著者の所属・活動拠点の国は、イタリア、フィリピンです。
掲載誌:Nutrients
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
超加工食品とは、工業的な加工工程を経て、家庭の調理ではあまり使わない原料や添加物を含むことの多い食品を指します。これまでの研究で、超加工食品を多く食べることと、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)との関連が報告されてきました。MASLDは、肥満や血糖の異常といった代謝の問題を背景に、肝臓に脂肪がたまる病気です。
一方で、研究によって「超加工食品をどう定義したか」や「肝臓の状態をどう評価したか」が異なるため、結果の解釈は簡単ではありませんでした。そこで研究チームは、この分野の既存のシステマティックレビューやメタアナリシス(複数の研究を一定の手順で集めて統合する研究)をさらにまとめる「アンブレラレビュー」を行いました。目的は、証拠の整理、各レビューの方法の質の評価、レビュー間での元論文の重なりの確認、そして提案されている生物学的な仕組みの検討です。
何を調べたか
抄録によると、著者らはPubMed、Scopus、Web of Scienceの3つの文献データベースを、収録開始時から2026年5月まで検索し、成人を対象に超加工食品の摂取とMASLDに関連する肝臓の指標を調べたレビューを集めました。
各レビューの方法の質は、AMSTAR 2という評価ツールで判定しました。また、各レビューが取り上げた元の研究論文を一覧化し、食品の加工度で分類するNOVA分類に基づいて超加工食品の総摂取量を評価した研究と、特定の食品や食事パターンを超加工食品の代わりの指標として用いた研究とを区別しました。複数のレビューが同じ元論文をどれだけ重複して使っているかは、CCA(修正被覆面積)という指標で数値化しています。結果は、数値を統合するのではなく文章で整理する方法でまとめられました。
主な結果
対象となったシステマティックレビューは5件でした。AMSTAR 2による信頼度の判定は、「中程度」が1件、「低い」が1件、「極めて低い」が3件でした。5件のレビューに含まれる元論文を整理すると、重複を除いて18件あり、そのうち11件がNOVA分類による超加工食品の総摂取量を、7件が代替的な指標を評価していました。
全体として、超加工食品の摂取が多いほど肝臓の状態が好ましくない傾向が見られたと報告されています。特に、人々を時間を追って観察した前向き研究の結果は、ある一時点だけを調べた横断研究よりも一貫していました。
ただし、レビュー間の元論文の重なりは非常に大きく(全体のCCAは34.72%)、各レビューの結論が互いに独立した証拠とは言いにくい状況でした。ほかにも、食事内容を後からNOVA分類に当てはめていること、肝臓の状態の判定方法がまちまちであること、調整しきれない他の要因の影響が残る可能性が限界として挙げられています。
仕組みとしては、エネルギーのとりすぎ、内臓脂肪の増加、インスリンの効きにくさ(インスリン抵抗性)、肝臓での脂肪合成の促進、腸と肝臓の間のやりとりの変化などが提案されていますが、これらが観察された関連にどの程度関わっているかは確認されていないと著者らは述べています。
研究が示すこと
著者らは、既存の証拠は超加工食品の多い摂取とMASLDに関わる肝臓の悪い状態との間の関連を示唆するものの、因果関係や、どれだけ食べると有害になるかという境界の量までは示していないと結論づけています。今回の研究は、関連を示す報告が積み重なっている一方で、それらの多くが同じ元論文に依拠し、レビューの方法の質にも課題があることを明らかにし、この分野の証拠の現状を見極める手がかりを示したものといえます。
原著論文の著者・所属:Melvin Bernardino(Department of Life Science, University of Trieste, 34100 Trieste, Italy; Department of Science and Technology, Philippine Council for Health Research and Development, Taguig 1631, Philippines; Metabolic Liver Disease Unit, Fondazione Italiana Fegato, 34149 Trieste, Italy)、Claudio Tiribelli(Metabolic Liver Disease Unit, Fondazione Italiana Fegato, 34149 Trieste, Italy)、Natalia Rosso(Metabolic Liver Disease Unit, Fondazione Italiana Fegato, 34149 Trieste, Italy)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Melvin Bernardino, Claudio Tiribelli, Natalia Rosso. Ultra-Processed Food Consumption and Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease (MASLD): Evidence Synthesis, Methodological Appraisal, and Mechanistic Insights. Nutrients 2026-10-29. DOI: 10.3390/nu18213585. 原著ライセンス:CC BY.