著者の所属・活動拠点の国は、イギリスです。
掲載誌:Microbial Genomics
ライセンス: CC BY 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
研究チームは、糸状のシアノバクテリアであるアファニゾメノン・フロスアクエ(AFA)と、その近縁群にあたるネンジュモ目について、分類、安全性、バイオ技術への利用可能性を調べました。この仲間には、窒素を固定する能力や栄養成分を生かした利用が期待される一方、毒素をつくる種も含まれます。研究では、ゲノムの比較と実験を通じ、こうした特徴を評価することを目指しました。
何を、どのように調べたか
研究チームは、米国の公共データベースNCBIに登録されたネンジュモ目の161ゲノムと、クラマスAFAを含む新たに配列を決定したAFAの3株を比較解析しました。分類上の位置づけに加え、毒素の合成に関わる遺伝子群、外部のDNAを取り込むための遺伝子、取り込んだDNAを制限する仕組み、ビタミンB12の代謝を調べました。また、AFA株のB12含有量を測定し、NIES 4052株とクラマスAFAでは、蛍光標識したB12類似物質を使って取り込みを調べました。
主な報告結果
ゲノム比較の結果、AFAと表示されていた一部のゲノムは分類の再検討が必要とされ、AFAの中核となるグループの範囲がより明確になりました。アナトキシンa、サキシトキシン、シリンドロスパーモプシン、ミクロシスチン/ノジュラリンという毒素の合成に関わる遺伝子群が見つかったのは、解析対象ゲノムの7.3%でした。外部のDNAを取り込むために必要な遺伝子は89.6%で見つかりましたが、外来DNAの獲得を制限しうる仕組みも認められました。AFA株のB12含有量は乾燥した菌体1gあたり約0.4~0.5µgでした。B12をつくる共存細菌の検出と、蛍光標識したB12類似物質の取り込み実験から、著者らはAFA中のB12が、共存細菌による生産とAFAによる外部からの取り込みに関連する可能性を示しています。
この報告が示すこと
著者らは、この研究を、AFAと近縁群の分類、安全性、遺伝子の導入しやすさ、栄養面での可能性を評価するための基盤と位置づけています。栄養成分を理解するうえでは、AFAそのものの性質に加え、共存する細菌との関係にも目を向ける必要があることを示唆する報告です。
原著論文の著者・所属:Gabriel D. Scoglio(Department of Structural and Molecular Biology, University College London, Gower Street, London WC1E 6BT, UK)、David H. Green(Culture Collection of Algae and Protozoa, Scottish Association for Marine Science, Oban, Argyll, PA37 1QA, UK)、Harry O. Jackson(Department of Structural and Molecular Biology, University College London, Gower Street, London WC1E 6BT, UK)、Saul Purton(Department of Structural and Molecular Biology, University College London, Gower Street, London WC1E 6BT, UK)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Gabriel D. Scoglio, David H. Green, Harry O. Jackson, et al. Genomic insights into the taxonomy, safety and biotechnological potential of Aphanizomenon flos-aquae and related Nostocales. Microbial Genomics 2026-09-23. DOI: 10.1099/mgen.0.001832. 原著ライセンス:CC BY.