著者の所属・活動拠点の国は、サウジアラビアです。

掲載誌:PLoS ONE

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

研究チームは、アラビアラクダ(ヒトコブラクダ)の肉を調理する方法として、「オーミック・スーヴィード調理」と従来の「スーヴィード調理」を比べました。肉の化学的・物理的な性質、色、食感、そして人が食べたときの評価がどう違うかを調べています。

スーヴィード調理は、袋に密封した食材を温度管理しながら加熱する調理法です。オーミック加熱は、一般に食品に電流を流し、食品そのものを発熱させる加熱方法を指します。研究チームは、この二つを組み合わせた調理を「オーミック・スーヴィード調理」と呼んでいます。

どのように調べたか

研究では、2種類の調理法、3段階の温度(70℃、80℃、90℃)、4段階の加熱時間(30分、60分、90分、120分)をすべて組み合わせて肉を調理しました。

調理後の肉について、酸性度を示すpH、加熱で失われた重さ(加熱損失)、微生物が利用できる水分の目安である水分活性、明るさ・赤み・黄みといった色の指標を測りました。さらに、肉を切るのに必要な力(せん断力)を測りました。せん断力が小さいほど、肉は機械的に柔らかいと判断されます。あわせて、全体的な好ましさ、柔らかさ、風味、ジューシーさを人が評価する官能評価も行いました。

主な結果

論文によると、オーミック・スーヴィード調理では、従来のスーヴィード調理に比べて、pH、加熱損失、水分活性、黄み、色の変化量が有意に高くなりました。一方、明るさ、赤み、せん断力は有意に低くなりました。つまり、オーミック・スーヴィード調理の肉は機械的な測定では柔らかくなりましたが、加熱で失われる重さは多く、色も変わっていました。

温度を上げたり加熱時間を延ばしたりすると、全体としてpH、加熱損失、黄み、色の変化が大きくなりました。反対に、明るさ、赤み、水分活性、せん断力は低下する傾向が報告されています。

官能評価では、オーミック・スーヴィード調理の肉のほうが、全体的な好ましさと柔らかさの評価が有意に高くなりました。風味とジューシーさには、調理法による有意な差はありませんでした。温度と時間を増やすと、好ましさ・柔らかさ・風味の評価は上がりましたが、ジューシーさの評価は次第に下がりました。90℃で120分調理した肉は、好ましさ、柔らかさ、風味の評価が最も高くなりました。一方で、ジューシーさの評価は最も低くなりました。

研究が示すこと

著者らは、オーミック・スーヴィード調理が従来のスーヴィード調理よりもラクダ肉の柔らかさと食べたときの好ましさを高めたと結論づけています。同時に、その利点には加熱損失の増加や肉の色の変化が伴うことも示しました。

柔らかさを得ることと、水分を保つことや色・食味の質を保つことは、必ずしも両立しません。著者らは、オーミック・スーヴィード調理はラクダ肉を柔らかくする方法として可能性がある一方で、これらのバランスを取るために加熱条件を最適化する必要があると述べています。

原著論文の著者・所属:Bandar Alfaifi(King Saud University)、Ali I. Hobani(King Saud University)、Gamaleldin M. Suliman(King Saud University)、Mansour N. Ibrahim(King Saud University)、Ronnel B. Fulleros(King Saud University)、Moath B. Othman(King Saud University)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Bandar Alfaifi, Ali I. Hobani, Gamaleldin M. Suliman, et al. Innovative ohmic-sous vide cooking technique for enhancing physicochemical, textural, and sensory attributes of Arabian camel (Camelus dromedarius) meat. PLoS ONE 2026-11-03. DOI: 10.1371/journal.pone.0359223. 原著ライセンス:CC BY.