life Sciences, Chełmońskiego 37 Str., 51-630 Wrocław, Poland)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Anna Plaskova, Jiri Mlcek, Anna Michalska-Ciechanowska. Powdered Herbal Extracts by Freeze and Spray Drying: Formulation Design, Processing, and Physicochemical and Antiglycation Properties. Foods 2026-09-22. DOI: 10.3390/foods15193371. 原著ライセンス:CC BY.