著者の所属・活動拠点の国は、中国です。

掲載誌:Gels

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

ソーセージなどの原料となる、ひき肉を練り上げたペースト状の生地を「ミートバッター」と呼びます。研究チームによると、食塩を減らしたミートバッターでは、水分を保持する力の低下、食感の劣化、ゲルの強さの不足といった品質上の問題がよく見られます。

研究チームは、こうした減塩生地の品質低下を酵母タンパク質の添加で和らげられるかを調べました。抄録によると、対象は食塩を1%に抑えた鶏肉のミートバッターです。

何を調べたか

著者らは、肉の重量に対して酵母タンパク質を0%、2%、4%、6%加えた減塩生地を用意し、従来どおり食塩を2%含む対照と比べました。

比べた項目には、加熱後に残る重量の割合(加熱歩留まり)、水分を保持する力(保水性)、硬さ、弾力、ゲル強度、明るさを示す色の値、見た目や総合的な好ましさの評価が含まれます。さらに、加熱中のゲルの性質を粘弾性の測定で調べ、タンパク質の立体構造の変化を赤外分光法で分析しました。ゲル内部の微細な構造は、試料を凍らせたまま観察する電子顕微鏡(クライオSEM)で確認しています。

主な結果

論文によると、酵母タンパク質を加えると、減塩生地の品質上の問題は大きく和らぎました。特に4%添加した減塩生地は、食塩2%の対照と比べて、加熱歩留まり、硬さ、ゲル強度が統計的に有意に高くなりました。一方、保水性、明るさを示す色の値、弾力には対照との有意な差がありませんでした。

加熱中の測定では、80℃でのゲルの弾性の指標となる値(貯蔵弾性率)が、酵母タンパク質の量が多いほど高くなりました。赤外分光の分析からは、酵母タンパク質の添加によって、タンパク質の構造がらせん状の「αヘリックス」から、シート状に並ぶ「βシート」へ移る変化が促されたことが示されました。顕微鏡観察では、添加によってゲルの網目構造がより密で整ったものになっていました。

ただし、6%まで増やすとゲルが暗い色になり、見た目の評価が有意に下がりました。それでも総合的な好ましさについては、食塩2%の対照や4%添加の生地などと有意な差はなかったと報告されています。こうした結果から、著者らは試した濃度の中では4%が最適な添加量だと結論づけています。

研究が示すこと

この研究は、食塩を1%に抑えた鶏肉の生地でも、4%の酵母タンパク質を加えることでゲルとしての品質が高まり、望ましい製品の特徴も保たれたことを報告しています。著者らは、酵母タンパク質が減塩ミートバッター製品の開発に有望な素材だとしています。

原著論文の著者・所属:Dongyang Zhu(Henan Key Laboratory of Tea Plant Biology, College of Tea and Food Science, Xinyang Normal University, Xinyang 464000, China)、Kexin Zheng(Henan Key Laboratory of Tea Plant Biology, College of Tea and Food Science, Xinyang Normal University, Xinyang 464000, China)、Yimeng Ren(Henan Key Laboratory of Tea Plant Biology, College of Tea and Food Science, Xinyang Normal University, Xinyang 464000, China)、Haoyue Chang(Henan Key Laboratory of Tea Plant Biology, College of Tea and Food Science, Xinyang Normal University, Xinyang 464000, China)、Zhe Xu(College of Life Sciences, Dalian Minzu University, Dalian 116600, China)、Zhuangli Kang(College of Tourism and Cooking, Yangzhou University, Yangzhou 225127, China)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Dongyang Zhu, Kexin Zheng, Yimeng Ren, et al. Effect of Yeast Protein on the Gel Properties of Low-Salt Chicken Meat Batters. Gels 2026-10-23. DOI: 10.3390/gels12110948. 原著ライセンス:CC BY.