著者の所属・活動拠点の国は、イランです。

掲載誌:Poultry Science

ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex

研究の目的

家畜の飼料には、成長を促す目的で抗生物質が加えられてきました。この方法に代わる手段を探す研究が各地で進められています。

研究チームは、その候補として、乳酸菌の一種であるエンテロコッカス・フェシウムと、タイム、オレガノ、アジョワン(セリ科の香辛料植物)という植物由来の素材を組み合わせた添加物(TOA-EF)に着目しました。この添加物は、成分を微小なカプセルで包む「マイクロカプセル化」をした形で使われています。著者らは、TOA-EFを食肉用に育てる鶏(ブロイラー)の飼料に加えたとき、成長、腸の形態、栄養素の消化、体内の酸化ストレスに関わる指標、免疫反応がどう変わるかを調べました。

どのように調べたか

論文の要旨によると、実験ではRoss 308という品種の雄のブロイラー360羽を用いました。鶏は無作為に4つのグループに分けられ、各グループは15羽ずつの6反復で構成されました。

4つのグループは次のとおりです。基本の飼料だけを与える群、基本の飼料に抗生物質のバシトラシンを加えた群、基本の飼料にTOA-EFを1kgあたり0.75g加えた群、同じく1.5g加えた群です。研究チームはこれらを比べ、体重の増え方、飼料の摂取量、腸の内壁の構造、小腸の末端部分(回腸)での栄養素の消化率、血液中の抗酸化に関わる指標、ニューカッスル病ウイルスに対する抗体の量などを調べました。

主な結果

体重の増え方には、グループ間で統計的に意味のある差はみられませんでした。一方、TOA-EFを与えた群と抗生物質を与えた群では、基本の飼料だけの群に比べて飼料の摂取量が少なくなりました。

飼料要求率は、体重を1増やすのに必要な飼料の量を示す値で、低いほど効率よく育っていることを表します。この値は、TOA-EFを与えた群で基本の飼料だけの群より改善しました。最も低かったのは0.75g群の1.59で、1.5g群の1.61が続き、基本の飼料だけの群は1.70でした。抗生物質を与えた群は、基本の飼料だけの群と有意な差がありませんでした。

腸については、小腸の中間部分(空腸)を調べています。空腸の内壁には、栄養を吸収する指のような突起(絨毛)と、その根元のくぼみ(陰窩)があります。TOA-EFを与えると絨毛が高くなり、絨毛の表面積にも添加量に応じた変化がみられました。一方、陰窩の深さと絨毛の幅には差がありませんでした。

消化率では、乾物、灰分、カルシウム、リンには差がありませんでした。粗タンパク質の消化率はグループ間で異なり、平均値が最も高かったのは1.5g群の79.0%でした。

抗酸化能力の総量や、抗酸化に関わる酵素であるスーパーオキシドジスムターゼとグルタチオンペルオキシダーゼの活性には、影響がみられませんでした。ニューカッスル病ウイルスに対する抗体の量も同様です。脂質が酸化されたときにできる物質であるマロンジアルデヒドの血中濃度については、グループ全体の差は有意ではありませんでした。ただし、添加量に沿った直線的な傾向は検出されたと報告されています。

研究が示すこと

著者らは、TOA-EFの添加が体重の増え方には影響しなかったと報告しています。一方で、飼料を体重に変える効率、腸の構造の一部、タンパク質の消化には影響したとまとめています。そのうえで、この配合はブロイラー飼料において、成長促進用の抗生物質に代わる手段となる可能性があると結論づけています。

原著論文の著者・所属:Maryam Sahraei(Department of Animal Science, College of Agriculture and Natural Resources, Razi University, Kermanshah 6715685438, Iran)、Reza Mahdavi(Department of Animal Science, College of Agriculture and Natural Resources, Razi University, Kermanshah 6715685438, Iran)、Soudabeh Moradi(Department of Animal Science, College of Agriculture and Natural Resources, Razi University, Kermanshah 6715685438, Iran)、Leili Jamshidi(Department of Animal Science, College of Agriculture and Natural Resources, Razi University, Kermanshah 6715685438, Iran)

※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Maryam Sahraei, Reza Mahdavi, Soudabeh Moradi, et al. Impact of a microencapsulated Enterococcus faecium-phytogenic complex as an antibiotic alternative on growth performance, intestinal morphology, nutrient digestibility, antioxidant status and immune response in broilers. Poultry Science 2026-10-01. DOI: 10.1016/j.psj.2026.108061. 原著ライセンス:CC BY.