著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。

掲載誌:ABDIMAS ALTRUIS Jurnal Pengabdian Kepada Masyarakat

ライセンス: CC BY-SA 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF

身近なタロイモを価値ある食品に

インドネシアでは、タロイモ(サトイモの仲間)のような地域の食材を上手に活用することが、食料の安定確保や食生活の多様化につながると考えられています。著者らによれば、タロイモは食物繊維やビタミン、ミネラルを含む作物ですが、家庭ではゆでたり揚げたりする程度の使い方にとどまり、商品価値の高い加工品にはあまりなっていません。一方で、国内では小麦粉の消費が増えており、ピザのような人気の食品も小麦粉を主原料とするものが中心です。

この報告は、大学の研究チームが東ジャワ州ラモンガン県のスンゲレバック村で行った地域貢献活動をまとめたものです。対象は、家族の福祉向上を目的とする地域の女性組織PKKの会員です。村では庭先でタロイモが豊富に育つ一方、タロイモを売れる商品に加工する技能は乏しく、事前調査では参加予定者の多くが1日5〜8時間の空き時間を持っていました。そこで研究チームは、タロイモ粉を使ったピザ「PIZTALA」の作り方を教え、参加者の知識と技能を高めるとともに、家計の収入につながる起業への意欲を後押しすることを目指しました。

4段階の講習と評価の方法

活動は2026年3〜4月に、15人のPKK会員を対象に行われました。内容は、事前の聞き取りと現地観察、タロイモの栄養や健康的なピザの商売の可能性についての講義、ピザ作りの実習、そして講習後の家庭訪問による指導と評価という4段階で構成されています。

実習では、タロイモ粉80%、小麦粉20%の割合で生地を作りました。小麦粉を少し加えるのは生地に最低限の弾力を持たせるためで、著者らはこの配合を、小麦粉を少量しか含まない「低グルテン」の工夫として位置づけています。参加者は3つのグループに分かれ、トマトソースとチーズの定番味、ほうれん草などを使った野菜味、インドネシアの辛い薬味を使った地元風の味という3種類を作りました。なお、今回使ったタロイモ粉は村で作ったものではなく、外部から購入した既製品です。

効果を確かめるため、研究チームは講習の前後に同じ形式の10問の知識テストを行い、作業の様子を観察して技能を4段階で採点し、意欲をアンケートで測りました。あらかじめ、知識の得点が30ポイント以上伸びること、参加者の75%以上が技能で「良い」水準に達すること、意欲が80%以上になることを成功の目安として設定していました。さらに、訓練を受けていない20人の試食者が味や食感などを5段階で評価し、たんぱく質量の分析と、食物繊維などの量から計算する血糖値の上がりやすさの推定も行いました。

知識・技能・意欲はいずれも目標に到達

知識テストの平均点は、講習前の58%から講習後には88%へ上がりました。講習前は、グルテンを含む食品と含まない食品の違い、タロイモの血糖値への影響、タロイモ粉の作り方といった点を知らない参加者がほとんどでしたが、講習後は全員がタロイモの健康上の利点を少なくとも3つ挙げられるようになったと報告されています。

技能の評価では、15人中14人(93%)が「良い」以上の水準に達し、全体の平均は4点満点で3.68でした。生地作りやトッピングは特に高く評価された一方、焼き工程はやや低めでした。基準に届かなかった1人も、オーブンの熱の偏りに対応する追加指導を受けた後は、うまく焼けるようになったといいます。3日間の講習の出席率は100%で、意欲のアンケートは平均3.76点(94%)と「非常に意欲的」の水準でした。

できあがったピザは、試食評価で味4.3、食感4.2(5点満点)など、各項目でおおむね好意的に評価されました。著者らは、たんぱく質量が8.7%で一般的なピザの6〜7%より多いこと、血糖値の上がりやすさを示す指標(グリセミック指数)の推定値が48で「低い」とされる範囲に入ることを報告しています。ただし、この指標は実際に人が食べて測ったものではなく、仮定を置いて計算した推定値です。

経済面では、15人中12人が副業としてこのピザを売ることに関心を示しました。家庭訪問による1週間の指導期間中に、参加者たちは合わせて45食を販売し、売上は108万ルピアだったと報告されています。一方で、タロイモ粉を地元で手に入れられずオンラインで購入する必要があることが、続けていくうえでの大きな課題として挙げられました。

地元の食材を生かす講習モデルとして

この報告は、身近にありながら十分に使われてこなかったタロイモを、なじみのあるピザという形に変えることで、地域の女性たちの学びと意欲を引き出せたことを示しています。著者らは、設定したすべての目標が達成されたとして、この講習を地元食材を使った地域の女性の力づくりに有効な方法と位置づけています。

同時に、原料の粉を外部から買っている現状は、事業として続けるうえでの弱点でもあります。研究チームが指摘するように、庭先に豊富にあるタロイモを自分たちで粉にできるかどうかが、この取り組みを村に根づかせる鍵になるといえます。

原著論文の著者・所属:Savira Darma Setya Ananta(Program Studi Pendidikan Matematika, Universitas Islam Darul ‘Ulum Lamongan)、Abdur Rohim(Program Studi Pendidikan Matematika, Universitas Islam Darul ‘Ulum Lamongan)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Savira Darma Setya Ananta, Abdur Rohim Pemberdayaan ibu-ibu PKK melalui pelatihan pembuatan pizza tepung talas (PIZTALA). ABDIMAS ALTRUIS Jurnal Pengabdian Kepada Masyarakat 2026-10-26. DOI: 10.24071/aa.v9i2.1159. 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.

本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。