この研究は、台湾の研究機関の研究論文です。
掲載誌:Nutrients
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
何を目的とした研究か
研究チームは、砂糖で甘くした飲料(加糖飲料)をどのくらいの頻度で飲んでいるかと、心理的苦痛との間に関連があるかどうかを調べることを目的としました。ここでいう加糖飲料とは、糖分を加えた甘い飲み物のことを指します。心理的苦痛は、気分の落ち込みや不安といった精神的な不調の度合いを示す言葉として用いられています。
この研究は、ある一時点での状態をまとめて調べる「横断的」な設計で行われました。つまり、飲む習慣と心の状態を同じ時期に測って両者の結びつきを見るもので、どちらが先に起きたかを追いかける設計ではありません。
どのように調べたか
著者らは、台湾で2013年から2016年にかけて実施された国民栄養健康調査(NAHSIT)のデータベースを用いました。対象は、このデータベースに含まれる19歳から64歳までの台湾の成人3787人です。
加糖飲料を飲む頻度は、簡略版の食物摂取頻度質問票によって把握しました。これは、ある食品をどのくらいの間隔で口にするかを尋ねる調査票です。あわせて、前日24時間に食べたものを思い出して報告してもらう「24時間思い出し法」を用い、栄養素の摂取量を計算しました。その上で、ロジスティック回帰と呼ばれる統計手法を使い、加糖飲料を飲む頻度と心理的苦痛との関連を検討しています。
報告された主な結果
論文が報告したところでは、加糖飲料を週に1〜6回飲む群の心理的苦痛のリスクは調整後オッズ比1.75(95%信頼区間1.50〜2.04)、週7〜13回の群では1.56(同1.32〜1.84)、週14回以上の群では1.99(同1.64〜2.42)でした。オッズ比は起こりやすさの比を示す指標で、1より大きいほどその状態と結びつきが強いことを意味します。「調整後」とは、結果に影響しうる他の要因の違いをならしたうえでの値だという意味です。
また著者らは、加糖飲料を週14回以上飲む人たちについて、全粒穀物、牛乳、野菜、果物、ナッツ・種実類の摂取が有意に少なかった一方、卵、乳製品、大豆製品、漬物、肉加工品、茶、コーヒー、デザートや菓子、揚げ物を口にする頻度は有意に高かったと報告しています。
著者らの結論は、加糖飲料の摂取が心理的苦痛と有意に正の関連を示した、というものです。あわせて、この関連の向き(どちらが原因でどちらが結果か)については、今後の介入研究でさらに探ることができるだろうと述べています。
この報告が示すこと
この研究が示したのは、加糖飲料をよく飲むことと心理的苦痛とが統計的に結びついているという点であり、加糖飲料が心の不調を引き起こすと証明したものではありません。一時点のデータを用いた設計であるため、原因と結果の順序は、この報告からは判断できません。
それでも、成人3787人という規模の全国的な栄養健康調査のデータから、飲料の習慣と心の状態、さらには他の食品の食べ方の違いが同時に描き出された点は、日々の食生活と精神的な健康の関係を考えるうえでの一つの手がかりを与えています。
著者:Wei-Ching Huang(Department of Nutrition and Health Sciences, Fooyin University, Kaohsiung 831301, Taiwan)、Jia-Yau Doong(Department of Nutrition, College of Medicine, I-Shou University, Kaohsiung 82445, Taiwan)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Wei-Ching Huang, Jia-Yau Doong. Association Between Sugar-Sweetened Beverage Consumption and Psychological Distress: Analysis of the Nutrition and Health Survey in Taiwan. Nutrients 2026-09-17. DOI: 10.3390/nu18183037. 原著ライセンス:CC BY.