著者の所属・活動拠点の国は、ジンバブエ、南アフリカです。
掲載誌:Frontiers in Animal Science
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、肉用鶏であるブロイラーの飼料にマルラ油とフルボ酸を加えると、食肉として得られる部分の重さや肉質、食べたときの評価にどのような影響があるかを調べました。背景には、成長促進に使われる抗菌薬の肉への残留に対する消費者の懸念と、代わりになる飼料添加物への関心があります。
マルラ油はマルラという植物の果実の種の中身から得られる油で、フルボ酸は天然の有機化合物です。著者らは、それぞれを単独で加えた場合と、組み合わせた場合を検討しました。
何を、どのように調べたか
研究チームは、雌雄を分けていないCobb 500系統のブロイラー320羽を、無作為に4種類の飼料に割り当て、42日間飼育しました。各条件には10羽ずつの飼育区画を8区画設け、区画を単位として比較しました。
比較したのは、抗菌薬オラキンドックスを含む対照飼料と、それを含まない3種類の飼料です。後者には、飼料1 kg当たりフルボ酸2 g、フルボ酸1.4 gとマルラ油0.6 g、またはマルラ油2 gを加えました。飼料は成長段階に合わせて切り替え、水と餌は自由に摂取できるようにしました。
飼育終了後、各区画から3羽を調べ、処理前の体重、羽毛や内臓を除いた枝肉の重量、各部位の重さや長さなどを測定しました。胸肉については、酸性・アルカリ性の程度を示すpH、水分を保持する能力、保存中に流れ出る水分や加熱による重量の減少を比較しました。さらに、訓練を受けた10人と受けていない10人が、飼料の種類が分からないよう符号を付けた加熱済みの胸肉を、無作為な順序で試食し、食感や風味、総合的な好ましさなどを7段階で評価しました。
主な報告結果
研究チームによると、枝肉重量や、処理前の体重に対して枝肉が占める割合、翼やももの重量など、多くの項目には飼料による統計的に有意な差がありませんでした。一方、処理前の体重はマルラ油単独群で1,866 gとなり、対照群の2,022 g、フルボ酸単独群の1,912 g、併用群の1,981 gより有意に低い値でした。背部の長さは、対照群の27.9 cmに対し、添加した3群では28.9~29.2 cmと有意に長くなりました。
胸肉の処理24時間後のpH、水分保持能力、保存中の水分流出、加熱による重量減少には、有意な差がありませんでした。処理時のpHには差があり、フルボ酸単独群が6.38と最も低く、マルラ油単独群が6.54と最も高い値でした。
試食による評価では、マルラ油やフルボ酸を加えた飼料で育てた鶏の肉は、対照群と比べて感覚的な品質に有意な違いがあったと報告されています。著者らは結論で、マルラ油の添加によって味、ジューシーさ、柔らかさなどが改善したと述べています。
この報告が示すこと
著者らは、マルラ油とフルボ酸を、ブロイラー飼料で抗菌薬に代わる成長促進用の添加物として利用できると結論づけています。この報告は、代替添加物を評価する際に、得られる肉の量だけでなく、肉質や食べたときの特徴も検討対象になることを示しています。
原著論文の著者・所属:Rumbidzai Blessing Nhara(Department of Animal Science, Faculty of Science, Engineering and Agriculture, University of Venda; Department of Livestock Sciences, Faculty of Agriculture, Environment and Food Systems, University of Zimbabwe)、Everngelista Sengwe(Department of Livestock Sciences, Faculty of Agriculture, Environment and Food Systems, University of Zimbabwe)、Joseph Jimu Baloyi(Department of Animal Science, Faculty of Science, Engineering and Agriculture, University of Venda)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Rumbidzai Blessing Nhara, Everngelista Sengwe, Joseph Jimu Baloyi. Effects of Sclerocarya birrea oil and fulvic acid growth promoter in broiler diets on carcass characteristics, meat quality, and sensory attributes. Frontiers in Animal Science(出版社:Frontiers Media) 2026-11-05. DOI: 10.3389/fanim.2026.1983084. 原著ライセンス:CC BY.