この研究は、カザフスタンの研究機関の研究論文です。
掲載誌:The Journal of Almaty Technological University
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
発酵による構造の変化を調べる
研究チームは、ティラピアを原料とする魚製品について、発酵に伴うたんぱく質の構造変化が、食感や水分を保持する能力とどのように関わるかを調べました。製品を形づくるたんぱく質の組み合わさり方と、硬さや保水性を合わせて評価することが研究の目的です。
著者らは乳酸菌を使って発酵させた魚原料を用意し、それを製品全体の重量の30%または40%配合した試料と、発酵原料を含まない対照試料を比較しました。論文でいう「発酵レベル」は、発酵の進み具合ではなく、製品に占める発酵済み原料の割合を指します。
柔らかさと水分の保持に違い
研究チームは、試料を押し縮めて硬さや弾力を測り、遠心分離によって水分をどれだけ保持できるかを調べました。また、赤外線による分析でたんぱく質の構造変化の兆候を捉え、電子顕微鏡で内部の細かな構造を観察しました。外観、食感、香り、味は、12人の専門家が9点満点で評価しました。
著者らの報告では、発酵原料を配合した試料は対照試料より硬さが27〜34%低く、水分を保持する能力は12〜18%高くなりました。発酵原料の割合が高いほど柔らかくなり、変形後に形を戻す弾力や、構造のまとまりを示す指標も上昇しました。
一方、専門家による評価では、30%配合した試料が外観、食感、香り、味のすべてで最も高い点数を得ました。40%配合した試料では酸味が強くなったと報告されています。柔らかさや保水性が高まることと、食べたときの評価が高まることは、必ずしも同じではありませんでした。
構造と食感を合わせて捉える
赤外線分析では、発酵原料を含む試料に、たんぱく質の折りたたまれ方の変化を示す兆候が見られました。電子顕微鏡の観察でも、たんぱく質がよりまとまって配置される傾向があり、30%配合した試料で最も均一な構造が確認されました。ただし著者らは、これらを具体的な構造変化の直接的な証明や、内部構造の完全な説明ではなく、構造の組み替わりを示す傾向として扱っています。
論文は、今回の研究条件では、30%配合した試料で構造の安定性、保水性、食べたときの評価のバランスが最も良かったと結論づけています。発酵済み原料の配合は、魚製品の柔らかさだけでなく、水分の保持や味・香りとの兼ね合いを調整する手段になり得る、という意味を持つ結果です。
著者:Gaukhar Yussupova(S. Seifullin Kazakh Agrotechnical Research University)、Zh. K. Shadyarova(S. Seifullin Kazakh Agrotechnical Research University)、D. Б. Kurmangaliyeva(S. Seifullin Kazakh Agrotechnical Research University)、А.А. Дарибаева(S. Seifullin Kazakh Agrotechnical Research University)、N. T. Zamzamova(Atyrau University named after H. Dosmukhamedov)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Gaukhar Yussupova, Zh. K. Shadyarova, D. Б. Kurmangaliyeva, et al. Comprehensive assessment of structural and functional quality indicators of fermented fish products. The Journal of Almaty Technological University 2026-09-30. DOI: 10.48184/2304-568x-2026-3-36-42. 原著ライセンス:CC BY.