著者の所属・活動拠点の国は、アラブ首長国連邦、シンガポールです。

掲載誌:Applied Food Research

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

肉を使わずに肉らしさを再現する植物性の代替肉では、食感や水分の保ち方が品質を大きく左右します。研究チームは、ナツメヤシの実(デーツ)から得られる水に溶けない食物繊維に注目し、その粒の大きさが植物性ミートボールの構造全体にどのような影響を与えるかを調べることを目的としました。

ここで紹介する内容は、論文の抄録に記載された範囲にもとづいています。

何を調べたか

著者らは、デーツ由来の食物繊維を粒の大きさで75、100、200、300マイクロメートル(1マイクロメートルは1ミリメートルの1000分の1)の4段階に分け、それぞれをミートボール型の代替肉に加えました。どの配合でも食物繊維の量は同じにそろえ、粒の大きさの違いだけを比べられるようにしています。

評価したのは、加熱時に失われる水分の量(クッキングロス)や水を保つ力のほか、力を加えたときの変形や流れ方を調べるレオロジー測定、硬さなどの食感、内部の微細な構造、そして色合いです。

主な結果

論文によると、食物繊維の粒の大きさは、代替肉の内部でゲル状に形づくられる網目構造の並び方や、水の閉じ込め方に影響していました。粒の大きい食物繊維を加えると保水力が高まり、加熱による水分の損失は約9.6%まで減少したと報告されています。著者らはこれを水をよく保持できることを示すものとし、その背景として、セルロースやヘミセルロースといった水と結びつきやすい成分が多いという食物繊維の組成が関係している可能性を挙げています。

一方、レオロジーと食感の測定では、粒の大きい食物繊維はより弱いゲル構造をつくっていました。これに対し、最も細かい75マイクロメートルの粒では、内部がより密で詰まった構造となり、硬さは607グラムと高い値を示しました。研究チームは、繊維どうしの相互作用が増えることに加え、小さな粒がすき間を埋めるように働くことがその理由だと説明しています。これらの試料では、大きな変形を加えたときに弾性的な性質が高まることも観察され、内部の高分子がより大きく再配列していることを反映していると考えられています。

見た目についても違いがありました。100マイクロメートル以下の細かい粒を加えたミートボールは、より暗く濃い茶色になり、明るさを示すL*値は約26、赤みを示すa*値は約4でした。著者らは、粒が細かいほど表面積が大きくなることがこの色の変化に関わっているとしています。

この研究が示すこと

この研究は、同じ量のデーツ食物繊維を使っても、粒の大きさを変えるだけで代替肉の保水性、硬さ、内部構造、色合いが異なることを示しました。大きな粒は水を保つ面で、細かい粒は硬く密な食感をつくる面で、それぞれ異なる特徴を示しています。研究チームは、粒の大きさが代替肉に食物繊維を使う際の重要な設計要素であり、代替肉の食感を高める方法になりうると結論づけています。

原著論文の著者・所属:Sanaa Rasul(Department of Food Science, College of Agriculture and Veterinary Medicine, United Arab Emirates University, Al Ain, United Arab Emirates)、Muneeba Zubair Alam(Department of Food Science, College of Agriculture and Veterinary Medicine, United Arab Emirates University, Al Ain, United Arab Emirates)、Mohammed Tarique(Department of Food Science, College of Agriculture and Veterinary Medicine, United Arab Emirates University, Al Ain, United Arab Emirates)、Jie Hong Chiang(Singapore Institute of Food and Biotechnology Innovation (SIFBI), Agency for Science, Technology and Research (A*STAR), 31 Biopolis Way, Nanos, 138669, Singapore)、Oni Yuliarti(Department of Food Science, College of Agriculture and Veterinary Medicine, United Arab Emirates University, Al Ain, United Arab Emirates; National Water and Energy Center (NWEC), United Arab Emirates University, Al-Ain P.O. Box 15551, United Arab Emirates)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Sanaa Rasul, Muneeba Zubair Alam, Mohammed Tarique, et al. Evaluation of the rheological, textural, and microstructural properties of plant-based meat analogue: effect of date fruit fiber particle size and composition. Applied Food Research 2026-10-19. DOI: 10.1016/j.afres.2026.102745. 原著ライセンス:CC BY.