ナイジェリアをはじめ熱帯アフリカで広く食べられている葉物野菜「Vernonia amygdalina(バイターリーフ、苦味葉)」は、たんぱく質や食物繊維、フラボノイド、アルカロイド、サポニン、タンニン、フェノール化合物などを含み、抗酸化作用をはじめとするさまざまな生理活性が報告されている植物です。ただし生の葉の水分含有量はおよそ82〜86%と非常に高く、傷みやすいという弱点があります。乾燥させて粉末にすれば保存性や流通性は上がりますが、天日干しや熱風乾燥といった従来の方法では、加熱や酸化によって栄養成分や色、機能性が損なわれやすいことが課題とされてきました。

この研究では、ナイジェリア・イロリン大学食品工学科などの研究チームが、比較的新しい乾燥技術である「屈折窓乾燥(RWD)」と、送風を工夫した「振動熱風乾燥(OD)」という2種類の方法でバイターリーフを乾燥させ、できあがった粉末の栄養・生理活性・機能特性を比較しました。

研究でわかったこと

屈折窓乾燥は、透明なポリエステル(マイラー)フィルムの下に温水を流し、フィルム越しに熱を伝えて薄層の葉を乾かす方式です。研究チームはイロリン大学食品工学科で実験用の装置を独自に設計・製作しており、温水槽の水温を90±2℃に保ち、電気ヒーターとLPGバーナーの2系統の熱源を備えた仕様だったとのことです。一方の振動熱風乾燥機も同学科で製作されたもので、ステンレス製の網目状トレイに葉を載せ、モーターでトレイを揺らしながら熱風を当てて乾燥効率を高める仕組みでした。イロリン州の農業研究農場で収穫した生の葉(水分含有量約82.4%)を、それぞれ10kgずつ約2時間かけて乾燥させ、粉末にして分析しています。

栄養成分を比べると、屈折窓乾燥で得た粉末は残留水分が6.57%と、振動熱風乾燥の9.04%より低く抑えられていました。さらに、たんぱく質(15.60%対12.73%)、脂質(3.34%対2.31%)、食物繊維(4.57%対3.35%)、灰分(ミネラル分の指標、7.24%対5.64%)のいずれも屈折窓乾燥のほうが高い値を示しました。研究チームは、屈折窓乾燥ではフィルムを介した伝導・対流・赤外放射が組み合わさることで温度が均一に保たれ、表面が硬く乾いてしまう「乾燥クラスト」ができにくく、内部の水分が抜けやすい点や、加熱・酸素への曝露が抑えられる点が、こうした差につながった可能性があると考察しています。

抗酸化に関わる指標でも同様の傾向が見られました。総フェノール含量は屈折窓乾燥で40.54mg GAE/100g(振動熱風乾燥は30.95mg GAE/100g)、総抗酸化能は54.39mg AAE/g(同43.39mg AAE/g)、DPPHラジカル消去活性は58.65%(同47.20%)と、いずれも屈折窓乾燥のほうが高い数値でした。色に関しても、屈折窓乾燥の粉末は明度(L*値)が高く、赤み・緑みを示すa*値がマイナス側(緑寄り)に保たれ、黄み・青みを示すb*値も高めで、葉緑素由来の緑色や黄色系色素の分解が比較的抑えられていたことがうかがえます。

粉末としての使いやすさに関わる機能特性でも差が見られました。屈折窓乾燥の粉末は、かさ密度が0.42g/cm³(振動熱風乾燥は0.29g/cm³)、水を吸う力を示す水分吸収能が264.10g/g(同216.42g/g)、水で戻したときの吸水の程度を示す復元率が3.51(同2.89)と、いずれも高い値でした。研究チームはこれらの結果について、屈折窓乾燥の穏やかで均一な加熱が組織の崩壊を抑え、乾燥後も水を吸う経路(毛細管構造など)が保たれやすいためではないかとしています。

この研究の位置づけと読むうえでの注意

この研究は、屈折窓乾燥と振動熱風乾燥という2種類の装置・条件下でバイターリーフを比較した実験結果であり、いずれも研究チームが独自に設計・製作した実験室規模の装置を用いたものです。数値は3回の繰り返し実験(n=3)の平均値として報告されています。実際の食品として摂取した場合の健康への影響を直接検証したものではなく、あくまで乾燥後の粉末の成分・色・機能特性を比較した基礎研究である点に留意が必要です。また、今回の結果は屈折窓乾燥がバイターリーフの品質保持に有望な技術であることを示すものですが、一つの研究であり、乾燥条件や装置の違いによって結果が変わる可能性も踏まえて読むとよいでしょう。

まとめ

この研究では、バイターリーフを屈折窓乾燥と振動熱風乾燥のそれぞれで乾燥・粉末化し、栄養成分、フェノール含量や抗酸化能などの生理活性、色、そして水分吸収能や復元率といった機能特性を比較しました。その結果、屈折窓乾燥のほうが水分含有量を低く抑えつつ、たんぱく質や脂質、食物繊維、灰分、抗酸化関連成分の保持に優れ、緑色などの色調や機能特性の面でも良好な結果を示したと報告されています。研究チームは、屈折窓乾燥が機能性食品やサプリメント原料としてバイターリーフ粉末を製造するうえで有望な低温乾燥技術になりうるとしています。

※本記事は原著論文の翻訳ではなく、研究内容を独自に解説したものです。参考文献:Mayowa Saheed Sanusi, Hafsat Funmilayo Bankole, Sodiq Ayinde Olaleye, et al. Refractance Window versus Oscillatory Drying: Effects on Vernonia amygdalina Nutritional, Bioactive, and Techno-Functional Properties. FUDMAジャーナル・オブ・サイエンシズ (2026). DOI: 10.33003/fjs-2026-1014-5648. 原著ライセンス: cc-by.