著者の所属・活動拠点の国は、中国です。
掲載誌:Foods
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
スパイスで加熱中の成分変化を抑えられるか
研究チームは、牛肉パティに加えるスパイスの種類や量が、加熱中に生じる酸化由来の成分と、肉の色や食感にどう影響するかを調べました。狙いは、ローストした肉の品質を保ちながら、脂質の酸化に伴うたんぱく質の変化を抑えられるかを確かめることです。
注目したのは、脂質の酸化で生じた反応性の高い成分がたんぱく質と結びついてできる「終末脂質過酸化産物(ALEs)」です。研究チームは、その一部が蛍光を発する性質を利用し、ALEsに関連する生成物の変化を比較しました。
クローブとローズマリーで強い抑制
著者らは、乾燥したミカンの皮、ローズマリー、シナモン、クローブを加えて焼いた牛肉パティを、スパイス無添加のものと比較しました。ALEsに関連する蛍光に加え、その生成に関わるマロンジアルデヒド(MDA)、グリオキサール(GO)、メチルグリオキサール(MGO)を測定し、加熱による重量減少、色、食感も調べました。
論文は、ALEs関連の蛍光を抑える作用がスパイスの種類と添加量によって異なり、クローブとローズマリーで強かったと報告しています。特に添加量が0.5%と1.0%の場合に、強い抑制が見られました。この変化には、反応性の高い前駆物質の蓄積減少が伴い、とりわけ脂質酸化の指標でもあるMDAの変化が、蛍光の変化とよく対応していました。一方、GOとMGOの変化は必ずしも一致しませんでした。
抗酸化力だけでは説明できない違い
クローブは総フェノール量と総フラボノイド量が最も多く、全体として強い抗酸化力を示しました。ただし、シナモンは試験管内の複数の試験でローズマリーに匹敵するか、それ以上の抗酸化力を示したものの、ALEs関連の蛍光を同じように強く抑えたわけではありませんでした。著者らは、肉の中での作用には抗酸化力だけでなく、前駆物質の蓄積をどう変えるかも関わると考察しています。
スパイス添加による加熱時の重量減少に有意な差はありませんでしたが、色や食感は種類や量に応じて変化しました。この研究は、スパイスを一括りにせず、肉の中で起こる成分変化と仕上がりの両方から、その働きを捉える重要性を示しています。
原著論文の著者・所属:Yaya Wang(College of Food and Health, Zhejiang A&F University, Hangzhou 311300, China; School of Medicine, Nankai University, Tianjin 300071, China)、Yuanfei Li(College of Food and Health, Zhejiang A&F University, Hangzhou 311300, China)、Tianchang Zhang(School of Medicine, Nankai University, Tianjin 300071, China)、Bingxin Yang(College of Optical, Mechanical and Electrical Engineering, Zhejiang A&F University, Hangzhou 311300, China)、Yiming Zhang(College of Food and Health, Zhejiang A&F University, Hangzhou 311300, China)、Yuekun Wu(College of Food and Health, Zhejiang A&F University, Hangzhou 311300, China; School of Medicine, Nankai University, Tianjin 300071, China)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Yaya Wang, Yuanfei Li, Tianchang Zhang, et al. Four Spices Differentially Modulate Roasted Beef Patty Quality and Fluorescent ALEs Formation via Carbonyl Precursors. Foods 2026-08-27. DOI: 10.3390/foods15173023. 原著ライセンス:CC BY.