掲載誌:Journal of Innovative and Creativity (Joecy)
ライセンス: CC BY 4.0 対象: 公開論文 確認元: 論文PDF
なぜホウ砂の講習を行ったのか
ホウ砂(四ホウ酸ナトリウム)は、本来は洗浄剤や木材の防腐剤など食品以外の用途に使われる物質です。インドネシアでは食品への使用が禁止されていますが、日持ちを良くしたり弾力を出したりする目的で、ミートボールや生の黄色い麺などに違法に加えられることがあると、著者らは指摘しています。論文は先行研究を引き、ホウ砂を含む食品を繰り返し食べると体内に少しずつ蓄積し、脳・腎臓・肝臓の障害などにつながりうると説明しています。
著者らによれば、食品にホウ砂が含まれているかどうかは費用のかかる検査室でしか調べられないと考える人が多くいます。しかし、身近なターメリック(ウコン)を使って簡易に確かめる方法もあります。活動地域のジャムス集落(カランガニャル県)での事前観察では、住民はミートボールや麺、軽食などの調理済み食品をよく食べている一方で、ホウ砂入り食品の特徴や簡単な見分け方をほとんど知らない状況でした。
そこで研究チームは地域貢献活動として、ホウ砂の危険性について住民の知識を高めることと、ターメリックを使ってホウ砂の混入を簡易に見分ける技能を身につけてもらうことを目的に、講習と実演を行いました。
活動の内容と評価の方法
活動は2026年6月29日、集落内の住民宅で行われました。講習の前に、参加者は知識の程度を確かめるための事前テストを受けました。その後、リーフレットを配って講義を行い、ホウ砂とは何か、食品に入っているとなぜ危険か、ホウ砂入り食品の特徴、簡易検査の方法を説明しました。
続いて、ミートボールを試料にした簡易検査を実演しました。ターメリック溶液を指示薬として使い、試料の色が黄色から赤色や赤褐色に変われば、ホウ砂を含む疑いがあると判断します。あわせて、見た目や手触りといった感覚的な特徴も確認しました。質疑応答と討論のあと、参加者は事後テストを受けました。
評価には、活動中の観察記録と事前・事後テストの得点を用いました。得点は平均値などを比べる記述的な方法でまとめられています。
主な結果
参加者の平均得点は、事前テストの6.60点から事後テストでは9.58点に上がりました。最低点は3.75点から7.50点に上がり、最高点は前後とも10.00点でした。論文は、参加者一人ひとりの得点が上がったと報告しています。
観察では、住民の出席状況、講義中の集中した様子、質疑応答や討論への積極的な参加から、関心の高さがうかがえたとされています。著者らは、ホウ砂の定義や危険性といった知識に加え、色の変化を自分の目で確かめる体験があったことで内容を理解しやすくなったと考察しています。図入りのリーフレットや双方向の質疑応答も、理解の助けになったと述べています。
この報告が示すこと
著者らは、講義・教材・実演を組み合わせた今回の講習によって、ホウ砂の危険性やホウ砂入り食品の特徴に関する住民の知識が高まったと結論づけています。あわせて、ターメリックという身近な材料でホウ砂の疑いを確かめる実践的な体験を提供できた点も成果としています。
この報告は、高価な検査に頼らなくても、身近な材料を使った実演を交えた教育によって、地域の人々が食品の安全性を自分で考える手がかりを得られることを示した一つの実践例といえます。
著者:Luluk Lathifah(Pharmacy Study Program, STIKES Tujuh Belas Karanganyar)、Naimatul Retno Faizah(Pharmacy Study Program , STIKES Tujuh Belas Karanganyar)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Luluk Lathifah, Naimatul Retno Faizah. Education And Demonstration Of A Simple Test On The Hazards Of Borax As A Food Additive In Dukuh Jamus Karanganyar. Journal of Innovative and Creativity (Joecy) 2026-09-11. DOI: 10.31004/joecy.v6i2.14239. 原著ライセンス:CC BY.