著者の所属・活動拠点の国は、インドネシアです。
掲載誌:NERSMID Jurnal Keperawatan dan Kebidanan
ライセンス: CC BY-SA 対象: 公開論文 確認元: OpenAlex
研究の目的
妊娠から2歳までの「最初の1000日」は、子どもの成長と発達にとって特に重要な時期とされています。インドネシアでは、年齢に比べて身長が低い状態である「発育阻害(スタンティング)」が今も大きな課題です。論文によると、2024年の全国調査で有病率は19.8%でした。
研究チームが注目したのは、体の組織やホルモンをつくるのに欠かせないたんぱく質です。肉・魚・卵・牛乳などの動物性たんぱく質と、大豆・テンペ・豆腐・豆類などの植物性たんぱく質を、母親が日々どのように与えているかを調べました。そのうえで、与え方と幼児の栄養状態・発育との関係を分析することを目的としました。調査地は、発育阻害の割合が比較的高いとされる東ジャワ州トゥルンアグン県のクドゥンワル保健センターの管轄地域です。
何をどのように調べたか
調査は2026年5月から6月にかけて行われました。対象は、地域の乳幼児健診活動に登録している12〜59か月の幼児の母親20人とその子どもです。研究チームは、数値で関係を確かめる量的調査と、聞き取りで背景を探る質的調査を組み合わせました。量的調査は、ある一時点の状態を調べる横断研究の形で行われています。
量的調査では、たんぱく源となる28品目の食品について、子どもに与える頻度を質問票でたずねました。あわせて子どもの体重と身長を測り、世界保健機関(WHO)の基準に照らして栄養状態を判定しています。質的調査では、栄養の知識や食事の与え方、困っていることなどについて、母親一人ひとりに30〜45分の聞き取りを行いました。なお著者らは、対象を20人としたのは、量的な一般化よりも聞き取りの深さを優先したためだと説明しています。
主な結果
動物性たんぱく質を1日1回以上決まって与えていた母親は65%、植物性たんぱく質を毎日与えていた母親は80%でした。毎日与える食品として多かったのは、動物性では卵(65%)、植物性では豆腐(75%)とテンペ(70%)です。一方、牛肉やヤギ肉を毎日与えていたのは5%にとどまりました。
研究チームは、動物性たんぱく質を与える頻度と、年齢に対する身長で見た栄養状態との間に、統計的に明確な関連があったと報告しています(p=0.002)。動物性たんぱく質を毎日与えられていた13人のうち、発育阻害に当たる子どもは1人でした。毎日ではなかった7人では、6人が発育阻害に当たっていました。これに対し、年齢に対する体重で見た栄養状態については、統計的に意味のある関連は認められませんでした(p=0.303)。
聞き取りでは、動物性たんぱく質を十分に与えるうえでの障壁が浮かび上がりました。最も多かったのは経済的な理由で、70%の母親が挙げています。次いで多かったのが献立の工夫に関する知識の不足(40%)で、著者らは経済的な理由とともに主な障壁と位置づけています。このほか、子どもが新しい食感や味を受け入れにくいこと(35%)、特定の食べ物を避ける伝統的な言い伝え(25%)も挙がりました。また、55%の母親が子どもの食事づくりで祖母の助言に従うことが多いと答えています。80%の母親は、子どもの成長を体重や身長の測定ではなく、見た目や活発さで判断していました。
この研究が示すこと
著者らは、動物性たんぱく質を日常的に与えることが、身長の面での発育阻害を防ぐうえで重要だと結論づけています。そして、母親への栄養教育を強化する必要があると述べています。ただし、この研究は一地域の20組を対象とした一時点の調査です。食事内容も母親の記憶に基づく回答であることを、著者ら自身が限界として挙げています。
それでも、子どもの食卓に何が並ぶかが、家計や知識、家族の慣習と深く結びついていることを、数値と母親たちの声の両面から示した点に、この研究の意味があります。
原著論文の著者・所属:Friska Oktaviana(Prodi D3 Kebidanan, STIKES Hutama Abdi Husada Tulungagung)、Poppy Farasari(Prodi D3 Kebidanan, STIKES Hutama Abdi Husada Tulungagung)、Evita Widyawati(Prodi D3 Kebidanan, STIKES Hutama Abdi Husada Tulungagung)、Oktaviana Manda Putri(Prodi D3 Kebidanan, STIKES Hutama Abdi Husada Tulungagung)
※本記事は原著論文をもとに、日本語で要約・説明を加えた研究紹介です。 出典(原著論文):Friska Oktaviana, Poppy Farasari, Evita Widyawati, Oktaviana Manda Putri Pengaruh Protein Hewani Dan Nabati Terhadap Tumbuh Kembang Balita Di Puskesmas Kedungwaru. NERSMID Jurnal Keperawatan dan Kebidanan 2026-10-25. DOI: . 原著ライセンス:CC BY-SA 4.0.
本紹介記事の文章(題名・見出しを含む)は、CC BY-SA 4.0で提供します。原著論文をもとにNutriMap Japanが日本語で要約・説明を加えています。対象は本紹介記事の文章に限り、ヒーロー画像・サイトのロゴ・画面デザイン・他の記事・データベース全体は含みません。