この研究は、中国の研究機関の研究論文です。

掲載誌:Frontiers in nutrition

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: Europe PMC

何を明らかにしようとしたのか

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、飲酒が主因ではないのに肝臓に脂肪がたまる状態で、論文によれば成人のおよそ25〜30%が該当する、世界で最も多い慢性の肝疾患です。肥満や2型糖尿病、メタボリックシンドロームと密接に結びついており、食事は数少ない「変えられる」リスク要因とされています。

著者らが注目したのは「超加工食品(UPF)」です。これはNOVA分類という枠組みで定義される区分で、食品から抽出した成分を工業的に配合し、添加物を多く含み、素材そのものの形がほとんど残っていない製品を指します。砂糖入り飲料、加工肉、袋菓子、調理済み食品、工業生産のパンや菓子パンなどが含まれ、高所得国では一日の摂取エネルギーの25〜60%を占めると論文は述べています。

ただし、UPFは中身が非常に幅広い寄せ集めの区分です。そこで研究チームは、(1)NOVA分類に厳密に従って定義したUPF全体の摂取量とNAFLDの関連、(2)UPFと一緒に食べられることの多い食品群、すなわち赤身肉・加工肉と砂糖入り飲料の関連、(3)性別などによる違い、を同じ枠組みの中で比較することを目的に、系統的レビューとメタ解析を行いました。著者らによれば、UPF全体と個別の食品群を同一の解析枠組みで系統的に比較したのはこの研究が初めてです。

どのように調べたか

研究チームはPRISMA 2020という報告指針に沿い、PubMed、Web of Science、Cochrane Libraryの3つのデータベースを対象に、開始時点から2026年3月31日までの文献を検索しました。成人を対象とした観察研究で、他の要因を調整した効果推定値が信頼区間とともに報告されているものを選んでいます。データベースから875件が見つかり、重複や条件に合わないものを除いて最終的に24件が系統的レビューに含まれました。

そのうち解析に使えたのは、UPF全体について9件(参加者は合計約25万人)、赤身肉・加工肉について6件、砂糖入り飲料について3件です。研究デザインは前向きコホート研究11件、症例対照研究6件、横断研究7件で、アジア、ヨーロッパ、北米の各地域で実施されたものが含まれます。摂取量が最も多い群と最も少ない群を比べたオッズ比を、ランダム効果モデルで統合しました。

この研究の特徴のひとつは、UPFの「測り方」にこだわった点です。過去のメタ解析には、ファストフードの利用頻度をUPFの代用指標として使った研究が混ざっており、著者らはこれが効果を過大に見積もる原因になりうると考えました。そこで、NOVA分類の第4群として明示的にUPFを定義した研究だけに絞って主解析を行っています。なお、赤身肉・加工肉と砂糖入り飲料については、NOVA分類の下位区分として厳密に取り出したものではなく、UPF摂取量の多い人にしばしば一緒に見られる食品群として扱っている、と著者らは明記しています。

報告された主な結果

UPF全体については、摂取量が多い群でNAFLDのオッズ比が1.26(95%信頼区間1.16〜1.37)と報告されました。つまり、摂取量が少ない群と比べて約26%高い、という関連です。研究を1件ずつ除いて計算し直す感度分析でも1.24〜1.29の範囲に収まり、特定の1研究が結果を左右してはいませんでした。

一方、赤身肉・加工肉の摂取が多い群ではオッズ比1.70(1.29〜2.24)、砂糖入り飲料が多い群では1.50(1.23〜1.84)と、UPF全体より強い関連が示されました。著者らは、UPFという区分が性質の異なる製品の寄せ集めであることが、全体としての関連が相対的に弱く出た一因ではないかと考察しています。

UPFの定義の影響も具体的に示されました。ファストフードの頻度を代用指標とした研究を1件加えて計算すると、統合オッズ比は1.26から1.77(1.34〜2.34)へと跳ね上がったのです。著者らは、何をUPFとみなすかが推定値を大きく左右することの実例だとしています。

性別については、含まれた2つのアジアのコホートで、女性のほうが関連が強いと報告されていました(女性で1.48〜1.52、男性で1.06〜1.35)。ただし著者らは、これがアジアの集団に限られた知見であり、他の集団での確認が必要だと断っています。

著者らが挙げた限界も重要です。含まれた研究はすべて観察研究であるため因果関係は結論できないこと、研究間のばらつき(異質性)が中程度あること、NAFLDの診断の多くが肝生検ではなく超音波や指標スコアによること、砂糖入り飲料の解析はわずか3件に基づくこと、摂取量の表し方が研究ごとに異なるため用量反応関係の解析ができなかったことなどが挙げられています。

この研究が示すこと

この研究が伝えているのは、「超加工食品」とひとくくりにされる食品群の中でも、NAFLDとの関連の強さは一様ではないらしい、ということです。報告された数値の上では、加工肉・赤身肉と砂糖入り飲料が、UPF全体よりもはっきりした関連を示していました。

著者らはここから、食事の助言は「超加工食品をすべて避ける」という一律の呼びかけよりも、関連の強い特定の食品群に的を絞るほうが現在の証拠に合っている、と述べています。同時に、これは観察研究を統合した結果であって因果関係を確立したものではなく、性差を含め、さらに確かな証拠による確認が必要だという留保も繰り返し添えられています。食生活と肝臓の健康を考えるうえで、「加工されているかどうか」だけでなく「何が加工されているか」に目を向ける必要がある——それがこの論文の示す視点です。

著者:Chen D(Department of Health Management, West China School of Medicine, Sichuan University, Sichuan University affiliated Chengdu Second People's Hospital, Chengdu Second People's Hospital, Chengdu, China.; Department of International Medical Service, West China School of Medicine, Sichuan University, Sichuan University affiliated Chengdu Second People's Hospital, Chengdu Second People's Hospital, Chengdu, China.)、Li L(Department of Health Management, West China School of Medicine, Sichuan University, Sichuan University affiliated Chengdu Second People's Hospital, Chengdu Second People's Hospital, Chengdu, China.; Department of International Medical Service, West China School of Medicine, Sichuan University, Sichuan University affiliated Chengdu Second People's Hospital, Chengdu Second People's Hospital, Chengdu, China.)、Zhang C(Department of Nephrology, West China School of Medicine, Sichuan University, Sichuan University affiliated Chengdu Second People's Hospital, Chengdu Second People's Hospital, Chengdu, China.)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Chen D, Li L, Zhang C. Total ultra-processed food intake and selected food-group exposures in relation to non-alcoholic fatty liver disease: a systematic review and meta-analysis. Frontiers in nutrition 2026-09-08. DOI: 10.3389/fnut.2026.1876449. 原著ライセンス:CC BY.