著者の所属・活動拠点の国は、インドです。
掲載誌:Journal of Food and Nutrition
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
ビール粕を代替飼料として調べる
著者らは、肉用鶏の飼料に使うトウモロコシの一部を、発酵させたビール粕に置き換えたとき、血液の状態にどのような変化が生じるかを調べました。ビール醸造後に残る穀物のかすは、たんぱく質やミネラルを含む一方、鶏が消化しにくい繊維が多いことが利用上の課題です。この研究では、酵母で発酵処理したビール粕に着目しました。
試験には、生後1日のハバード系ブロイラー300羽を用い、42日間飼育しました。トウモロコシを置き換えない対照群と、その5%、10%、15%、20%を発酵ビール粕に置き換える群を比較しました。この割合は飼料全体ではなく、トウモロコシに対する置換率です。飼料は、たんぱく質とエネルギーの水準がほぼそろうように調製されました。
赤血球や血清たんぱく質などが増加
著者らは、発酵処理によってビール粕の粗たんぱく質と利用可能なエネルギーが増え、粗繊維が減ったと報告しています。
鶏の血液では、発酵ビール粕を与えた各群で、対照群より赤血球数や、酸素を運ぶヘモグロビンの濃度などが統計的に有意に高くなりました。ヘモグロビン濃度は、対照群の8.97 g/dLに対し、置換した群では10.98〜11.47 g/dLでした。白血球数も高くなりました。
血液から血球などを除いた血清では、総たんぱく質、アルブミン、グロブリンが増加しました。カルシウム、リン、カリウムなどの濃度も対照群より高くなりました。一方、肝臓の状態をみる酵素の指標や、腎臓の働きなどに関係する尿素・クレアチニンには、有意な差は認められませんでした。
血液指標からみた置き換えの意味
著者らは、各群の血液指標が健康な鶏の基準範囲内にあったと報告し、今回調べた最大20%の置換まで、酸素運搬やたんぱく質代謝、ミネラルの状態を支える結果だったと解釈しています。この研究は、発酵によってビール粕の飼料としての性質を変え、トウモロコシの一部を代替できる可能性を、鶏の血液指標から示したものです。
原著論文の著者・所属:Alagbe, John Olujimi(Adjunct Lecturer, Department of Animal Nutrition and Biochemistry, Gandhi College of Agriculture, Rajasthan, India)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Alagbe, John Olujimi. Hematological and Serum Biochemical Profiles of Hubbard Broiler Chickens Fed Fermented Brewers Dried Grain as Replacement for Maize. Journal of Food and Nutrition 2026-11-02. DOI: 10.58489/2836-2276/053. 原著ライセンス:CC BY.